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【山田和季の見たボロフェスタ2017 / Day3】バレーボウイズ / unizzz… / uri gagarn / スチャダラパー

2017.10.25

山田 和季山田 和季

バレーボウイズ

ボロフェスタ最終日、最初の登場アーティストはバレーボウイズ。MC土龍の「これまで過ごしてきた青春時代、もしくは今過ごしている青春時代。そしてこれから過ごしていくであろう青春時代を歌にしてみたらこんなに美しいものができた。そんなバンドです!」という紹介で照らされるステージ。圧巻のフロント6人+バックにドラムというステージング。イントロとともにそれぞれに飛んだり跳ねたりする彼ら。全員がまるでこどものように大声で叫ぶ”7月の嘘”でフルパワーマックスの姿を披露する。

 

渋いバッキングに合わさる、ぐっと気持ちを震わせるような郷愁感じるリードギター。あっという間にノスタルジーかつドラマティックなサウンドが広がっていく。フロント全員で胸が張り裂けるように歌うサビでは、大合唱であるのにそれでもひとりひとり誰がどの声で叫んでいるのかが分かる。それぐらいそれぞれの感情がこれでもかというぐらい歌声に染みわたっているのが伝わってくる。続く”ビーチバレイ”では波間をぽわんと漂うような揺れるギターサウンドとホール中に余韻が響き渡るスネアドラム。そして何重にも重なってまるで無邪気に追いかけっこをしているようなボーカルとコーラス……すべてがバレーボウイズの心地よい楽曲のエッセンスとなっている。

 

アメリカの80年代ポップスを思わせるようなキラキラとしたサウンドで始まる”真夜中のレコード”。でもそこに合わさるのはあくまでも日本歌謡的な、思わず誰もが口ずさみたくなるようなメロディ。「レコードを鳴らせ!」と絶叫する彼らの瞳は澄み切っていて、そんなピュアな気持ちばかりを詰め込んだ1曲だ。音楽の良いところを一緒に語りつくして、余すところなく一緒に楽しもうじゃないか!そんなシンプルで美しい衝動を見せつけてくれるライブであった。

 

(写真:yuki kimura

unizzz...

2016年のりんご音楽祭への出演をかけたオーディションを勝ち抜き、また同年ディスクユニオンのオーディションにも合格し全国流通音源をリリースした京都の若手バンド筆頭、unizzz…がボロフェスタ2017に初登場。面白いもの全部ごちゃ混ぜ、でもおもちゃ箱みたいって言うにはあまりにも尖った危ないものが入りすぎている、そんな感じのバンドだ。男女どちらともにどこかキュートさを内包したツインボーカル。目まぐるしく展開していくフレーズが印象的な曲ばかりで「これがunizzz…だ!」と言わんばかりのご挨拶。全員が攻めてしかいないフレーズの応酬で、聞いているこちらの耳も忙しい。観客に拍手をさせる暇も与えないほどにその勢いはノンストップだ。しかし居ても立っても居られない観客たちも負けじと曲の合間でもお構いなしにバンバン歓声を浴びせる。

 

轟音なのにポップさと毒と癖みたいなものを兼ね備えていて、それでいてシンプルにかっこいい!と感じる音やフレーズが随所に散りばめられている。Gt.のKOMEがアーミングしたときなんて、いちいちときめいちゃうよね。”moonwalk”での<恋をする前に傷つかないように 言葉にならないよ あぁ>なんて、こんな愛くるしい歌詞まで出てきてしまうのも魅力。続く”Flyingman”はこれでもかというほどに遊び心を詰め込んだ1曲。展開の目まぐるしい構成に、ギターヒーロー見参と言わんばかりのぶっといサウンドが縦横無尽に唸りまくる。でもその中でシンセもドラムもベースも全員が攻めまくっている様はさながら全員がそれぞれ役割の違うヒーローのよう。戦隊モノみたいなバンドだな!トリッキーなだけじゃない、それぞれの持つ王道的な個性が爆発するライブであった。

 

(写真:岡安いつ美)

uri gagarn

外は台風、中は人の熱気で湿気だらけ。そんな地下ステージと相反するような乾いたサウンドを1曲目”korobbokuru”で響かせるuri gagarn。Gt./Vo.佐藤とBa.英の顔を交互に見合わせながら、相変わらずピンと張りつめたようなドラムを叩く川村。彼のドラムの音は尖っているだけでなく、張られた皮が今どのくらいの力を持って叩かれて震えているのか、まるで自分が触っているかの如くリアリティを持ってこちらの脳みそまで届いてくる。とにかく見るたびにビリビリするほど空気を震わせてくる、これがライブ感というのではないだろうか。

