COLUMN

【シネマジプシー特別編】アンテナ川端、みなみ会館館長吉田の2017年映画ベスト

2017.12.31

川端 安里人川端 安里人
川端:

はい、ご無沙汰してます。去年に引き続きみなみ会館館長の吉田さんと今年のベスト5を発表しようという企画です。

吉田:

もう1年たったのか。はやーい!2017年は、本当に激動の1年でした…。昨年の今頃は、こんなことになってるなんて思いもしなかったなぁ。今年の目標に、「映画館にたくさん足を運ぶ」を掲げてたんやけど、バタバタすぎて結局あまりいけなかったなあ~。

川端:

まさか1年前にはみなみ会館が閉館するなんて思ってもなかったからね。いい続報が聞けるの楽しみにしてます。自分も今年は結構忙しくて意外と「あぁ!見逃しちゃった…」って映画がちらほら…

 

一応昨年に引き続き、今年2017年に映画館で上映された映画、初ソフト化された映画の中からそれぞれのベストを上げていきましょう。例えば『牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件』なんかは1992年公開の映画なんですが、今年リバイバル上映されたので、初見なら入れてもいいです。自分はVHS時代にみてるから入れられないんだけどね。

吉田:

『牯嶺街少年殺人事件』も、今年の映画を語る上で外せない作品よね。私は今回のリバイバルが初見だったんやけど、本当に素晴らしかったね!ベスト5入り確実のような作品なんやけど、今回は新作でまとめてみようと思ってます!

 

ではでは2017年の5本、安里人君から行ってみましょーう!

川端:

『牯嶺街少年殺人事件』は殿堂入りということで、じゃあ1本目『ナイスガイズ!』です!吉田さんは観てる?

吉田:

『ナイスガイズ!』これ見逃してるんよなあ……。『ラ・ラ・ランド』のちょっと前に上映してたよね。スタッフ達もすごい良かったって言ってた。

川端:

そうそう。『ラ・ラ・ランド』のライアン・ゴズリング主演作でね。これは70年代のハリウッドが舞台の探偵ものなんだけど、ノワールものハードボイルドものの皮をかぶったゴリゴリのコメディ映画で。作ってるのが『リーサルウエポン』なんかの脚本描いてた人なんよ。70年代の雰囲気と80年代のノリの良いバディ感がもう、最高。オープニングのエロ本読んでる少年の真後ろの壁を車が突き破るオープニングから素晴らしい。ゴズリングさん、ナイスガイやけど裏声芸が炸裂してて、今年一番映画館で笑った映画です。

吉田:

え~!いいなあ。最高のオープニングやね!今年上半期の中でもかなりはじめの方で見逃してしまってるからなあ。安里人君は映画館で見たの?

川端:

『ラ・ラ・ランド』の添え物上映扱いやったからね。特に期待もせずに映画館に行ったら思わぬ拾い物でっていう感じでした。じゃあ吉田さんの1本目お願いします!

吉田:

今年の初笑い映画やったのね。 DVDで観ます!(笑)私の1本目は、みなみ会館で秋口に上映していたジョーダン・ヴォート=ロバーツ監督作『キングス・オブ・サマー』です!ラジオでも話したよね。

川端:

『キングス・オブ・サマー』ムッチャよかったね〜!こういうアメリカンインディー系の良作が今年は結構豊富な年だったような気がするなぁ。

吉田:

私こういう家出少年もの、青春ものに弱いんよね。『スタンド・バイ・ミー』も大好きやし。今作は3人の少年が、夏休みに森の中に秘密基地作って生活するって話でね。食糧とかも大自然の中で自分で採る、っていうか採ったフリしてみたり。ガールフレンドが、少年たちの友情関係をシッチャカメッチャカにしてみたり

川端:

イニシエーションものっていうのかな。メジャー系だと怪物とかエイリアンと少年少女が対決して成長みたいなのが多いけど、そんな特殊効果なんか使わず低予算とどストレートな題材で本当に瑞々しくて。最高だったね〜。

吉田:

