REPORT

Superfriends presents 『LATE GREATS』京都編

2018.09.04

キャシーキャシー

2018年8月15日、my letterとSuperfriendsのライブが京都二条のLive House nanoにて行われた。

 

主催はSuperfriends、タイトルは「LATE GREATS」。

 

イベントに参加した当サイトライターのキャシー(my letterドラム)とケガニ(Superfriendsトランペット)が、「文字でも対バンできたら」と相互レポートを発案。お互いがそれぞれのバンド、それぞれの目線から書いたライブレポート・コラボレーションが実現した。

my letter

先攻、my letterの一曲目はセカンドアルバムのリードトラックである“エスケープ”。そこから続けざまにポップなリフが印象的な“アメリカ”へ。会場の空気を一気に自分のものにした。ギターの重なりが、それぞれくっきりと聞こえてくる。

 

キヌガサ(Vo. / Gt.)はMCで「(Superfriendsを)ツブす! ツーマンなんで」、と冗談めかして宣戦布告していたが、それは単にポーズではない。お互いが大学生だった頃に出会って以来、長く苦楽をともにしてきた両バンドの再会は、どこかひりついた空気を醸し出している。互いの音楽を相手にまざまざと見せつける場としてのツーマンイベントが始まった。

4小節を基本単位にした反復的な展開の曲が続く。深夜のもつれる思考のようなリフレインの応酬。時に激しく、時にゆるやかに、多声的なバンドサウンドが広がっていく。メロディの王道的キャッチーさが魅力なSuperfriendsに対し、my letterの音楽は重なり合うバンドサウンドと歌詞が作り上げる独り言のような世界観である。しかし、たとえば8曲目の“もうひとつの10月に”の中間部のギターに象徴されるように、独り言は誰かのなかで反響して別の音楽を鳴らすことをどこかで望んでいる。ベースとドラムはさながら徘徊する主人公の足音のようにこの音楽に寄り添っている。

 

“車窓”でさよこ(Ba. / Cho.)がリードボーカルを取ったり、ときおりメンバー内での楽器の持ち替えが目を引くが、軸はしっかりとmy letter節なのが面白い。ギターやキーボードなどの、いわゆる中音域が渋滞しそうなところ、しっかりとそれぞれのいい音を鳴らしているのが印象的だ。

終盤のMCでキヌガサは、かつてnanoで共演したことを思い出す。「まさかこんなに(お互い)音楽を続けられるとは思ってもみなかったです。続けているといいことあるなぁと。なので、さきほどの「ツブす発言」は許していただけけると……」と笑っていたが、お互いの関係性があるからこその発言なのだろう。最後まではっきりとリスペクトの感じられるステージだった。

最後2曲はセカンドから“僕のミュージックマシーン”、そしてファーストから“ルーザー!”。畳みかけるような中盤の展開とは裏腹に、内省的とも言える曲で終わるあたりがまたmy letterらしさだ。彼らのいう「アート・パンク」は単なる自称でも見せかけでもない、こうした音楽に対する態度にあるのだろう。

 

Superfriendsがmy letterを相手に選んだ理由を尋ねると、「バンドをやっている、ジャンルをやっているではなく、あくまで音楽をやっていて、バンドはその表現手段だという芯の強さ」だという。今日のライブを見る限り、それはどんどん強度を増している。

 

会場の静かな興奮のなかでmy letterのステージは幕を閉じた。活動頻度の下がった今でも、彼らの音楽はたどり着く先をもとめて徘徊をつづけている――そのことがはっきりわかるライブパフォーマンスだった。

 

(ライター:ケガニ)

Superfriends

Superfriendsのライブには、曇りがない。

 

たとえば映画なんかでもよくあるじゃないか、途中でちょっと間延びして集中が切れてしまう時間が。彼らのライブにはそれが微塵もないのだ。どの曲も、身体を揺するパワーのあるリズムが流れていて、聴く人を飽きさせないスパイシーなリフがあって、キャッチーなメロディやシンガロングできるフレーズがあって、テンションのぶち上がるソロパートがあって、それでいて統一感があり全体がちゃんとSuperfriendsというストーリーにはまっている。曲ごとにくるくると場面が移り変わる、鮮やかな絵本のページをめくっているような感覚。

3人でステージに上がって1曲目、イントロのキャッチーなコードギターを合図にして駆け抜けるように始まった“Jet Jet Jet”は、前へ前へと推進力のあるベースと共にフロアの観客を瞬く間に自分たちのペースへと飲み込んでいく。物語の幕開けにふさわしい爽やかでまっすぐな曲だ。

続いてサポートギターが加わった“Before The Night Falls”では、2本のギターが自己主張しながらも絡みつくハモりのフレーズで曲の盛り上がりを牽引していく。

 

