INTERVIEW

Vo.アベフミヒコが初めて語る。SIRMO STADの軌跡とニュー両A面シングル『見慣れた街で / girl』にかける想い

2018.07.16

齋藤 紫乃齋藤 紫乃

2018年6月9日(土)に両A面シングル『見慣れた街で / girl』をリリースし、京都GROWLYでのリリースイベントを皮切りに、現在精力的にツアーを展開するSIRMO STAD。実に3年ぶりとなるシングルのリリースにかける想いや、彼らの音楽へのこだわりを探るべくGt / Vo.のアベフミヒコにインタビューを行った。

SIRMO STAD

 

 

Fumihiko Abe(Gt / Vo)、Takuya Nagatomo(Ba / cho)、Yoshikazu Tanaka(Dr)による関西を拠点に活動する3ピースバンド。儚さと力強さを併せ持つ楽曲とボーカルアベによる繊細で中性的なテナーボイス。その独創的且つ圧倒的な世界観で、オルタナティブ、シューゲイザー、アンビエント、エモ、ポストロックなどシーンの垣根を越え称賛を集めている。

 

公式HP:https://sirmostad.net/

インタビュアー:堤大樹

長くソロ活動をしていたけど、やはりバンドならではの良さというものがある

ーー:

再結成は2012年なんですよね。

アベ:

実は結成はめちゃくちゃ古くて、2002年の大学1年生の時です。同じ大学のサークルのメンバーで結成して、2006年まで活動していました。そこで一旦解散して、僕はそこからアベフミヒコというネーミングでソロ活動をしていて、再結成したのが2012年かな。

ーー:

ソロでの活動を経てからバンドを再結成したのには何か理由があったんですか?

アベ:

学生時代からお世話になっていた京都のWHOOPEE’Sってライブハウスが閉店する時に、出てくれないかって声を掛けてもらって。再結成とかは考えずにとりあえず集まったんだけど、やっぱりメンバーと鳴らしちゃうとおもしろくて。「やろうぜ!」っていうよりは、「楽しいしやりますか」って感じで再結成しました。でもやったらやったで色々ぶつかることもあったし、それが理由でメンバーが変わるということもありましたね。

ーー:

ぶつかられたときって、ソロの方がいいって思ったりしました?

アベ:

思う時あるよいっぱい(笑)。やっぱりソロは表現、制作にしても自己完結できるんで、かかる時間も違うし意見の食い違いも起きないし。でも、ソロよりもバンドの方がおもしろいと思っているよ。

ーー:

それはどういうところがおもしろいと感じるんですか?

アベ:

やっぱり自分のイメージしているもの以外の発想が出るところかな。曲にしてもライブを作るにしても。ソロは基本弾き語りでやっていたから音も自分で完結するけど、バンドだと当然自分の身体以外のところから鳴っている。それゆえの難しさもあるけど、それがハマッたときの良さみたいなのは絶対に1人では感じられない。ストレスもあるけど(笑)、それ以上に、マジックめいたものが起きた瞬間はたまらないですよね。作曲なんかで迷いが生じた時に、メンバーに「それが良いよ」って言われたらじゃあそうするよってなることもある。これはソロじゃ出来ないことですね。バンドをやってたらはわかる人は多いんじゃないかな。

楽曲に対して、前以上に責任を持つようになった

ーー:

バンドメンバーが変わる時、結構大きな変化がバンドにはあるじゃないですか。スリーピースやツーピースだと、一人あたりの要素はなおさら大きいですよね。その中でSIRMO STADらしさの軸はどう保ってきたんですか?

アベ:

徐々に自分が主導するんだという覚悟が決まってきて、曲を作るうえでも最終のジャッジは自分がするようになった。自ら言う気はないけど、「おれがSIRMO STADだ」って捉え方をされてもいいのかなって。

ーー:

楽曲に対して責任を持つということですかね。

アベ:

そうだね、だいぶ変わった。

ーー:

それって何かきっかけがあったんですかね?