この作品の後、まさか『キングコング:髑髏島の巨神』を撮るような監督には一見見えない、かなりオシャレ系映画にも受け取れます。

川端:

あと個人的に大好きなユースラグーンの曲が使われてて、泣ける。

吉田:

そうなのよ。音楽もすごくよくて。ラストシーンの、親友同士が仲直りする夕暮れ時のあの感じ、ユースラグーンの曲も相まってたまらんわ~!ビアジオの強烈さも非常に印象的で、ドラム缶上のダンスシーン、鉈の使い方、表情の素っ頓狂さ、どれを取っても最高でした。そしてニック・ロビンソンの少年期の美しさも炸裂してますよ。かなり限定的に劇場公開されてたので、未見の方は是非見てほしい本当に掘り出しものでした!

川端:

ビアジオくんのエキセントリックさはぜひ見て確かめてもらいたいね!じゃあ、2本目!『ダンケルク』です!ノーラン!

吉田:

おお!これも今年を語る上で外せない作品ね。どこで観たの?

川端:

IMAX二条で見ました。『ダークナイト』あたりからノーランはスペクタクル映画の作家なんじゃないかと思ってたんだけど、まさに予想どおり、スペクタクルしかない映画でした。スペクタクル映画っていかに画面内で大掛かりなすごいことをするかってことなんだけど、CGでなんでもできるこの時代に実写にこだわって物理的、物量的にスペクタクルを見せてくれる数少ない職人だと思います。3Dとか4DXとかネット配信とか映画を見る環境が多様化してる中で画面のでかさがのみが正義だと堂々と宣言してるのがノーランですよ。映画は映画館で見よう!映画館で見ないと!そう思わせてくれるのは本当に素晴らしい。

吉田:

ノーラン作品は本当に映画館で観なくちゃいけないよね。私もいそいそとエキスポシティのIMAXまで見に行きましたもん。

川端:

エキスポの特大スクリーンに金欠で行き逃したのがもうね、切腹級。故郷に家族が〜みたいなドラマツルギーと言うか、普通の戦争映画の物語の形から逸脱しすぎてて、それはどうなんだ?って思わなくもないけど、あまりにもこれ実写でどうやって撮ったんだ!?って映像の力が凄すぎて、まぁ、ランク入れとかないとなって感じです。

吉田:

切腹級って(笑)

川端:

余談だけど、今年の戦争物で言うと物語としてならメルギブソンの『ハクソーリッジ』も素晴らしかったと言うのを付け加えときます。

吉田:

『ダンケルク』には本当にその辺りの描写がないものね。私は『ハクソーリッジ』観れてないんやけど、こっちは、兵士の背景をしっかり描いているのかな?

川端:

2時間のうちの前半1時間をしっかりと「どうしてこの兵士は戦場に行くことになってこんな宗教的な哲学性を持ってるのか」って言うのに割いてるんよ。

吉田:

なるほどね〜。では私の2本目は、『オン・ザ・ミルキー・ロード』です!

川端:

クストリッツァ監督の新作!もちろん観る気満々なんですが、この対談をしてる段階ではまだ見に行けてない……ウンザウンザ!

吉田:

もう、冒頭からクストリッツァ節全開ですよ!ウンザウンザ!途中くらいまでは、「ん~、面白いけどここから、どうなる…?」って感じだったんやけど、ラストシーンで号泣しちゃったよ。

川端:

あんまりクストリッツァの映画で泣けるイメージないけど、相変わらずの賑やかな感じだったのかな⁉︎

吉田:

相変わらず、戦争・動物・音楽が画面いっぱいに描かれてます。今回動物虐待してませんよ~的な、少しちゃっちいCGが入っててクスッとなるんやけど。でもやっぱりどうやって動物たちを動かしてるのか、本当に不思議。それと主演がクストリッツァ本人なんやけど、これもまた愛らしい。年齢設定どうなってるねんっていう突っ込みはさておき、本当に愛の物語ですよ。冒頭は、『黒猫・白猫』っぽいコメディ色強めなんやけど、しっかり戦争はしてて。それなのに、そののどかさは何?ってなる村人とかもいいのよ。

川端:

いいなぁクストリッツァ節。俳優としてもいい味出すからねぇ。モニカ・ベルッチと共演したかったって言うのもあるだろうけど(笑)。これ、個人的な持論なんだけど、動物が画面を横切る映画はいい映画が多い気がする。

吉田:

確かにね!犬や猫がいい演技してる映画は、本当に良作が多い気がするね。モニカ・ベルッチ超魅力的やったわぁ。それとクストリッツァ作品お馴染みのウンザミュージック、今回も最高でした!

