COLUMN

俺の人生、三種の神器 -山田和季 ③俺の一神教、ART-SCHOOL-

2017.06.25

山田 和季山田 和季

 

 

▼俺の人生、三種の神器とは?

人生の転換期には、必ず何かしらきっかけとなる「人・もの・こと」があるはずです。そのきっかけって、その当時は気づけないけれども、振り返ると「あれが転機だった!」といったことはありませんか?そんな人生の転機についてアンテナ編集部で考えてみることにしました。それがこの「俺の人生、三種の神器」。

折角なのでもっとアンテナ編集部員ひとりひとりのことを知ってもらいたい!そんな気持ちも込めたコラムです。これから編集部員が毎週月曜日に当番制でコラムを更新していきます。どうぞお楽しみに!

 

 

毎回毎回、このコラムが周ってくる度に思う。前も言った気がするが、良くも悪くも私の人生はあまり代わり映えがしない。常に根が陰気で、そのくせ自尊心だけはいっちょ前で、大好物は努力せずに得られる優越感。でも他人に嫌われるのが一番心にクるので基本的には八方美人。これが9歳ぐらいからずっと続いています。今26歳、ブレないねー。あ、でも最近は加齢のせいか人にイラつくことめっちゃ増えたわ。つらー。まぁ、そんな私が神様に出会って人生を導かれた話をします。正直、この人と出会っていなかった場合の自分があんまりイメージできないです。

 

 

 

俺の宗教そのものと出会った、真夜中のCDTV

 

 

お察しの通りである。間違いなく今のところ私の人生に一番の影響を与えたであろう人物がART-SCHOOLの木下理樹。小学生のときから夜更かしっ子だった私は、中学生にあがっても日が変わる前に寝ることなんてほぼ無く、そんなものは通りがかりにクラスメイトが自分の陰口を言っているところを聞いてしまってダウナーになる日ぐらいのものだった。このときすでに俗にいうロキノン厨の友達(第一回コラム参照)がいた私はsyrup16g、BURGER NUDS、NUBER GIRLまでを無事攻略し、順調にシャバめのサブカルくそガキルートを辿っていた。目下のブームは夜更かしして見るテレ東系列の『JAPAN COUNTDOWN』と、多分これもテレ東系列だったかな『HANG-OUT』というインディー系音楽番組を熱心に見ることだった。『JAPAN COUNDOWN』は当時BUMP OF CHICKENが唯一出演する地上波として激アツだったし、アーティストのインタビュー映像が1/3ほどを占める音楽雑誌と音楽番組の良い所取りみたいな超良番組だった。『HANG-OUT』は全国区で売れる前のthe band apartをとにかく推していた番組。この番組は主に日本のインディーバンドの小さいハコでのライブ映像をメインに放送していて、まだ見ぬ<ライブハウス>という存在への憧れを募らされたものだ。私が見ていた2002年頃はバンアパ、フーバーオーバー、smorgas、bus tributeとかが毎週のようにピックアップされていた気がする。

 

そして夜更かし×音楽番組という組み合わせの流れでかの鬼長寿番組『CDTV』を見るのも日課、いや週課となっていた。多分今もなんですけど、毎週オリコンTOP50までしかランキングしない中で、月に1回だけTOP100まで超巻きでカウントダウンしてくれるんですよね。あれがすごい好きで……100位ギリギリで自分の好きなバンドが出てくると嬉しいから(笑)。その日も50位以下の面々を瞬きもせずに見ていたら、眩しいのかドス黒いのか分からないような、不穏なまでに緑色に染められたMVがパッと流れた。”EVIL”ってシングルリリースされた曲なんですけど。「ははん、きみらがART-SCHOOLね!」ロッキンオンジャパンに載っているバンド(おっさんは除く)はとりあえず聞くべき、みたいな謎のルールに支配されていた私は「これは絶対買いですね」という五十嵐隆みたいなことを言いながら近所のレンタルCDショップに足を向けるわけです。当時は多分YOUTUBEもなかったので、CDTVで流れた5秒間だけを頼りにCDショップに行くんですよ。ほんとロキノン厨キモいなって思いますよね。そこからどハマリ。

 

 

EVIL/ART-SCHOOL

2003年リリース。今見ると結構古臭い気がするけど、多分今のご時世だと作られないタイプのMV

 

 

このときのART-SCHOOLってすごいリリースが激しくて、”EVIL”の3か月後には”SWAN SONG”っていう同一タイトルのミニアルバム盤(DISC1)とシングル盤(DISC2)が発売されるんですけど、山田和季13歳(中尾憲太郎は多分29歳)お小遣いなんて持ってないよ。それでも欲しくて欲しくて、タワレコで500円だったDISC2を買いました。DISC1は1500円ぐらいだった気がする。払えなかった。

 

 

 

入信すると洗礼の恵みを受けます

 

 

