INTERVIEW

【モーモールルギャバン / ゲイリー・ビッチェ】好きで好きでたまらない!スーパーノアは俺に語らせて!3rd mini album『素晴らしい時間』リリース・スペシャルインタビュー

2018.07.24

堤 大樹堤 大樹

写真提供:ゲイリー・ビッチェ

星の数ほどバンドがいる今の世の中で、”至宝”と呼ばれるに見合ったバンドがどれほどいるだろうか?2004年より活動を続けてきたスーパーノアは、間違いなく”京都の至宝”の名に恥じない輝きを持ったバンドだ。ここまでマイペースに活動を続けてきた彼らが、昨年度のフルアルバム『Time』に引き続き、3rd mini album『素晴らしい時間』のリリースを発表。

 

名だたるミュージシャンからの評価も高い彼ら、ファン以上に心を掴むのが難しい、耳の肥えたミュージシャンたちはスーパーノアのどこに魅力を感じ、愛しているのか?新譜と一緒にそんな彼らの魅力を掘り下げます!

インタビュアー:堤大樹

ずっと変わらずピュアに信じる音楽を作り続けてきた結果が、今のスーパーノア。それにちょっと嫉妬してしまう

ーー:

矢島さんは、スーパーノアとは大学が一緒だったとお聞きしています。そこでどのように知り合ったんでしょうか?

矢島:

スーパーノアはサークルの後輩ですね。俺が4回生の時の1回生か、卒業した時の入れ違いだったかな。

ーー:

当時の印象って覚えてますか?

矢島:

スーパーノアは最初から視点が外に向いている感じがありましたね。在学中からnanoとかVOXhallなどの京都のライブハウスにガンガン出て評価されて、視野を広く活動していたイメージがあります。音楽活動がサークルの人間関係の中で完結しちゃう人って多いんですけど、彼らは外へ出て音楽をちゃんとやるっていうのを若い頃から意識していた印象です。

ーー:

当時のライブや曲の印象はどうですか?

矢島:

それが、スーパーノアって印象が当時も今もびっくりするくらい変わらないんですよ。昔から「井戸くんはこれが好きで、赤井くんはこういうギターが好きで」っていうのが本当にぶれないんですよね。ただ、曲のクオリティと演奏力だけがひたすら研ぎ澄まされていって、特にここ近年はものすごい名曲を生み出していってます。俺、前作“what light”と今回のアルバムのM01“ミラーボール”は酔っぱらって聴くと泣いちゃうんですよ。

ーー:

彼らのどういった部分が矢島さんを泣かせるんでしょうか?

矢島:

彼らの音楽は気持ち良いくらいに正攻法ですよね。俺は真逆なんで、とりあえず「パンティパンティ」言って興味を引いて聴いてもらって、「意外と音楽的にちゃんとしてるし良い曲もあるじゃん」って思ってもらえるように頑張ってたわけですけど、それって言わば芸能の理論じゃないですか。スーパーノアも俺たちも「良い音楽を作って届けたい」っていう気持ちは変わらないんですけど、彼らには芸能の理論がなくって、単純に信じる音楽を突き詰めていって、今30代半ばに差し掛かったところで、気付いたら年に1曲くらいとてつもない名曲が出来ちゃうようなバンドになっている。こいつらすげえなって改めて思ってますね。

ーー:

商業的な成功と、良い音楽はやはり別ということでしょうか。

矢島:

俺らって2010年デビューなんですけど、俺らの頃はまだメジャーデビューしたらメディアに沢山出てすごい勢いで拡散されて勝手に売れていく、みたいな流れがぎりぎりあって。それに良くも悪くも振り回された最後の世代がモーモールルギャバンだと思ってるんです。かたやスーパーノアは、この前ライブを見に行ったんですけど「最高すぎるだろ、ふざけんなこの野郎!」みたいな極上のライブを普通にしちゃうんですよね。近い例で言うと、Yellow Studsもそういう鬱屈した感情をずっと抱えてバンド辞められずにずるずるやってきてしまいました、みたいなことをMCですぐ言うんですけど、やっぱり最高のライブをするし、実際彼らを見に来るお客さんはどんどん増えてるんです。何だかすごく健全で良い時代だなって思っていて。だから逆に俺らみたいなバンドにとってはいま苦境なんです。