 

『アンダーグラウンド』みたいに前半と後半の印象がガラリと変わる演出が今回もすごく光ってて、ラストシーンは鳥肌ものでしたよ。ラストカットでどんどんカメラが引いていくんやけど、スケールの大きさというか、愛の大きさというか、とにかく勝手に涙が出て来たよ。

川端:

じゃあ3本目は『乱世備忘ー僕らの雨傘運動』です。

吉田:

これは公開してる?

川端:

これは山形国際ドキュメンタリー映画祭で見た映画なんで、まだ一般公開されてないんですよ〜。早いこと一般公開決まるといいんだけどなぁ。

吉田:

なるほど、今年のYIDFF行ったのね。って、安里人くんは毎回行ってるか。どんな作品なの?

川端:

今年で5回目で、毎回行ってますよ〜。これは香港で民主主義的な選挙を求めて若者たちが道路を占拠して警察とかと衝突した雨傘運動って事件があったんだけど、その最前線で初日から最後の日まで監督がカメラを回したドキュメンタリー映画なんよ。本当にこれからクラブに踊りにでもでも行くかのような雰囲気の若者たちが体を張って真剣に政治と向き合ってて、自分の中で学生運動って60年代ドキュメンタリー映画のイメージが強いんだけど、時代と場所が変わるとここまでフレッシュに変わるのかと。

 

あとドキュメンタリーってカメラと被写体の奇跡的な出会いと共犯性でシンプルにここまで光り輝くんだって改めて思ったね。雨傘運動自体は結局失敗しちゃったんだけど、なぜか不思議と見終わったあと元気になる映画だった……。

吉田:

監督最前線にいたのか。かなり危険やね。かなり直近に香港でこういう運動が行われてたって、なんか思う所あるよね。希望を感じた?

川端:

そうやね。希望を感じたっていうより、まだ頑張れるってポジティブさをくれる映画。あと香港映画好きだから、香港のリアルな夜景が見れるってだけでも嬉しいよね。

吉田:

アリト君と言えば、香港、カンフーのイメージ強いもんなあ(笑)。その中でドキュメンタリーが入り込んでくるって、かなり印象深い作品だったんだね。

川端:

香港映画推すからね(笑)。高感度カメラの普及で今やドキュメンタリーと劇映画のルックの違いってあまりないから、普通の映画に見えるけどこの人達は今も香港で暮らしてるんだよなって思うと感慨深い。

吉田:

では私の3本目。ジム・ジャームッシュの『パターソン』です。

川端:

自分も大好き。実はランキング入れようか迷いました。

吉田:

これは劇場公開時に完全に見逃してて、12/25からみなみ会館で再上映するからそれでようやく観れたっていう。

川端:

ジャームッシュの新作を映画館で観れるってだけで最高。

吉田:

アダム・ドライバー演じる、ニュージャージー州パターソンに住む青年パターソン氏は、バスのドライバーっていう設定で(笑)。彼は詩人でもあるんやけど、月曜から翌週の月曜までの1週間を描くっていうスタイルなのが、また詩的だなあと。

詩って、韻を踏みながら変化していく手法もあると思うんやけど、同じような毎日なんだけど、やっぱり昨日と今日、そして明日は違う毎日なんだっていう。いつもと同じ朝、朝食、通勤の道のり、愚痴をこぼす同僚、バスの路線、自由で夢に溢れた妻、気ままな犬、毎晩ビールを1杯だけ飲みに行くバーのマスター。それらの中に、バスの乗客の会話や、道々で出会う人々、妻が作る自由極まりない食事等々、本当に様々な事が、変わり映えしない日常に実は起こっていて。日々、大切に生きたいなあってじんわり来たよ。