アベ:

はっきりしたきっかけはなくて、初期メンバーの頃は各々のパートはそれぞれに任せていて、だから生まれる独創性もあったんですけど。やっぱりメンバーやサポートを新しく迎える時にはこちらが方向性を示してあげなきゃいけない。各パートについてもある程度はこちらが示してあげるっていう形をとったり、そういう過程で僕自身自分以外のパートがより聴こえるようになったし、そのぶん自分の中で譲れないことも増えた。そんな流れで徐々に変わってきたと思います。

ライブに関しても曲の繋げ方や間の取り方、この曲のあとにこの曲がきた方が良さが際立つとか、30分なら30分でどう波をつけていくかとかをより明確に言葉にして共有するようになりました。

ーー:

僕が忘れられないのは、長友さんが入ってすぐにUrBANGUILDで見たライブですね(2016年09月04日)。今までSIRMO STADって良い曲だな、良いライブだなって思った時はたくさんあったんですけど、あの日は明確にステージをいくつか上がった印象がありましたね。

アベ:

今もステージを上がれたのかどうかは正直わかりません(笑)。演奏側の達成感とお客さんの反応とのギャップはバンドをしていたらある話なので、これからも悩ませされると思います。ただここまでバンド内のバランスが変化しながらも、いい形で固まってきた時期ではあったので、この方向で間違ってないんだという自信にはなりました。

たとえ売れる目的でも、自分たちの良いと思う音楽は曲げられない

ーー:

SIRMO STADもマイペースながらだいぶキャリアを積み上げてきましたね。今でも売れたいって思いはありますか?

アベ:

よく聞かれるし、そりゃ音楽をやっていて売れたくない人はいないと思う。多くの人に聴いて欲しいし、より大きなステージでライブがしたい。そういった気持ちはもちろんあるし、努力ももっとしないといけないとも思ってます。でもその目的のための音楽を作ることはしてこなかったし、これからもすることはないですね。自分達が良いと思える音楽を作る。何よりこれが前提。あたり前のことではあるんですけど。

ーー:

売れるためにやりたい音楽を曲げたくないってことですよね。一番難しい。

アベ:

うん、それが今一番大きいかな。音楽、制作、表現ってことにセールス、数字、話題性ってどうしても付いて回るじゃないですか。ラジオから流れる音楽だったりを聞いていると、そっちを優先しているなって感じることが多くて。それはその人たちが割り切ってやってると思うんだけど、僕は聴いていて気持ち良くないし、不健康だなと感じてしまう。そもそも自分には曲げられない、というかその割り切り方は出来ないって感じですかね。

ーー:

ブンさんの思う良い音楽ってなんですか?SIRMO STADにとっても。

アベ:

1つはその人だからこその音であること。個性的だとかじゃなくて、ちゃんとその人なりの色が見えるもの。それと余白がある、想像の余地があるもの。説明されすぎると引いちゃうし、「こう聴け!」って押し付けられるのもあまり好きじゃないんですよね。あとは人肌感というか、血の通っているというか。どんなにエレクトロで機械的でもどこか暖かさがあるものが好きです。

 

もう少し作り手側の立場からいうと、1つ1つの音や展開やアレンジ、音作りとかにちゃんと意図があるなと感じると好感が持てます。技術的にストイックで複雑なものってわけじゃなくて、シンプルならシンプルでちゃんとそれが良いと思ってやってるのがわかるといいですね。あるジャンルを忠実に体現するならするで、「これが好きなんです!」って姿勢は見ていて気持ちいいです。これらは結局自分達が音楽を作る時に大切にしてることですよね。

ーー:

それこそ谷さん(初期メンバー / Dr.)がいた時とかってけっこう感情が高ぶる瞬間があるバンドだったと思うんです、それこそ激情系バンドに近いというか。でも今そのエモの種類が変わりましたよね。

アベ:

まずは彼のキャラクターによるところが大きいかな。彼は感情を露わにプレイするタイプだし、ハードコアやエモといったものが根本にある人で。彼とはお互いの個性の融合を楽しんでいたので、それが武器でもあったと思う。

それと僕らの曲って抑揚が一つのポイントだと思うけど、以前は抑えた部分もあくまでその先の「揚」のためにあって、曲が盛り上がった時の感情の高ぶりこそが最終目的みたいのがあった。でも今は「抑」の方もより大切に出来るようになったし、抑えたアレンジも楽しめるように、感動を見出せるようになったなと思う。これはソロ活動で培ってきた部分だなと感じます。

曲作りの進め方からも、初期衝動みたいのは減ってるのかもしれないです。

ーー:

曲のインスピレーションの源も変わりましたか?

