makuake
DENIMS

2019.10.22

岡本 海平岡本 海平

大阪・堺市を拠点として活動を続ける4人組バンドDENIMS。彼らといえば私は何より、えやmax(Dr)の時に神妙な面持ちで、時に満開の笑顔で叩くドラムに目を奪われてしまう。私はハードコアやパンクに代表される、重低音が地を揺らすバスドラムと、どこまでも遠く鳴り響くような乾いたスネアドラムが印象的な、精一杯に自らを主張するようなドラムが好きだ。俺の鳴らすドラムこそが主役だと言わんばかりに強く響くビートは体の内側まで揺らし、生きているという感覚を再認識させてくれる。

一方、えやmaxのドラムはいつもどこか湿り気を帯びた丸い音がするバスドラムに、柔らかいスネアドラムの音で、コンパクトにまとまっていながらも縁の下の力持ちのようなドラムといえるだろう。私が好むドラムとは違った性質だが、聴けば聴くほど彼の物腰柔らかいドラムに虜になってしまう。またそう思わせるのはおかゆ(Gt)の軽やかで浮遊感のあるギターフレーズや、まっつん(Ba)の遊び心のあるべースラインとの相性の良さこそがDENIMSの魅力足らしめているからだとも言える。

そんな4人のグルーヴ感のある演奏は、2019年6月にリリースした2nd Album『makuake』でも健在だ。前作『DENIMS』の音楽性を引き継ぎながらも、前のめりなドラムとギターのディストーションの騒々しさが生むドライブ感が新しい、ロックンロール・サウンドM7″SPACY SURF”や、ドッシリとした重みがあるベース・ドラムと淡々としたボーカルのメロディの組み合わせが初期の細野晴臣を思わせる、おかゆが作詞作曲を手掛けたM8″W.S.J.H”など、新しい顔も垣間見えるアグレッシブな内容となっている。

またDENIMSの音楽は、表面こそはポップでキャッチーだがその実、二重底になっているような奥深さがある。M1″INCREDIBLE”は軽快なファンクサウンドに乗せて、かまちゅー(Vo/Gt)の軽く押韻を織り交ぜた心地の良い歌詞と矢継ぎ早に言葉が繰り出される歌いまわしが、そのノリの良さを何倍にも増幅させている。またアルバムのリード曲としてMVにもなっているM3“さようなら、おまちかね”は旅立ちがテーマだが、スウィングする軽快なビートが印象的で、歌うベースラインと相まって、漂う哀愁をポジティブに吹っ切る仕上りだ。バイオグラフィに掲げられている「古い物好きだけど新しい事をしたい。大人だけど子供のように。お洒落だけど泥臭い」という文章のように、過去の音楽の焼き増しではなくロックンロールやファンクを基点に、ヒップホップやパンクなど様々な音楽を組み合わせて再構築することで、オリジナリティ溢れるものに昇華している。

 

自らのバンド名を冠した前作をリリースして以降、大型フェス『RUSH BALL』への出演、自分たちでフェス『ODD SAFARI』を開催、ワンマンライヴはソールドアウトするなど、バンドのキャリアは着実にステップアップしてきた。盟友であるドミコやナードマグネットらと共に注目が集まりつつある現在、日本4大フェスと呼ばれるフェスのメインステージや、ひいては日本を代表するバンドとして海外のオーディエンスを沸かすという未来は、そう遠くないだろう。そんな旅の『makuake』を本作で合図している。

 

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