川端:

なんか観終わった後は良い短編純文学を読み終えたような清々しさがあるよね。

吉田:

そう!あと永瀬正敏さんが演じる謎の日本人サラリーマンも良かった。まるで詩の妖精みたい。私の前にも現れて「A〜HA!」って言って欲しい(笑)

川端:

永瀬さん素晴らしかったね〜。有名無名関わらずキャスト陣が本当に良い!個人的にツボだったのはコインランドリーでリリック決めてるメソッドマン。

吉田:

いや〜、よかったね!あの出会いもすごく素敵だった!癒されましたよ。実はけっこうスリリングな映画だとは思うんやけどね。パターソン、いつか妻にブチ切れてしまわないか……?とか。

川端:

本当に謎の緊張感が持続してて、それがまた良いんよね。なんか事件が起こりそうな雰囲気が常にあって画面から目が離せない。それと個人的にイラン人の奥さんや永瀬を始めとした多様な人種のキャスティングにすごい好感持てました。

 

では4本目、『人生タクシー』です!

吉田:

これまた、見逃したやつ~!

川端:

ぜひ観て!パナヒ監督は今世界で一番苦境に立たされてる監督だよ、だってイラン政府から20年間映画作るなって言われてる人だから応援してあげてね。

吉田:

え!そうなん……!?ビジュアル的にそんなにマズイ作品には見えないけど?

川端:

無茶苦茶な話でしょ。この人2006年頃に作った『オフサイドガールズ』って映画で政権批判した上にイラン映画のルールも破ってるって言われて捕まって、今現在映画作れない状況なんよ。これもタクシー運転手の仕事してて、車内カメラ回してたらこんな人間模様写っちゃいましたって程の作品。そのビジュアル的にやばい作品に見えないのがパナヒ監督のすごいところで、国からやめろよって言われてるのに飄々と抜け穴を通ってる。

吉田:

市民の素直な言葉とかが映し出されてるってことか。ドキュメントだったのね。勝手に劇映画かと思っちゃった。

川端:

それがどう考えてもドキュメンタリーじゃないんよね。客の1人がイランで発禁処分くらってる映画の海賊版DVD売り歩いてる映画好きで、「あれ!?パナヒ監督でしょ?さっきのお客さんは仕込み!?」とか聞いきて虚実入り乱れる雰囲気なんだけど。

どう考えてもそんな物語的に都合よく展開しないでしょってことがトントン拍子でおこるのが最高に面白くて、その過程でイランの現代事情みたいなのがすごくユーモアたっぷりかつ赤裸々に描かれてて、意外に笑えるんよ。車内カメラに写っちゃいましたって程だからカメラは車の中から出られないし、照明もへったくれもないんだけど、アイデアと会話だけでここまで批判精神に溢れる面白い映画は作れるんだぞ!っていうすごい映画です。

吉田:

イランと言えば、アッバス・キアロスタミ監督が有名ですが何か関係はあるのかな?あと、どんな感じの現代事情なのかも気になる。

川端:

パナヒ監督はキアロスタミの弟子に当たるんですよ。
イランのタクシーは乗り合いが基本で、そのせいで客同士の会話としてバンバン政治批判するんよね。さらに途中学校の授業で短編映画を作るっていうパナヒ監督の姪が乗り込んできて、イラン映画のルールと矛盾まで教えてくれるんよ。

吉田:

そうなんや!?ちょっと予定調和すぎ!(笑)

川端:

こんなん写っちゃいました〜みたいな顔してムッチャ練り込まれてる脚本あるだろ!って突っ込みたくなるよね。

吉田:

めっちゃ見たくなってきた!イランの内情や、イラン映画のルールなんかも知れるのはかなり面白そうだね。

川端:

びっくりするようなお堅いルールを知れて本当に面白いよ。イランをドライブするつもりでちょっと観てみて。

吉田:

では私の4本目!エドガー・ライト監督作の『ベイビー・ドライバー』。ドライバーものが3作続いちゃった。

川端:

映画と車は相性いいからね〜。

吉田:

もうね、最高のひとこと。随分楽しませて頂きました。これも、完全に公開時に見逃してたんだけど、
先日行われたMOVIX京都での爆音映画祭にて鑑賞してまいりました~!爆音と通常でどれくらい違うのか 見比べてみたいものだけど、とにかく音楽が最高なんだよね。主人公のベイビーは耳鳴りをかき消すために音楽をずっと聞いてるんだけど、それがもう本当にいいBGMの連続でさ。すごく音にこだわった映画だよね。

川端:

自分は公開時に観たんやけど、爆音すごかったやろうね!音楽も車の音も銃声もでかいって最高でしょ。

本当に音と映像のリンクにこだわってたよね。究極の音ハメ映画。

吉田:

冒頭のシーンから頭と心がぶち抜かれちゃったよ。めっちゃカッコいい。心が高鳴って、観終わった後は顔がテカテカだったはず(笑)。あまりにも充足しすぎて、映画が終わったあと、まっすぐ家に帰れなかったもん。前作の『ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う!』も楽しかったけど、『ベイビー・ドライバー』はもう本当に興奮した!もう、何もいう事ないね。

川端:

はやっ!もうちょっと何か話そうよ。あと顔がテカテカって(笑)

吉田:

主演のアンセル・エルゴートがこんなにも素敵な俳優なんだって知れてよかったし、もう、カーチェイスがすごすぎて、おったまげ~だよ。iPodとかも出てくるけど、なんかちょっと懐かしい感じが漂ってるんだよね。懐メロも満載だし。現代現代してないというか。途中出てくるダイナーもすごくいいしね。

川端:

ただただ車を飛ばすだけじゃなくて同色の車に紛れるとか、ああいうロジカルなカーチェイスは自分も大好物です!そうそう!ちょっと00年代っぽかったり、60年代っぽい時もあったり、不思議な感覚だよね。ダイナー憧れるのわかる!ダイナーでコーヒーおかわりしたいわ〜。

吉田:

ヒロインのリリー・ジェームズ演じるデボラがまた魅力的でさ。てゆうか登場人物みんないいよね。1人ずつ映画1本作れそうな背景しょってる感じが。ほんでまた、ベイビーの優しい事!いい青年やねんほんま。
やあ、本当に楽しんだ1本でした。また劇場で観たいから、来年どこかでやりたいな~。

川端:

『ドライヴ』とか入れてみなみ会館でドライバーオールナイトやってよ。

吉田:

いっぱい良い作品あるもんね。何か企画します!さあ、ラスト1本!

川端:

はい、最後の1本はドゥニ・ヴィルヌーヴ監督作の『メッセージ』です!

吉田:

おお『メッセージ』!公開時に見逃したんやけど、先日DVDで見たばかり!私も大好き!!
チラシイメージ結構衝撃的よね。お菓子のばかうけみたいなんが宙に浮いてるやつ。笑

川端:

個人的にはマグリットの絵みたいだと思うんだけど、世間的にはばかうけなんよね(笑)。いやもうテーマからストーリーテリングにルックス、音楽までなんて知的で上品な映画なんだと!

吉田:

本当に上品なSF!監督も「ばかうけ」って言わされてたね。確かにすごくマグリット的イメージよね。空の感じとか、色合いとか。

川端:

今年は大好きなヴィルヌーヴ監督作が3本も公開して、ほんとたまらん。もちろん『ブレードランナー2049』も大傑作だったし、初期作で日本でやっと公開された「静かなる叫び」もよかった。個人的には「メッセージ」の志の高さとセンスの良さに完全にやられました。簡単に言うと、宇宙人と初の言語交流を行うって話なんよね。

吉田:

よくコミュニケーションとれたなと。ものすごい努力だよ、あれは。

川端:

文字を使って交流するっていうのが良い。言語、文字って普段何気なく使ってるのものがいかに複雑かってのをまず考えさせられるよね。そして宇宙人の文字の形のセンスが放つフレッシュさ。実際言語学者の人が考えてちゃんとした意味とか文法を持ってるらしいよ。

吉田:

あの文字を作り出すっていう製作陣の力よ!

