COLUMN

俺の人生、三種の神器 -たかいし ②ケーブルテレビ編-

2017.05.29

高石 瑞希高石 瑞希

 

 

▼俺の人生、三種の神器とは?

人生の転換期には、必ず何かしらきっかけとなる「人・もの・こと」があるはずです。そのきっかけって、その当時は気づけないけれども、振り返ると「あれが転機だった!」といったことはありませんか?そんな人生の転機についてアンテナ編集部で考えてみることにしました。それがこの「俺の人生、三種の神器」。

折角なのでもっとアンテナ編集部員ひとりひとりのことを知ってもらいたい!そんな気持ちも込めたコラムです。これから編集部員が毎週月曜日に当番制でコラムを更新していきます。どうぞお楽しみに!

 

 

三種の神器というシリーズにおいて「テレビ」のことを書いてしまうのはそのものズバリすぎるでしょうか。しかしながら何を隠そう私、生粋の(元)テレビっ子でして、これについて話さないわけにはいかないのです。一人の時も団欒の時も、ご飯の時も寝る前も、病める時も健やかなる時も常にテレビつけっぱなしの家庭に育ちました。どうもこんにちは、アンテナ編集部デザイン班のたかいしです。

 

 

そういうわけで、美術の勉強を始めるずっと前から、私の好奇心をあおり、感性を育ててくれたのはテレビだと思っています。とりわけ、アニメならアニメだけ、音楽なら音楽だけを24時間ずっと流している専門チャンネルのひしめくケーブルテレビ(衛星放送)は、いながらにして未知の世界を垣間見ることのできる魔法そのもの。中学生になるまでのほとんど毎日を、その刺激にどっぷりと浸かって過ごしていました。おかげさまで冴えないなりに明るい幼少期を過ごせたぜ。サンキューな。

 

 

 

 

 

その① カートゥーン・ネットワーク

 

 

さて、幼い私が画面にはりつくきっかけになったのが、カートゥーン・ネットワーク(Cartoon Network)。アメリカを中心に各国のアニメーションを放映している衛星放送チャンネルでして、『パワーパフ・ガールズ』『チャーリー・ブラウンとスヌーピー』『トムとジェリー』など日本でも人気の作品が観られるほか、オリジナル作品も数多く制作されています。

 

 

このオリジナル作品がなかなか。他の子ども向けチャンネルと比べても、なんというか「うるさい」アニメが多かったんですよね。うるさいというのは音の多さに限った話でなく、せわしないキャラクターの動きや表情、ドギツい色彩などもひっくるめた全体の印象のこと。ビジュアルイメージそのものについては言葉で説明しにくいのですが、たとえばクマをモチーフに『テディ』というキャラクターが作られるなら、私の中ではこんな感じ。伝わるかしら。

 

 

※あくまで私個人の見解であり、実在の番組・キャラクターとは関係ありません

 

 

当時のお気に入りのひとつ、『カウ&チキン』なんかは特にヒステリックなトーンの作品で、いま改めて観るとあまりの節操のなさにビックリします(何度も言いますがお気に入りなんですよ)。鶏と乳牛の兄妹が織りなすドタバタ劇です。物心ついた頃から、いや、つく前からこうしたアニメを繰り返し観ていたことで、私のやわらかい無意識に彼らの美学はしっかり刷り込まれました。今でも白目がちのキャラクターについ親近感を抱いてしまうのは「カートゥーン」のおかげ説が有力だとか、そうでないとか。

 

 

 

 

 

その② ディズニー・チャンネル

 

 

 

こうして「カートゥーン」のおかげですっかりケーブルテレビが生活の一部になった頃、泣く子も黙る「ディズニー・チャンネル」がついに日本上陸。ディズニーといえばアニメのイメージが強いですが、それに並ぶ看板商品といってもいいのがティーン向けドラマ。今は日本でも浸透してきて、一部では社会現象になったりもしますね。これにハマったことで、テレビと私の関係に決定的な変化が訪れます。というのも、当時の私は番組の面白さだけではなく、画面の向こうにある世界に本気で恋をしたのです。甘酸っぱ。

 

 

きっかけになったのは『リジー&Lizzie(原題: “Lizzie McGuire”)』という学園もの。ちょっと不器用な中学生の女の子リジーが、ふたりの親友や家族と過ごす日常を描いたファミリー向けコメディドラマ……という紋切り型の説明はさておき、私がズキズキするほど憧れたのが、海の向こうの同世代たちのビビッドなファッション(下図参照)、そしてハプニングだらけのにぎやかな学校生活。リジーにはミランダちゃんとゴード君という親友がいて、いつも行動を共にしているんですが、女子校育ちの自分には『異性の親友』という存在でさえ、途方もないロマンでした。

 

 

 

主人公リジーと、親友の女の子ミランダのファッション。マネする子が現地にはいっぱいいたんだろうなあ。

 

 

ドラマに夢中になる一方で、私は主演のヒラリー・ダフにもすっかり心酔していました。彼女のファーストアルバムを親にねだって買ってもらい、それを皮切りに洋楽を聴くように。画面の向こう側に少しでも近付きたい気持ちから、英語の勉強も急に頑張りはじめました。