ーー:

時代が変わってきているんですね。

矢島:

今は知名度が無くてもちゃんとライブで良いもの見せられるバンドがきちんと評価される時代になってきているし、そのタイミングでスーパーノアがこんなに良い曲を作るようになってきたこの感じには、もはや嫉妬すら覚えますね(笑)

ーー:

我々がスーパーノアを記事で取り上げようと思った最初のきっかけは「こんなに良い音楽をしているのに、何故もっと多くの人に届かないのか」という気持ちがあったからなんです。

矢島:

今の時代は、“とりあえず数字出そうとしている人たち”全員が迷走しているので、だからこそ数字を追い求める必要ってないと思ってます。数字が出なくなったことで絶望して辞めちゃう人って実はすごく多いんだけど、京都って昔からそういう“売れる / 売れない”よりも大事なものがあるって考え方があって、それが東京の人たちにとってはとても眩しいことなんです。と言うのも、俺が東京に引っ越してきてから、京都のバンド台風クラブがすごく売れてるのを目の当たりにして、「なるほど、東京に住んでいる人が京都のミュージシャンを眩しく思うってこういうことか」っていうのを実感したんですよね。売れる売れないって、運の部分も大きい。ただスーパーノアはなかなか売れないからひねくれて、みたいなところがないんです。すごくまっすぐで、だから俺は「井戸くんの順番はじきにちゃんと回ってくるな」って思ってます。

ーー:

最近になって良い曲が増えているとのことでしたが、それはどうしてなのでしょう?

矢島:

それが井戸くんのすごいところで、彼は好きな音楽に対してどこまでも純粋で、もっと良い曲を作るにはどうしたらいいのかってことをずっと考えてるんだと思うんですよ。天才型じゃないけどすごくピュアなんですよね。例えば天才型の人って、ファーストアルバムがピークでその後低迷していく感じの人が多いんです。でも井戸くんの場合は、評価されることよりも自分が積み上げてきたものを大事にしているというか、すごく地に足着いたやり方で音楽と向き合っているなあって感覚がありますね。そういうところが同じミュージシャンとしてとても眩しいし、頭が下がる思いですね。

ーー:

そういったピュアなバンドって少ないですか?

矢島:

いや、他にもいるんです。でも更にもう一つ言うなら、スーパーノアは売れることだって諦めていないんですよ。ピュアなだけのバンドと売れたいだけのバンドはいっぱいいるんです。でもスーパーノアはその両者においてすごく良いバランスを持ってるなぁと思っていて。自分が信じる良いものを作っていれば絶対評価されるって信じてやっている。それも、作品を出すたびにちゃんとクオリティを上げて作り続けている。それってなかなか出来ないことですからね。「前回の作品でああだこうだ言われたから、次の作品では変えようか」みたいに、外野の意見でぶれるてしまうことってすごく多いので。

ーー:

矢島さんでも影響されることはありますか?

矢島:

めちゃくちゃ影響されますよ。真似できないなって思ったエピソードがあって、井戸くんからアルバムのコメント貰いたいですって連絡が来た時に「作品を良いと思わなかったら別にコメントくれなくていいです」って平気で言ってきたんですよ、この子は本当にピュアだなと思って(笑)。例えばもし俺がこういうの人にお願いするとしたら「俺史上最高の作品が出来たんで、是非コメントお願いします!」くらいなこと言っちゃうだろうなぁ。何だか胸が痛くなります。いろいろと俺は毒されちゃったなぁって(笑)

ーー:

今のお話を聞いて、井戸さんはピュアだけど、ちょっと尖ってもいるなって思いました。

矢島:

そうですね、ベジータみたいなもんですね(笑)。ピュアな人ほど、自分を曲げるのが許せないですからね。それがスーパーノアにはすごく良い形で表れているなぁと思います。

ーー:

変な外圧で曲げることなく、上手くやってこれたバンドなんですね。

矢島:

京都の良い所ってあまり外圧がないところだと思っていて、自分の好き勝手にやってそれが許される環境って日本のどこを探しても意外とないんです。京都は人の行き来があるからすごく風通しは良いんですけど、そんな中でもマイペースが許される場所。近隣の大阪や神戸とも全然違います。モーモールルギャバンがどれだけ売れてようがあまり関係なく「ハァ?矢島何言ってんのお前?」って言えちゃうようなフラットさがある。

ーー:

京都特有の空気感ですね。

矢島:

俺が東京に来てすごく息苦しなあって思ったのは、売れてるやつは偉いし売れてない奴は存在価値ナシ、みたいなヒエラルキー社会を感じたことで、調子良い時はニコニコしてくる奴が調子悪くなるとそっぽ向くみたいなことが日常茶飯事なんです。京都はそれがないですよね。ライブハウスの店長たちもマイペースだし、音楽する上で環境もすごく良いんですよ。俺後悔したところもありますもん、東京行って。

全然知らないやつにこの曲を聴かされても、やっぱり号泣できるくらいいい曲だと思う

ーー:

今回の3rd mini album『素晴らしい時間』の印象はいかがですか?

矢島:

M01“ミラーボール”を聴いた瞬間に涙が止まらなくなっちゃって。「俺、疲れてんのかな…?」と思って後日元気な時にもう一回聴いてみたんですけどやっぱり泣いちゃって、もう良すぎて「井戸ここまで来たかこの野郎ぶっとばすぞ!」みたいな気分になっちゃって(笑)。やんなっちゃいますね。

ーー:

嫉妬しちゃうですか?

矢島:

嫉妬しますよね。それくらい本当に良い曲なんです。

ーー:

先ほどから絶賛している“ミラーボール”の良さについて、どのような部分が矢島さんを泣かせてしまうのかもう少しお聞かせいただいてもよいですか?

矢島:

この曲って歌詞を読んでも、特別なことを言っているわけではないですよね。なのに何でこんなに泣けるんだろうって考えたら、ひとえに彼が音楽とピュアに向き合い続けてきた結果が楽曲に表れているからなんですよね。言葉も、声も、サウンドも、リズムもフレーズも、その全てと本当にちゃんと向き合ってきた音が鳴っています。かと思えば、M04“井戸とバイバイした”みたいな曲入れてくる。その真摯な姿勢と、遊び心のバランスが素晴らしい。もう本当に、良いバンドだなぁと思います。

ーー:

前作と比べて、今回のミニアルバムの印象ってどのように変わりました?

矢島:

印象はね、安定のスーパーノアだなって感じ。それはつまり今までの彼らが積み上げたものを大切にして、その延長線上でサウンドを鳴らしてるということですね。ただやっぱり“ミラーボール”っていう本気の名曲を突っ込んできた印象が本当に強い。そんなことばっかり言うと“ミラーボール”だけのアルバムって思われたら癪だし、そんなことは全然ないんですが。「歌詞で大したこと言ってないのに名曲だよ」っていうのは俺的にはミュージシャンへの最上の褒め言葉だと思ってるんですけど……これで井戸くんがすねちゃったら、すいません(笑)

ーー:

しかもその渾身の曲を1曲目に持ってくるっていうのが挑戦的ですよね。

矢島:

いやぁ、でもあれは1曲目でしょう。あぁ、でも1曲目なんだけど、最後の曲にもなれるし……なんかね、本当に良い曲作って来たなと思って先輩はもう胸がいっぱいですよ。

ーー:

僕“ミラーボール”を聞くと自分が今まで過ごしたライブハウスでのいくつもの夜の光景が思い浮かぶんですよね。きっとこの曲を聴いた沢山の人もそうなんだろうなと思うんです。

矢島:

月並みな話だけど、スーパーノアって俺らよりキャリアが長くてもう15年くらいやってるんですよね。この曲には、その15年をギュッと一曲に凝縮しましたってくらいの破壊力がありますよね。聴くと条件反射的に泣いちゃいますし、俺も多分無意識にいろいろ思い浮かんでるんでしょうね。例えば、自分の後輩が頑張ってるとかの事情を抜きにして、全然知らない奴がこの曲を「聴いてください」って俺に渡してきたとしても、やっぱり号泣すると思うんですよ。前作“what light”の時も衝撃だったんですけど、今回それを更に越えて来たから、もうスーパーノアの未来は希望しかないなと思ってます。

ーー:

あとはもうタイミングさえ来れば、もっと広く沢山の人に聴いてもらえるということでしょうか。

矢島:

今って現場の人たちは“楽しいだけの音楽”にみんな飽きてきているので、スーパーノアみたいな音楽を求めてる潜在的なリスナーってめちゃくちゃ多いと思うんです。曲作りってセンスとか才能とかでまとめられがちな概念ですけど、実は井戸くんに才能があるって思ったことはないんです。ただ、「人って努力でここまで来れるんだ」ってことを体現し続けてる。そうやって丁寧に真面目に音楽を作り続けてきたからこそ、今の境地まで来れたんだろうなと思うし、その事実に俺も希望を貰っています。

ーー:

最後に、スーパーノアについてこれだけは言っておきたいことってありますか?

矢島:

……俺これだけずっとスーパーノアのこと話してて、がんちゃん(Ba.岩橋真平)の名前を全然口にしてないことに今気づきました(笑)。でも、がんちゃんあってこそのスーパーノアだし、俺は本当にがんちゃんのベースが大好きなんです。何でがんちゃんの話がここまで出てこなかったんだろう。“ミラーボール”が良すぎて井戸くんにばかり脚光を浴びせてしまったので、次はがんちゃんのベースソロが全編炸裂する曲を期待してます。

ーー:

ありがとうございました!

スーパーノアへの愛を語った、その他のアーティスト

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モーモールルギャバン

 

 

2005年4月、スーパーノアの大先輩ゲイリー・ビッチェ(ドラムス&ボーカル)が大学卒業後、半ば強引に友人を説得して京都で活動開始。スーパーノアのように幾度かのメンバーチェンジを経て2008年よりゲイリー・ビッチェ(ドラムス&ボーカル)、T・マルガリータ(ベース)、 ユコ=カティ(キーボード&ボーカル&銅鑼)の3人で活動中。 スーパーノアのようなロマンティックかつ刺激的なバンド・サウンドと、胸にキュンとくるメロディセンス、独特の世界観が全国ライブハウスで炸裂中。今日もSMMAの大先輩としての威厳を保つため、モーモールルギャバンは「パンティー」と叫ぶ。

 

公式HP:http://mowmowlulugyaban.com/

スーパーノア

 

 

(L to R)岩橋真平(Bass)井戸健人(Guitar.Vocal)岡村寛子(Keyboards)赤井裕(Guitar)

 

2004年結成。京都を中心に活動開始。全国各地にてライブ活動を精力的に行い、2009年にcolla disc/M.D.L!より1stミニアルバム「雨の惑星、ステレオの向こう」をリリース。千原兄弟のコントライブ「ラブ」に楽曲が全面的に使用されるなど、好評を得る。2010年に5曲入りEP「circle」を発表し、前作共に完売。2011年にシングル「リリーと穴」、2013年にシングル「C」をリリース。2014年にはサポートメンバーであった岡村寛子(Keyboards)が正式メンバーに加入。またサポートメンバーに石渡新平(Drums)を迎え、楽曲制作に向けて注力する中、2016年にSIMPO RECORDSよりシングル「ドリームシアター」を発表。2017年、同レーベルより待望の初のフルアルバムリリース。

 

公式HP:http://supernoah.net/

 

スーパーノア 3rd mini album『素晴らしい時間』

 

 

1.ミラーボール
2.Let down
3.たまたま
4.井戸とバイバイした
5.Au revoir
6.なつかしい気持ち

 

2018.7.8 release
SMPR-010 / ¥1,500(without tax)
Label:SIMPO RECORDS

 

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