川端:

衝撃的なストーリーを含めもう、お腹も頭の中もいっぱいいっぱいですわ。

吉田:

本当に最高の1本よね。

川端:

あと、なぜか『パターソン』でも話題に出てくる“アボットとコステロ”ネタがなぜか『メッセージ』にも出てくるんよ、不思議だよね。個人的には今年ダントツの映画でした。では吉田さんの最後の1本を!

吉田:

私の圧倒的今年の第1位はアレハンドロ・ホドロフスキー監督の新作『エンドレス・ポエトリー』!現在、みなみ会館で絶賛上映中です。

川端:

もうね、デビューから50年ほど経ったホドロフスキーの新作を今映画館で観れるってだけで幸せ。そしてエネルギッシュすぎてクラクラする。

吉田:

ありがたいよね。どや!観よ!これが私だ!っていう作品が凄く好きなんだと、今回改めて実感しましたよ。

前作の『リアリティのダンス』の続編にあたる、ホドロフスキーの自伝的映画。前作の少年期に比べて、青春期の生きるパワーみたいなのが炸裂していて、ほんとにクラクラする。5部作の予定なのであと3作、何としても作って欲しいものです。

前作から引き続き父親との確執を描いてるんやけど、老いた自分の人生の最後に後悔している記憶を塗り替えていく作業をしているというか、なんてドラマチックな人生なんだと。虚実入り混じってるんだけど、もう圧倒されて感動しちゃってね。なんか泣けちゃうのです。

川端:

90歳手前にして初の続編ものってすごいよね。オープニングで昔の風景が文字通りの意味で飛び出してくるオープニングからもうホドロフスキーワールドが炸裂してて…こんな作家的な作り方の映画って本当に少なくなってきてるよ。自分もドラマチックすぎる物語はもちろん濃すぎるビジュアルイメージやらなんやらに完全に熱波にあてられちゃいました。

吉田:

うわー!なんだこの映像体験!っていう。CGとかで再現されるよりも圧倒されるという。それでいて今までのホドロフスキー作品の中でもかなり上位に来る観やすい作品なのではと。

川端:

『ダンケルク』とはまた違った意味で、ホドロフスキーの映画って鑑賞というよりそれを超えた体験だよね。確かにびっくりするくらい観やすい。

吉田:

何か儀式に近い気がする。カーニバルのシーンはもう最高でさ、ものすごい人生讃歌で鳥肌ったちゃったよ。88歳の方にものすごい生きるパワーを頂けました。

 

かなりきわどい表現もあって映倫的に難しかったと思うけど、配給さんの頑張りもあって日本では奇跡的にモザイクなしで観れるので、是非この映画を体験して欲しいですね。

川端:

配給さんもホドロフスキー監督も本当に素晴らしい仕事ぶり!

吉田:

こういう圧倒的映像体験で何かが開眼する事もあるので、若い芸術家たちは特に観といて欲しいですね(笑)今年はなんか巨匠たちの新作がたくさん観れた1年でしたね。

川端:

うんうん、今年は巨匠の新作も見れたし、有望な若手も現れてる。さらに前からだけど東南アジアでの映画熱がかなりすごいことになってるような気がします。この対談時点ではまだ見れてないのが残念だけど『立ち去った女』の公開とか。

吉田:

本当に今年もたくさんの映画が公開されました。追い付けない……(笑)『立ち去った女』も絶賛公開中です!4時間弱の作品なので、家じゃ集中力持たないでしょうし是非劇場で観てほしいです。

川端:

ちょっと前なら映画祭でかかるだけみたいな映画がよくロードショーに回ってくるようになった気がします。

吉田:

多種多様化してますね。来年も、たくさん映画を見れますように。

川端:

2018年もいい映画ライフを送りましょう!

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