pont

2020.05.11

アンテナ編集部アンテナ編集部

本レビューは公募企画の第二弾にご応募いただいた記事です。

 

企画協力:HOLIDAY! RECORDS DISTRO

京都の先斗町をバンド名の由来としたpontの楽曲は深夜にほろ酔い気分で歩きながら聴きたくなる。徐々にやってくるメロディの高揚感と、コード進行から得られる浮遊感はアルコールのアテに最適だ。

 

京都で結成された大学生の4人組バンドであり、私が知ったきっかけは京都界隈のインディーシーンを調べる中で、立命館大学にある老舗音楽サークル『ロックコミューン』周辺を探っていたところ見つけることができた。作詞作曲も担当するかよこ(Vo / Gt)は20代前半にも関わらず、昭和歌謡、ニューミュージック、フォークソングに影響を受けていることが伺える。

 

 

M2“ディスコタウン”ではかよこの伸びやかな歌声の裏で加茂前(Gt)が奏でるファンキーでディスコティックなギターも二度美味しい。そしてどの楽曲を聴いていてもそこには必ず<昭和>があるのだ。

 

pontにおける<昭和>を解明するための重要な鍵を握るのは、M5“ぶぎうぎ”ではないか。サビのメロディラインを聴いていると笠置シヅ子の“東京ブギウギ”を彷彿とさせる。この曲は昭和全般に渡って活躍した和製ポップスの第一人者である服部良一によって作曲されている。

 

彼の作った楽曲は坂本九、ハナ肇とクレイジーキャッツ、ザ・ピーナッツを始め、数多くの音楽家やアーティストたちに影響を与えた。ブルースやジャズ、ブラックミュージックなどを単に真似するのではなく、自身の中でしっかりと咀嚼し、和製ポップスという概念を構築してきた歴史がある。

 

2020年において、ブラックフィーリングの効いた楽曲を発表しているアーティストは多く見受けられるが、ブラックミュージックを大衆が求める音楽カルチャーのど真ん中にねじ込み、お茶の間に受け入れられ、日本の芸能の世界でポプュラリティーを獲得しているのが星野源である。彼の提唱する<イエローミュージック>の定義のひとつとして、国内外を問わずこれまで活躍してきた音楽家たちのエッセンスや、流行の変遷を自身の音楽的嗜好で抽出してごった煮にして、発信されるものであることが考えられる。

 

pontの楽曲には彼が提唱する<イエローミュージック>の匂いがする。ブラックミュージック色が強いというわけではないが、先人たちが受け継いできたフォークミュージック、昭和歌謡、ポップスをしっかりと咀嚼し、自身の解釈で発信している。その楽曲達の根底にはしっかりとブラックフィーリングが根付いているし、日本に生まれ、日本の音楽を敬愛しているからこそ生まれる<イエローミュージック>がしっかりとそこにはあるのだ。

 

pontにおける<昭和>は服部良一の音楽的センスを吸収したブギウギのリズムや昭和歌謡の伸びやかな歌唱法からの影響、そして細野晴臣や山下達郎を系譜したニューミュージック、シティポップの敬愛から発されているのだ。

 

pont『ぽ』

 

 

定価:1,000円(税込み)

HOLIDAY!RECORDS購入リンク:pont / ぽ | HOLIDAY! RECORDS DISTRO

 

収録曲

 

1. 歌謡曲
2. ディスコタウン
3. プルキニエ
4. 素敵なデイズ
5. ぶぎうぎ
6. みんなへ

寄稿者:中谷モナカ

 

 

プロフィール

音楽と銭湯と本を読むのが好きな滋賀県民。

今年の春から北摂の民となりました。

サウナか鳥貴族に大体生息しています。

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