そして狙い澄ましたかのように不敵に鳴らされる“Because Of You”のイントロダクション。待ってましたとばかりにフロアからは歓声が起こった。これを楽しみにしていた人がきっと沢山いたのだろう。塩原(Vo. / Gt.)は完璧なタイミングで自らの歌を観客へと託す。フロア中から沸き上がる無数の「Because Of You」の歌声。小さく密度の高いnanoの熱狂の中では相反するようだが、この時私の脳裏にはSuperfriendsがもっともっと大きなステージに立ち、眼下に見渡す限りの観客が跳び上がり手を上げている情景が浮かんでいた。いつか現実になるかもしれない。

再び元の3人編成に戻ったバンドはアコースティックギターとハーモニカを手にして穏やかな世界を描き出していく。シェーカーの響きと優しく鳴らされるドラムのリズムは流れる川のようで、その上を牧歌的なアコギのフレーズと歌がなぞる。

 

ここでトランペットが加わった。先の曲よりもさらにローテンポなナンバーに観客の身体は緩やかに横に揺れる。口笛の高い音、限りなく柔らかいトランペットのロングトーンのフレーズ。MCで本日配布のカセットについて、そして塩原の身の上話を聞かせ観客をどっと笑わせた。そこからさらりと始まった“Caravan”は間奏で聴かせるギターとトランペットのユニゾン、ギターだけわざとずり上がる鳴らし方が心憎い。曲の途中「パララッ、パララッ」と合いの手を入れるトランペットが澄んだ朝の光を思わせるようだった。『天空の城ラピュタ』のパズーのトランペットのようだ、と言えば伝わるだろうか。

更にサックスが加わった次の曲“Summer”は、高い音で鳴るウッドブロックのリズムが小気味良く耳に入ってくる。スネアドラムのクローズドリムショットと相まってまるで追いかけっこをする時計の秒針のよう。そうしているうちに、ホーンセクションの絡むようなソロが始まった。堪らず声も拳も上げてしまう。サックスの音はトランペットよりも力強くセクシーで男性的だ。ヨーロッパの街並みで男女が会話をしているようなロマンティックな情景が広がっていた。

バンドは再度ギターロックの編成に戻る。 “Million Miles Apart”。曲名が告げられた瞬間にフロアからは再び大きな歓声が上がった。ギターのアルペジオとベース・ドラムだけのシンプルなAメロの上に、最高に優しく語りかけるボーカルが乗る。あぁ、やっぱりSuperfriendsの魅力ってこの泣いてしまいそうな歌だよなぁ。ゆるやかな大合唱。フロアも皆歌っている。遠くの何かを懐かしんだり大切に確かめたりするみたいに。

 

「長かったライブもこれで終わりです」。本編最後の曲“Don’t Let Me Down Across The Universe”。溜め込んだ力を放出するみたいに重たいクラッシュシンバルが鳴った。かと思えばドラムは軽く疾走感のあるリズムに変化。堅めのハイハットの刻みと、何と言っても、オクターブを行ったり来たりして跳ねるベースのフレーズ。最高だ。こんなの身体を動かさずにはいられない。転がるようなビートを刻んでいたところに、突然ギターが「ドレミファソラシド」とゆっくり音階を弾き始める。否が応にも高まる期待感。音階は次第に楽器を増やし速度を増し一気に最高潮へ。2本のギターソロの掛け合いがこの上なく熱い。期待を裏切らない最高のフィナーレであった。

客席からはアンコールの拍手が鳴りやまない。初めて彼らを見たという最前列の男性が感動のあまりメンバーに話しかける。その表情のなんと嬉しそうだったことか。「こういうことがあるからイベントは素晴らしいですよね」と塩原は言った。本当にその通りだ。音楽を通してしか生まれない出会いがある。

 

乾いた気持ちの良いドラム、ルート音を駆け抜けるベース、バンド全員のコーラスとそれに重なるホーン隊、タンバリンが鳴ったりギターソロが最前線に出てきたり、全員がとても自由にのびのび演奏しているのに見事なまでにまとまっている。皆思い知っただろう、思い出しただろう。これがSuperfriendsだ。MCで11月頃の予定と言われていたニューアルバムの発売がとても楽しみである。

 

(ライター:キャシー)

イベントを終えて

ケガニ

“LATE GREATS”というWilcoの同名曲は「最高の曲はけっしてラジオでは流れてこないし、歌われることがない」と歌っていますが、今夜はそうした報われない偉大な音楽への、そしておそらくは両バンドそれぞれの音楽への、敬意がこめられたツーマンライブだったように思いました。立ち止まる気配のないmy letter、Superfriendsの両者をこれからもよろしくお願いします。

キャシー

本当に久方ぶりの対バン。Superfriendsのことを忘れていた訳ではないんです。ただ年月を経てそれぞれバンドを取り巻く環境も変わり遠ざかっていたことは事実で、だからこそこの日一緒にライブが出来たことは素直に嬉しかった。私はSuperfrendsのライブから心躍るものを受け取りましたし、彼らもきっと何かを受け取ってくれていると信じます。時間を隔ててもこうしてステージに立てば通じ合うことが出来るのは、音楽をやっている人間の特権かもしれません。この場を借りて、本当にありがとうございました。

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