COLUMN

WORK (SHOP) IT OUT!ーヨーロッパ企画編ー

2017.03.30

則松 弘二則松 弘二

アンテナ編集部が3チームに分かれて、それぞれ内容の異なった連載を週替わり掲載することになりました!6週目は「WORK (SHOP) IT OUT!」。山田克基 (こにー) 、小倉陽子 (家ガール) 、則松弘二(則松)の3人。年齢も性別も違う三人が連載するのはワークショップについて。 (記事中ではそれぞれの呼称で登場します。)  
そもそもワークショップって何ぞや?という方も中にはいるかもしれません。行きたいけど行ったことがない人もいるかもしれません。触れたことがある人も触れたことがない人も、今一度ワークショップに目を向けて、楽しんでみてはどうでしょう?「同じ阿保なら踊らにゃ損々!」精神で突撃していきます。


第二回にしてワークショップに初潜入!!僕たちが体験するのは京都が誇る喜劇集団ヨーロッパ企画のワークショップ。演劇未体験の人でも楽しめるイベントとなっていました。

 

 

「何気ない日常を面白く見せるワークショップ」

 

初回の座談会で参加が決定したヨーロッパ企画による「何気ない日常を面白く見せるワークショップ」 今日の参加当日を迎えるまで、この文字列を見るたびに無限の可能性が僕の頭によぎっていた。「何気ない日常」を「面白く見せる」ことなんて、本当にできるのか?そんなこと不可能ではないのか!?失礼ながらもそんなことを感じてしまった。「何気ない日常」どころか、何の生産性もないつまらない日常を死人   (しびと)  のように繰り返している僕   (アイキャッチ右、死人っぽいでしょう?) 今回のワークショップに参加することで、そんな日常を打破できるきっかけができたとしたら願ったり叶ったりなのだ。さらにワークショップの作り手は今では知らない人も少なくなった喜劇のみを演じる京都に拠点を置くあのヨーロッパ企画である。もちろん僕もヨーロッパ企画については前から興味があって、演劇やゲームなどの作品を見たことがあったために、行く前からこんなにワクワクするのは久しぶりの経験だった。

 

 

そんな期待を胸にしていた僕とは裏腹に、集合場所で会ったこにー氏 (アイキャッチ左) と家ガール氏 (アイキャッチ真ん中) は普段といたって変わらないように見えた。お前ら、今日で日常が変わるねんぞ!相手は天下のヨーロッパ企画やぞ!!!もっと楽しそうにせえ!!!! (別に二人は日常を変えるために参加してるわけではないので当然) 僕はそんなことばっかり思って、1人で内心怒りに溢れていた。と、そんなこんなでカメラマンも集合したのち開催地の京都芸術センターに到着。

 

 

 

 

京都芸術センター

 

 

 

僕はほぼ初めて来た場所だが、家ガール氏は慣れた足取りで散策している。彼女は僕たちのチーム内でも今回のテーマである演劇経験者で前の座談会でもワークショップ関連にも馴染みがあるようだった。

 

 

校舎を改装した建物内。入り口付近には公演やイベント、もちろんワークショップ関連の冊子などがあり、次の座談会のために生かそうと読んでいるといよいよワークショップの開始時刻となった。演習室のような部屋の中にはすでに4、5人ほどの受講者が集まっていて、皆さんなかなかの演劇経験者のように見えた。 (僕らのチームで経験者なのは先ほど書いたように家ガール氏だけで、こにー氏と僕は全くの素人)

 

 

芸術センターのスタッフが挨拶と今回のイベントの内容を話したのち、とうとうヨーロッパ企画の大歳さんが到着した。大歳さんによると今回は「いつもヨーロッパ企画がやっている作品の作り方や演技をプレ体験してもらったり、作品を作りながら現場を想像してもらって、自分たちの演劇を見に来たりするきっかけになってほしい」との趣旨だった。「そんな初対面同士で演劇なんて無理だよぉ」なんて思いながらも簡単なレクリエーションからスタートしたため、僕の不安は杞憂に終わった。本当に良かった。

