ブルーエゴナク『sad』

2018.12.07

岡安 いつ美岡安 いつ美

北九州の気鋭の劇団・ブルーエゴナクがロームシアター京都で新作上演する。元ラッパーという異色の経歴を持つ劇作家・演出家、穴迫信一が率いる本劇団は、リリック(抒情詩 )を 用いたセリフやビート感のある劇構造など、音楽性の高い演劇づくりが特徴。今回の京都公演は、ロームシアター京都と京都芸術センターとが協働する若手創造団 体支援企画“KIPPU”の対象として抜擢された新作です。

 
北九州を越え京都や東京でも精力的な活動をしている彼らの最新公演、お見逃しのないよう。

あらすじ

〈ささやかな悲しさを見逃さない〉ための物語

山口県下関市。8月29日(火)。温く重たい風がもたもたと流れる残暑の厳しい夏。江本の祖母・静枝の家は坂の上にある。お盆も過ぎた頃、江本は静枝と祖父の墓参りに出掛ける。静枝は記憶がやや曖昧で、それでも祖父の死後から24年間毎月通った霊園までの道のりは覚えていて、しっかりした足取りでずんずん歩く。自分より背の高い植物が右側から生えて、自分の頭を越して左側に垂れ下がる。それを分かりやすく嫌がって、鼻と口を手で押さえて江本は越えて行く。祖母との道、ささやかな悲しみの到来が、今生きている自分の輪郭を浮かび上がらせる。
現実と、実体と、向き合うには長くて、忘れるには静かな道。

作品によせて

『sad』は、いま世界で起きる事件や災害の数々によって生まれる大きな悲しみと、それに飲み込まれていく〈ささやかな悲しさを見逃さない〉ための作品です。それぞれの環境でそれぞれの幸や不幸が起きる。国、町、集団、個人、単位は異なれど、その属性にしか共有も共感もされないことがあるのではないでしょうか。共感し得ない個人の悲しさは、個人以外のものになりようがない。そしてそれが唯一の世界全人類もしかしたら死んだ人やその歴史、動物や植物の声なき声、そのすべての共通項なのかもしれないと考えます。それでその今、劇場という場所で、ただならぬ音圧によって、個人の声が個人の声でありつづけながら、それを〈聴くことだけでも、誰かと共にする〉作品は作れないかと考えています。
(作・演出 穴迫信一)

ブルーエゴナクとは

2012年旗揚げ。福岡県北九州市拠点。作・演出である穴迫信一の元ラッパーという経歴から、ビート感と叙情的なリリックを用いた音楽の感度を生かした手法が特徴。劇場のみならず、商店街・ショッピングモール・モノレール車内など、日常的な空間を使った上演を多数行っている。近年では県外での滞在制作も意欲的に行う。地域やジャンルを超え、新たな人やカルチャーと出会い受けた刺激を糧に、目に見えない『生々しい感覚』を覚えるような作品づくりを目指す。

INFORMATION

日程

2018年12月14日(金) – 12月16日(日)
計4ステージ

時間

12月14日(金)19:30
12月15日(土)15:00
12月15日(土)19:00
12月16日(日)15:00

アフタートーク

上演終了後20分程度
12月14日(金)19:30の回:木ノ下 裕一(木ノ下歌舞伎・主宰)
12月15日(土)15:00の回:橋本 裕介(ロームシアター京都)
12月15日(土)19:00の回:倉田 翠(akakilike)・岡本 昌也(安住の地)
12月16日(日)15:00の回:土田 英生(MONO)

会場

ロームシアター京都 ノースホール( 京都市左京区岡崎最勝寺町13 )

料金

一般前売3,000円

U25 2,500円

高校生以下1,000円

主催

ブルーエゴナク

共催

ロームシアター京都(公益財団法人京都市音楽芸術文化振興財団)、京都芸術センター(公益財団法人京都市芸術文化協会)、京都市
*ロームシアター京都×京都芸術センター U35創造支援プログラム”KIPPU” 採択企画

作・演出

穴迫信一(ブルーエゴナク

出演

木之瀬雅貴 松岡咲子(ドキドキぼーいず) / 大石英史 / 菅一馬 / 福井菜月(ウミ下着) / 諏訪七海 / 西村貴治 / 平嶋恵璃香(ブルーエゴナク)

HP

http://buru-egonaku.com/sad

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