COLUMN

俺の人生、三種の神器 -岡本 海平① モーニング娘。編-

2020.05.11

岡本 海平岡本 海平

▼俺の人生、三種の神器とは?

人生の転換期には、必ず何かしらきっかけとなる「人・もの・こと」があるはずです。そのきっかけって、その当時は気づけないけれども、振り返ると「あれが転機だった!」といったことはありませんか?そんな人生の転機についてアンテナ編集部で考えてみることにしました。それがこの「俺の人生、三種の神器」。折角なのでもっとアンテナ編集部員ひとりひとりのことを知ってもらいたい!そんな気持ちも込めたコラムです。これから編集部員が毎週月曜日に当番制でコラムを更新していきます。どうぞお楽しみに!

私が思うに人生の転機とは、衝撃的なものと出会い、それに触れる中でそれまでの感性や価値観が変わっていくことだと思う。さまざまな人やものに出会い、感化されて私は今まで生きてきた。しかし、その中で生まれる凝り固まった考えや行き過ぎたこだわりは、時に自分の可能性や見える世界を狭くしてしまうことがある。

 

数年前まで私は、音楽について「ロックバンド至上主義」という強いこだわりを持ち、それ以外の音楽へ興味を持たなかった。そんなこだわりから私を解放し、視野を広げてくれたのは意外にも、一番敬遠していた「アイドル」という存在であった。

転機への序章

15歳の時にロックバンドに出会い、普段聴く音楽も、これまでなんとなく聴いてきたポップスからラウド・ロックやパンク・ロックに変わった。時が経ち、好きなバンドが増えるにつれて好みの偏りは強くなっていき、いつしか私は「サウンドと歌詞にアーティストの熱い想いが乗ったロックこそが最強」と考えるようになっていく。作曲家や作詞家が作った曲を歌うアーティストは「商業的に作られたものを歌うマリオネット」だと思っていたし、特典商法やライブでの口パクで度々SNSを騒がせていたアイドルにも良くない印象を持つようになる。

 

そんな偏りすぎた音楽への考えを持っていた大学1年生の夏、友人とカラオケに行った時のこと。友人が歌った、°C-uteの『Crazy 完全な大人』の本人映像に目を奪われてしまったのだ。最初は楽曲ではなく一糸乱れぬ激しいダンス、赤と黒のトップスに鋲ジャン風のジャケットというロックなビジュアルに強く惹かれたことを覚えている。その映像で一目惚れしたことを友人に伝えると、°C-uteはハロー!プロジェクトのグループであることをはじめ、たくさんの情報を教えてくれた。

モーニング娘。との再会

ハロー!プロジェクトにはモーニング娘。で馴染みがあった。2000年代前半に『LOVEマシーン』や『恋愛レボリューション21』などのヒット曲を立て続けに発表。1998年生まれの私は、幼い頃を彼女たちの黄金期とともに過ごし好きになっていたのだ。(あまりに小さい頃の記憶すぎて、好きだった理由は今はもう覚えていない。)

 

ハロー!プロジェクトという言葉を久しぶりに耳にして湧いた「昔好きだったモーニング娘。は現在どうなっているのだろう」という興味から、たまたま聴くことになった『わがまま 気のまま 愛のジョーク』に衝撃を受けた。私の大好きなラウド・ロックやハード・コアのサウンドを彷彿とさせる刺々しいシンセサイザー音色と、想像をはるかに超える各メンバーの高い歌唱力に感銘を受けた。その後に見たコンサート映像では激しいダンスを踊りながらも音源以上の力強さが篭った歌声をキープする、彼女らの卓越したパフォーマンス力とそれを支える無尽蔵な体力に、思わず身震いしたことを今でも覚えている。

純粋に良いと思える音楽を探して

モーニング娘。に関する映像やインタビュー記事を見ていくと、彼女らの熱意や並々ならぬ努力が伺い知れた。レッスンがある日は朝から一日中レッスンに励み、それでも納得がいかなければ各々が自主的に練習をする。コンサート後は反省会を開き、その日の公演の映像を確認しながら、次の公演がより良くなるように意見を交換し合う。歌詞についても、新曲の歌詞ができあがるたびにメンバー全員で歌詞の解釈について語り合い、歌詞への理解を深めていく。そんな作品やコンサートの裏側を知るたびに、モーニング娘。がより好きになっていった。

 

これまで、良く思っていなかったアイドルが、真摯に音楽に向き合っている姿を目の当たりにして、「みんな同じなのかもしれない」と気づいた。「商業的に作られたものを歌うマリオネット」だと思っていたポップスの歌手も歌詞や音の意味について考え、最大限に気持ちを込めて歌っている。他のアイドルも、そのアイドルなりのやり方で鍛錬を積み重ね、表現に挑んでいるのかもしれない。そのことに気づいてからは、今まで持っていたポップスやアイドルへの偏見を捨てようと思った。

 

それ以降、気になったアーティストや楽曲はどんなジャンルの音楽であろうと聴くようにしている。今ではロックだけでなく、ポップスやヒップホップはもちろん、歌謡曲やジャズも聴くようになった。「大事なことは音楽に貼られたラベルではなく、そのラベルの先にある自分が好きだと感じられる音楽に出会うこと」ということに気づかせてくれたモーニング娘。との再会は、私の音楽に対する価値観を大きく変えた転機であり、モーニング娘。は私にとっての三種の神器の1つだ。

GOODS

トップへ