 

 

レクリエーションの内容は背中に有名人が書かれたテープを貼られ、自分の所に書かれた有名人を当てる簡単なもの。それを当てるために他の参加者一人に一つずつYes or Noで答えられる質問をする。制限時間内に全員に質問をし、ヒントを集めながら自分の背中に書かれた有名人にたどり着けるかというものだった。そうなったら、他の参加者とも喋らざるを得ない。

 

 

 

書かれています

 

 

 

演劇を作る上で、ディスカッションをすることは不可欠。それは演技においても戯曲においても同じで、相手のことを何も知らないとなったら話にならない。ワークショップのような初対面の人たちが集まる中で自然と距離が近くなるこの方法なら自然と相手と打ち解けることができるのだろう。また、ここで重要なのは答えにたどり着くきっかけになった質問が何だったのかという点だ。演劇の中でいうとシーン展開のキッカケになるもので、そこを意識することによって後に体験することになるエチュードに活かされてくるのである。

 

 

2、30分ほど続けて、場が暖まった後にようやく今回の本題「何気ない日常を面白く見せるワークショップ」は始まった。演劇において戯曲や台本の作り方は何種類もあるらしいが、ヨーロッパ企画がいつもやっているのはエチュード (インプロビゼーション) という方法。与えられた設定と役を守りつつ、役者さんがその場で内容を決めていきながらお芝居することらしい。音楽で言うと、キーをまず決めて楽器を弾くセッションのようなものである。

 

 

喜劇のみを上演しつづけているヨーロッパ企画にとってこの方法が一番合っていると大歳さんは話していたが、なるほどその通りだと感じた。僕個人の勝手な解釈かもしれないがキャラクター個人の「素の姿」や「偶然生まれた個人性」があるアドリブの笑いと、受け手が予想していた展開からどんどんズレていくことはコメディ作品にとっては非常に大事だと思う。ガチガチに固めた台本の場合と比べて自由度が圧倒的に違う。ずっと舞台上を中心に活動し、個性的なキャラクターの役者さんやスタッフさんが多いヨーロッパ企画にとっては、キャラクターとストーリーが自由に動けることが第一なのだろう。

 

 

 

「エチュード」を体験してみる

 

さて、実際にエチュードをやる上で、重要なのは

・演技をやめない

 

・無理に話を展開させすぎない

 

・お互いの話をちゃんと聞く

 

・状況を細かくイメージする

 

・キャラに走らない←等身大の自分

 

・沈黙を恐れない

 

 

とのこと。これらのポイントを大歳さんから説明してもらい、実際に制作されたヨーロッパ企画のエチュードのDVDをみんなで見てみた。「店の行列に並んでいたけど、一人がいい加減な位置取りをしたせいで列が二つになってしまう……」という設定だけを決めたエチュードらしく、コント内の役者はみんな上記のポイントを守った上で自由に動いていたのが印象的だった。単に列に文句を言うだけじゃなくて、アドリブによって権力争いのストーリーになっていく……など。

 

 

大歳さん曰く、エチュードのメリットは「無理がない役、つまり等身大の自分で演じることができて役に対する理解などをしなくて済む」。やはり等身大の自分が重要らしく、個人的にそれに注目して参加してみた。

 

 

 

ヨーロッパ企画の大歳さん

 

 

 

そんなこんなで、いきなり (!) 、「やってみよう」と言われ、演劇に関しては素人のこにー氏がリリースされた。 (最初が僕じゃなくてよかった)

 

設定は「病気の告白をしたのに、その日は偶然エイプリルフール、誰にも信じてもらえない」

 

こにー氏  (病気の告白をする方)  はどう動いていくのかと思っていたら、彼は思った以上に自分から設定を作っていくタイプのようで、すぐにストーリーやキャラクターが見えて、相手役  (本当かどうかわかってない方) も演劇経験者だけあってうまく対応しながらも展開していった。