 

乾いた”korobbokuru”から一転して地を這うようなじっとりさを持った”Resistor”に観客も激しく体を揺さぶる。いつもはクールにリズムを取っている英も激しく足と体を揺すりあっという間にステージ上もフロア中も汗だくに。”IJDB”のイントロが奏でられるとフロアからは熱い歓声があがる。どんどんと熱を増していくドラムと切迫するギターの歪み、そして佐藤の咆哮に息を呑む度に胸がぎゅっと苦しくなる。音が鳴りやむのを待たずして先走るほどの歓声と拍手に佐藤も思わず「イェー!」とグーサイン。

 

不穏なようでいて、どこか美しさも感じるようなギターサウンドから始まる新曲では、途中でドラムとベースが鳴りやみ静かなギターの音だけが鳴り響く瞬間の緊張感にヒリヒリとさせられる。”DOOM”では佐藤と英がそれぞれ腰低くギターとベースを構え、顔を見合わせてにんまりとする。そして英が「こいよこいよ!」と手で佐藤を煽るアクションを見せるとつられて観客も暴れだす!そしてそのまま”calendar”へと勢いを加速し突っ込んでいき、完全にピークに達するフロア!

 

年末に新譜を出すというハッピーなニュースもあり、おそらくそこに収録されているのであろう最後の新曲では、ドラムのリズムに合わせた佐藤のクラップに一発目からぴたりと応える観客たち。その景色に佐藤も思わず「うんうん」と嬉しそうに頷く。なんだかいつもと少しだけ違う空気が流れた、フェスの魔力みたいなものを感じる一瞬であった。

 

(写真:岡安いつ美)

スチャダラパー

登場開始1秒でウルトラ陽気なおじさんたち!”スチャダラパーのテーマPT.2”をBGMに早速のコールアンドレスポンスで盛り上げていく。ANIの渋いボイスで”MORE FUN-KEY-WORD”が始まるとリリックに合わせてどこからともなく「FUN」と「BRA」と書かれたプラカードが登場。オーディエンスにコールしてほしい場面で揚々と掲げられる……まるでバラエティ番組のカンペを彷彿とさせる(「笑って!」的なやつ)。新曲”セブンティーンブギ”でもプラカードを掲げて、体を跳ねさせながら「セブンティンブギ!セブンティンブキ!」と一緒にシンギング。その様にBOSEも「新曲だからみんな知らないくせにすごい盛り上がってたねー?めっちゃ機嫌いいねー?」と思わずツッコミ。突っ込まれた観客たちも「たしかに!」と腑に落ちたような爆笑に包まれる。

 

“GET UP AND DANCE”ではイントロとシンガロングが広がった瞬間、フロアからハンドクラップと歓声が沸き上がる。代わるがわる巧みに、そして華麗に軽やかにバトンタッチしていくMCのかけあいに観客も楽しそうな顔を抑えきれない。「ずっと思ってたんだけどボロフェスタのボロって何なの?」と曲は終われどおしゃべりはやめないBOSE。「ボロは着てても心は錦的な?それか『ロシア語でボロというのは花という意味……』的な?あるじゃん?なんかUA的なやつ。UA的な。」などとマシンガントークでフロアの笑いは止まらない。ちなみにこの後も独自の諸説を提案するも肝心の由来は謎のままMCは終了する。

 

その後も「俺ら音楽とかしてないからね。おしゃべりしに来てるだけだから!」と言いつつも、やっぱりライムし始めるとめちゃくちゃ格好いいんだよなぁ。実際おしゃべりしているときとライムしているときと、声のトーンやテンションに大きく差があるわけでもないのに。2日目に出演していたサイプレス上野とロベルト吉野と違って、派手なパフォーマンスがある訳でもないのに、そこで3人がゆらゆらふらふらしてるだけでなんかいい感じに場が出来上がってしまう。

 

そしてKBSホールに小沢健二のおなじみのあのボイスが響き渡ると、それを掻き消さんばかりの発狂にも似た声が各所であがる。もちろんここでステンドグラスもご開帳だ。曲の終始、完璧なまでのシンガロングとコールアンドレスポンス。そして今にも隣の人と手を取り合ってしまいそうなほどの最高の一体感。世代を超える名曲の真の完成形を今日目の当たりにした気がする。

 

(写真:yuki kimura

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