さて、入信後数年はただひたすらに教祖の作る音楽を妄信的に浴びるんですが、少しずつ大人の女性に近づいてくると「彼自身のことをもっと理解したい」という危険な思想にぶつかる時が必ずやってきます。<ボリス・ヴィアンの詩集にあった水色の唄>という歌詞を聞いてはボリス・ヴィアンを読み、”車輪の下”を聞いてはヘルマン・ヘッセを読み、”FIONA APPLE GIRL”を聞いてはフィオナ・アップルを借り!……それでもまだ彼の本質的な部分には微塵も近づけていないと感じる木下ギャル。そして時はブログ全盛期。木下先生ももちろん公式でブログを書き始めてくれます!やったね~!これが私の人生の転機第一歩だったんじゃないかな。木下先生はとにかくSmashing Pumpkinsが好きで、とりわけ初期ギタリストのJames Ihaの話ばかりをしていました。それまで手に取っていたものは全部「木下理樹が好きだから」追っていたものに過ぎない部分があったんだけど、Smashing Pumpkinsに辿り着いた瞬間、はじめて私にとって「好きな人の好きなもの」を本当に好きになれたと感じました。ズガガガガーン。私はこのときのことを「洗礼」って呼んでます。キモいね。

 

 

The Everlasting Gaze/The Smashing Pumpkins

うーん、あえて1979でもdisarmでもtodayでもない、ビリーコーガンが一番キモくて、イハ君の服も鬼ダサいしメタルみたいな音出してるこの曲をチョイス

 

 

 

僕の世界はあなた。盲目的になっても結果視野が広まればOKでしょ。

 

 

この後もかれこれ13年強、木下ギャルをやっているんですが彼の影響で好きになった外国人は数知れず。木下理樹が一時期狂ったように着ていたBLACK FLAGのTシャツ、唯一カバー曲として音源化されている”It’s a mother fucker”の原曲アーティストEELS、ブログで毎日絶賛していたSky Ferreira……!直接的な影響はもちろん「木下理樹が好きなものと関係があるもの」という枝分かれからもdigできたのが大きかった。例えば、Pavementというバンドがスマパンを揶揄した曲を書いて犬猿の仲になったらしいぞと聞いてはマルクマスに心臓をブチ抜かれたり、”カノン”という曲のパクリ元だと某掲示板に上がっていた「エレキブラン」というバンドのメンバーがdipの初期メンバーだったからdipも聞いたりとかね。細かいところまで拾っていったらほんとに数えきれないほどの影響を受けていて、もはや私のすべての道は木下理樹に通ずると言っても過言ではない。

 

 

Range Life/Pavement

Smashing Punpkinsのツアーがどうちゃらこうちゃら歌った後にピー音付きのよろしくない単語が入る

 

 

学生のときとか、彼氏が変わると服や音楽の趣味・生活の中の何かを変えてしまうザラにいる女の子のことを軽蔑していて、でも私も結局そういう子たちと変わらないのかな?って少し悩んだ時期もあったんですけど、多分それでも全然いいんやと思う。(まああいつら彼氏と別れるとJOY DIVISIONのTシャツ急に着やんくなるし、タバコもすぐ吸わんくなるけどな。)一瞬盲目的になったってその後しっかりと自分の中に定着させられるかどうかなんですよね。好きな人の好きな人の好きな人の……って追っていくととてもじゃないけど人生時間なんか足りないなって感じちゃいます。音楽以外でもオールマイティにこのルールは適用できるしね。いいじゃない、彼氏が服が好きなついでに自分もおしゃれになったり、彼氏の釣り好きに付き合って松方弘樹張りの一本釣りとか極めたらいいじゃない。好きなものが増えていく感覚っていうのは何歳になっても一番嬉しい。っていう生きていく上での楽しさみたいなものを木下先生から教わったのです。

 

 

 

おまけ

 

 

こんなに好きなのに、磔磔のライブで木下先生に「サインください」って言ったら「あー」って言いながらガン無視2秒で楽屋に戻られて、絶望している私を見かねてやってきたトディ(ART-SCHOOLのギター)がサインしてくれた挙句、ヒップホッパーの挨拶みたいなグータッチまでしてくれたことがあるんですよ。ほんとブスには冷酷すぎてすごい。トディ、あの時助けていただいたブスです。ありがとうございました。

 

 

▼他の人の転機

 

堤大樹

①初めてのひとり旅

https://kyoto-antenna.com/column/turning_point_tsutsumi_1/

②音楽

https://kyoto-antenna.com/column/turning_point_tsutsumi_2/

③広島東洋カープ

https://kyoto-antenna.com/column/turning_point_tsutsumi_3/

山田和季

①シンパシー

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②自己が無になった話

https://kyoto-antenna.com/column/turning_point_kazoo_2/

②俺の一神教、ART-SCHOOL

https://kyoto-antenna.com/column/turning_point_kazoo3/

 

岡安いつ美

①Peelander yellow

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②SXSW

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③写真

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髙橋知里

①私だけのギターヒーロー

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②Final Fantasy 8

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小倉陽子

①家ガール

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②舞台に立つ

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川端安里人

①映画との出会い

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②真夜中

https://kyoto-antenna.com/column/turning_point_arito_2/

則松弘二

①H君

https://kyoto-antenna.com/column/turning_point_norimatsu_1/

山田克基

①池谷先生

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②表現の素

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稲本百合香

①GARNET CROW

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②Gulliver Get

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Dino

①Kさん

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②移住

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森下優月

①活字

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高石瑞希

①ノート

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②ケーブルテレビ

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齋藤紫乃

①ウォーターガールズ

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②じかんどろぼう大発信

https://kyoto-antenna.com/column/turning_point_shino_2/

 

 

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