 

そろそろ思い出話に飽きてきましたか?次が最後なのでもう少しご辛抱。

 

 

 

その③ MTV

 

 

そっと洋楽の世界へ踏み入った私をグイグイと引っぱり込んでくれたのがMTV。音楽番組とミュージックビデオを放映する専門チャンネルです。ここでもやはり、ミュージックビデオを通して「向こう側」への好奇心に胸を躍らせておりました。大きいもの、分かりやすいもの、刺激の強いものはいつも夢を見せてくれますよね。ありがとうビヨンセ、ありがとうブリトニー。

 

 

思い出の作品は数あれど、それらとは別に興味をそそられたのは、ヒップホップのミュージックビデオにおおよそ通底する、あのギラギラ感。持てる財は見せびらかすが吉!と言わんばかりの光り物の多さ、ラッパーの横でくねくねする女たち、「跳ねる」キャデラック……。自分の届かないところに、これまた自分の感性にフィットしない価値観がしっかり根付いているなんて、どれほど清々しいことでしょう。なんかそれだけで頭がやわらかくなった気がしませんか。

 

 

いまになって考えれば、メインはあくまで英語圏のメジャー音楽。限られたセレクションの中を泳いでいたに過ぎませんが、それでも多種多様な価値観に触れられるミュージックビデオは、どれもキラキラして見えました。MTVはその巨大なカタログとなって、幼い私に世界をいろんな角度から見せてくれたわけです。

 

 

当時は小学4年生。”ギラギラの入れ歯”、”水着の上に毛皮のコート”の意味こそ分からなかったけど、「こういう世界があるんだ」っていうメッセージは確かに受け取っていました。

 

 

開かれた窓

 

 

つい熱心に書いてしまいましたが、ネットを捨てよ、テレビを観よう!ということではなくてですね。話の後半に限っていえば、人は自分の関与できない世界にこそ夢中になれる生き物なんじゃないか、ひいては、自分とは関係なさそうなところで完結している世界にこそ、強く惹かれてしまうんじゃないかと。ケーブルテレビにはそういう魅力的な風景が見える窓がいっぱい付いていました。

 

 

アニメを観ていた頃はもちろんアニメそのものを観ていたけれども、ミュージックビデオを観だした頃には、むしろそこに隠された異星のルールみたいなものを見ようとして、体温がぐんぐん上がっていった。夢を見させるだけじゃなく、新たな興味への窓口になってくれるという意味でも、ポップカルチャーは偉大ですね。ケーブルテレビとの付き合いの中で、子どもながらにちょっとずつ、いろんな刺激を受け入れる準備を整えていったのかなあと、しみじみしたところで次のメンバーにバトンタッチしたいと思います。ではでは。

 

 

 

▼他の人の転機

 

堤大樹

①初めてのひとり旅

https://kyoto-antenna.com/column/turning_point_tsutsumi_1/

②音楽

https://kyoto-antenna.com/column/turning_point_tsutsumi_2/

山田和季

①シンパシー

https://kyoto-antenna.com/column/turning_point_kazoo_1/

②自己が無になった話

https://kyoto-antenna.com/column/turning_point_kazoo_2/

岡安いつ美

①Peelander yellow

https://kyoto-antenna.com/column/turning_point_okayasu_1/

②SXSW

https://kyoto-antenna.com/column/turning_point_okayasu_2/

髙橋知里

①私だけのギターヒーロー

https://kyoto-antenna.com/column/turning_point_cathy_1/

②Final Fantasy 8

https://kyoto-antenna.com/column/turning_point_cathy_2/

小倉陽子

①家ガール

https://kyoto-antenna.com/column/turning_point_iegirl_1/

②舞台に立つ

https://kyoto-antenna.com/column/turning_point_iegirl_2/

川端安里人

①映画との出会い

https://kyoto-antenna.com/column/turning_point_arito_1/

②真夜中

https://kyoto-antenna.com/column/turning_point_arito_2/

則松弘二

①H君

https://kyoto-antenna.com/column/turning_point_norimatsu_1/

山田克基

①池谷先生

https://kyoto-antenna.com/column/turning_point_coney_1/

②表現の素

https://kyoto-antenna.com/column/turning_point_coney_2/

稲本百合香

①GARNET CROW

https://kyoto-antenna.com/column/turning_point_inamoto_1/

②Gulliver Get

https://kyoto-antenna.com/column/turning_point_inamoto_2/

Dino

①Kさん

https://kyoto-antenna.com/column/turning_point1_dino/

②移住

https://kyoto-antenna.com/column/turning_point_dino_2/

森下優月

①活字

https://kyoto-antenna.com/column/turning_point1_yuzuki/

高石瑞希

①ノート

https://kyoto-antenna.com/column/turning_point1_takaishi/

齋藤紫乃

①ウォーターガールズ

https://kyoto-antenna.com/column/turning_point_shino_1/

GOODS

トップへ