毎日が長すぎて
ズカイ

2020.01.30

峯 大貴峯 大貴

虚ろで冷ややかな眼光をフロアに向けながら、少年のような声で日々の煮え切らなさをとつとつと歌う、マンクモ(Vo / Gt)の姿はまるでニヒルなピーター・パンのよう。2013年に結成、大阪を中心に活動するバンド・ズカイ。「この世にね、本当の大人なんていないんだよ。と歌うインディーロックバンド」と標榜し、キープ・ジュブナイルな精神を携えながら“ビックウェーブはまだ来ない”と大きな夢を卑屈に歌ってきた。

 

3作目のミニアルバムとなる6曲入りの本作。4人編成であった前作まではReal Estate(リアル・エステイト)やMac DeMarco(マック・デマルコ)を思わせるミニマルでローファイなギターポップの印象が強かったが、ギターパートのメンバー脱退&2人加入を経て5人組になったのに加えて、キーボードサポートも擁したリッチな編成になった。それによってトラックメイクや歌唱スタイルなどヒップホップに接近しているソロ名義Allancmo(アランクモ)としても活動する、マンクモのメロディメーカーの一面がフルスロットルで発揮できる環境が整ったようだ。親しみやすく確かな中毒性を持ったメロディはスピッツやミツメなどの系譜に置くことが出来るし、サウンド面においてはシンセの導入と豊かなコーラスワークによって80年代ニューウェイヴやブルー・アイド・ソウルの意匠だってまとうようになり、幅と厚みが飛躍的に拡大している。

中でも “暇じゃない”のシンセ・フレーズにはa-ha“Take On Me”を思わせるほどに煌びやか。「暇じゃない/曇らない/好きじゃない/いられない」と、マンクモ特有の否定形の言い回しが全編にわたって散りばめられた詞には、逆説的にこれから沸き立つ感情を予見する。また象徴的に繰り返される「I feel like an emergency!」のコーラスワークも含めて様々な仕掛けが施された今後の彼らの試金石となるような楽曲だ。

 

一方で “かめのぞき色”では「白に近いごく薄い藍色」との意味を曲名に冠し、青春はすでに過ぎ去った過去であることをフレッシュかつ婉曲に表現している。ギターのフレーズが重層的に混ざり合うミドル・チューン“せかい”では「せかいなんて所詮は色んなエゴで作られているからね」と吐き捨て、現状への満たされなさを残して本作は終わりを迎える。

過去にすがりつきながら、現状と未来に絶望を悟りながら、それでも「止まるのはナシな気がする」(“夜行バス”)と呟くマンクモの頭の中でぐるぐる蠢く思考の図解は、聴き手が思わず寄り添いたくなる魅力を放っている。悩むほどにポップに光り輝いてしまう、嗚呼なんて面倒くさくて愛おしい作品だ。

 

ズカイ『毎日が長すぎて』

 

収録曲

1.暇じゃない
2.夜行バス
3.雨宿り
4.かめのぞき色
5.カワイイあなた
6.せかい

 

価格
1,320円(税込)

 

取扱店舗

【店頭販売】
タワーレコード梅田大阪マルビル店
名古屋・大須レコードショップZOO

 

【ネット販売】
HOLIDAY! RECORDS

FLAKE RECORDS

The Domectic【THIETIME Records内オンラインストア】

 

公式HP zukai official site

 

Twitter ズカイ(@zu_ka_i)

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