アベ:

以前はイメージが先行して曲を作ることってほぼなくて。セッションでピンときたものを元にしたり、何気なく弾いたコードやメロディーを軸にしていたんだけど、最近はこんなリズム、エッセンスを取り入れてみようとか、もう少しスタートが音楽的になったのかな。それこそ今回のシングルの『見慣れた街で』はリズム(ドラム)から作り始めたんです。

新曲『見慣れた街で / girl』はバンドの2軸になる曲

ーー:

2015年以来のリリースですが、何故今回このタイミングで両A面シングルにしたんですか?

アベ:

最終的な目標はアルバムなんだけど、アルバムを作るまでにはまあ時間もかかりそうだし、前の音源からもだいぶ経ってるんでひとつのトピックとして出したくて。
どっちも自分たちだよって打ち出し方をしたかったので、色は全然違うけど、両A面という形をとって2曲を同じステージで聴いてもらえるようにした。

ーー:

新曲『見慣れた街で / girl』を聴きました。楽曲自体がインストでも成立しそうだなと思っていて。そこにブンさんの中性的な声が入るとストーリー性を帯びてきて、曲自体が映画っぽくて物語のようだなと感じました。

アベ:

映画ってストーリーに身を委ねたり感情移入したり画の美しさに感動したり自分の体験と重なったり、見終わった後にも尾を引いてしばらく抜け出せなくなったりするものですよね。僕らの音楽がそういうものになれたら嬉しいですし、単純に映画を見るように人を引き込めたら最高です。

ーー:

今回、RECするのにこの2曲を選んだ理由ってあるんですか?

アベ:

曲自体作って3年くらい経つんだけど、音源化していなかっただけでライブでも何回もやっていたし、ライブ活動を続けるうえで一個の軸として存在していた2曲で。

その中でも『見慣れた街で』はすごい転機になった。曲の作り方を変えてみた曲で、出来上がったものが自分たちのそれまでとは違うなという感覚があって、新しいところに一歩踏み込めたなと思った。お客さんの反応もけっこう大きくて。

ーー:

バンドの新しい顔になる1曲なんですね。

アベ:

『girl』は自分の中でも得意としている世界で、ライブの中でもラストによく持っていく曲ですね。シンプルな中にも新しいチャレンジをいっぱい盛り込んでいて、特にドラムのアレンジはこだわっているのでじっくり聴いて欲しいですね。音の必要性を1つ1つじっくり吟味していて、出来上がりにすごく満足しています。

ーー:

『girl』は歌が中心になっていて、メロディーより、サウンド的には包み込むような粒の細かい空間的な広がりのある感じ。盛り上がり方にしても情景的というか、ゆっくり盛り上がっていって最後に抑揚をつけるところがブンさんらしいです。

アベ:

ソロで培ってきたところをシンプルにバンドに落とし込んだ感じが強いかも。

ーー:

繊細な感じですかね、印象的なギターのイントロをリズム隊が盛り上げる感じ、タイトルもブンさんらしい。最後に、今回のリリースは今後SIRMO STADが勢いを付けていくための助走のように感じるのですが、今後の展望があれば教えてください。

アベ:

まずはこのシングルのリリースツアーを今年下半期使って月1.2本のペースでゆっくりやります。岡山と名古屋がすでに終わったんですけど、〇〇ツアーって銘打ってライブするのが実は初めてなので今後も楽しみなんですよ。

制作面ではさっきも言ったようにやはりアルバム完成を目標に、一曲一曲柔軟に向き合って作っていけたらと思ってます。フルアルバムっていうものも実はまだ1枚も作ったことがなくて(笑)。MVも今回初めて作りましたし、そういった意味でもまだまだまっさらなバンドだから。これからの自分たちが楽しみです。

ツアー情報

SIRMO STAD 両A面シングル『見慣れた町で / girl』リリースツアー

 

  • 6/9(土)京都GROWLY
  • 6/30(土)岡山PEPPERLAND
  • 7/8(日)名古屋K.D japon
  • 8/4(土)高松TOONICE
  • 9/1(土)下北沢ERA
  • 10/20(土)札幌SOUND CRUE
  • 11/23(金祝)山口オルガンズメロディー
  • 11/24(土)福岡Early Believers

 

※追加日程あり

GOODS

トップへ