 

 

エイプリルフールだからなのか、本当に病気なのか、見ている間にわからなくなってきてどんどん予想からズレていく様は本当に見ていると笑いを誘っていた。落としどころがわかってきたか、これ以上広がりが見せなくなってきたところで大歳さんの合図で一旦中断となり、二人だけアドバイスを受けていた。そして再開されると、相手役は今まで以上に疑心暗鬼になり、それに対して本気で信じてもらおうとするストーリーに。アドバイスを受け、放った一言のセリフで大きく展開が変わったのが印象的だった。

 

 

 

演劇初体験らしい

 

 

 

「負けてられへんわマジで……」と思いながら、僕の出番が来た。

 

設定は「注文した珈琲が30分たっても出てこない。店員を呼ぶが店員も出てこない。探しに行くと店員がいない」

 

僕と家ガール氏と一般参加者の二人の計四人で演技することになった。僕がセリフやら行動で動かすと、周りはそれに対応してくれる。反対に周りの人が動くと、僕も対応しようとして作用する。そんな繰り返しなのに自然発生したストーリーは盛り上がっていき、アンテナのスタッフも笑ってくれた。というより、多分僕の隠しても滲み出てくる素の部分に笑ってた気がするが、大歳さんが話していた通り、等身大の自分が表れていたなら嬉しい限りだった。

 

 

 

目に見える緊張

 

 

 

いよいよ最終発表

 

何回かミニエチュードを演じた後、今回の最終目標であるグループを作って10分間の作品を発表するという時間になった。

 

 

20分ほどの練習時間の後、こにー氏と家ガールさんの三人チームは「歯医者に行くと、昔いじめていた相手が、歯医者になっている」という設定。僕のチームともう一組のチームの演じる設定は「二股している女性、誕生日を間違って、誕生日じゃないほうの男性を祝ってしまう」

 

 

もう1人の参加者の方と綿密に打ち合わせると、「実は彼氏の方も浮気していた」というオチに持っていこうという話になった。 (演じているとわかるのだが、落とし所を考えることよりも、そこに持っていくことの方がもっと難しい)  時間ギリギリまで2人で考えて、あくまで自然にオチまで持っていける流れを考えて発表は無事に終わった  (かなり緊張してうまくセリフが出てこなかった部分もあったが、何とか乗り切れたのではないかと思う)

 

 

同じ設定で行った別のチームとは全く違う展開になっていた。そこがエチュードの面白い所であり、ストーリーの可能性が広がっていく。正解はなく、演じる人と見てる人の反応も相まってその場にいる全員で作っていくものだという事が実感できた。

 

 

 

最終発表です

 

 

 

僕は演劇系のワークショップに参加するのは勿論のこと、演劇の経験がほぼ無かったが今回のワークショップのお蔭で少なからず、演劇や役者というものに興味が持てた。エチュードの設定自体は日常どころか、なかなか体験することがない特殊な非日常であったが、それを等身大の自分で演技することによって自分のいつもの「何気ない日常」の「おもしろさ」がわかってきた。

 

 

そう、この記事を書いているときに頭に浮かんでいたのがヨーロッパ企画の代表作 「サマータイムマシンブルース」 これも設定はSFものである。しかし、それに絡めた日常感こそが面白く作品の醍醐味だと気付いた。今回はそんなヨーロッパ企画の作品の作りかたを疑似体験できて少しでも理解できた気がする。あなたの何気ない日常でも、視点を変えると違う景色が見えるかもしれない。

 

 

WORKSHOP、それは無限の可能性。

 

 

追記 

ヨーロッパ企画様へ。

「偶然にも最悪な永野」はFlashゲーム史上最高の作品だと思います!公園編の諏訪さんが体制を崩しかけるシーンは何回見たかも覚えてないです!

良ければ新作出してください!

あと、ツッコマニアも全部完全版買いました!毒好きすぎですって (笑) !

 

 

 

WORK(SHOP)IT OUT!第一回座談会

 

 

 

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