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【安尾日向の見たボロフェスタ2017 / Day2】CARD / キュウソネコカミ / Alfred Beach Sandal / Helsinki Lambda Club / プププランド

2017.10.24

安尾 日向安尾 日向

CARD

降り注ぐような美しいギターリフとともにバスドラムの四つ打ちが会場の空気を揺らす。ここは「街の底」ステージ、CARDの出番である。大阪を中心に活動する4人組バンド。一曲目の”雨”から、USインディーの香りのする爽やかなギターの音と踊りやすいミドルテンポで魅せる。疾走感のあるサウンドに大きなメロディーが乗って流れていく。爽やかさと切なさをともに纏ったコードの中を縫って吹く風のような歌声が会場に漂っていく。

 

キャッチーだけど、大人っぽい。クールだけど、ホット。しっとりしているけど、遊び心も満載。そんな絶妙な温度感が彼らの魅力だろう。心地よさにまかせて体を揺らす観客たちを前に、新曲も交えながら、ゆったりとプレイが続いていく。アタックは強くないが、遠くまで飛ばすようなVo.中野の歌声と、キラキラした高音が会場の空気を浄化していくように感じる。丁寧に紡ぎ出されるヒリヒリする静謐さに飲み込まれる、6つ打ち曲”django”でアクトは締めくくられる。ギターとベースを天井にぶつかってしまいそうなほど高く掲げている姿は、ロックバンドのかっこよさそのものだった。

 

(写真:岡安いつ美)

キュウソネコカミ

写真提供:ボロフェスタ

さあ、続いてマンモスステージに登場するのは、キュウソネコカミ! 関西から全国メジャーへ飛び立っていったバンドとして忘れてはいけないだろう。会場には彼らのTシャツを着たファンがたくさんおり、その人気をうかがわせる。メンバー5人がステージに登場すると、名前を叫ぶファンの姿も。すっかりアイドル的人気も獲得しているようだ。しかし彼らも関西で下積みを重ねたバンドである。1つ手前の出番だったおとぼけビ〜バ〜とも何度も対バン経験があり、リハ中には当時の思い出を話す場面も。

 

一曲目”TOSHI-LOWさん”がはじまると、会場は急激に怒涛の盛り上がりを見せる。初っ端から観客の上に歩みだすVo.ヤマサキセイヤ。Tシャツすら脱ぎ捨て、「圧倒的なパワー」を見せつける。ステージに戻るときはスタッフに抱きかかえられ回収される姿に笑いが起こる。その後も、”MEGA SHAKE IT!”、”KMTR 645”でメンバー観客一体となってお揃いの振り付けを踊り、ボルテージはどんどん上がっていく。ナノボロを含めると4回目のボロフェスタのステージは、最新アルバムに収録予定の”わかってんだよ”で締めくくられる。再び観客の中に飛び出したヤマサキは京都の「おしゃれ人間」にも噛みつく。キュウソはまだまだ大きくなるだろうことを予感させるアクトだった。

Alfred Beach Sandal

どすこいステージに定刻より早くスタンバイを終え現れたAlfred Beach Sandal。当初予定になかったという”エイブラハムの髭占い”からスタート。東京のインディーシーンで、その無国籍でジャンル横断的なソングライティングとサウンドプロダクションが高く支持されている彼が、ボロフェスタのステージにガットギター弾き語りのスタイルで登場。技巧的で情感たっぷりのコード進行に彼のソフトでやさしい歌声が乗っかり、ちょっぴりした切なさが心地いい。

 

続く”モノポリー”では「夏休みなのにモノポリーばっか」という歌詞と、気怠さと涼しさが共存したメロディーによって、すっかり冬が近づいた会場にあの夏の爽やかさが舞い戻ってくる。どすこいステージはメインステージに隣り合ったロビーにあるため、別のバンドの音漏れがかなり聞こえてくる。「隣の音に負けないってのは無理かもしれないんですけど、みんなで意識を共有しましょう。世界平和ってこういうことだと思うんですよ」と笑いを誘う。頑張らなくたって、彼の歌が始まれば自然と僕らの意識は彼に惹きつけられる。そんな歌の良さ、無国籍というよりはフォークソングとしての普遍性を感じる素晴らしいステージだった。

 

(写真:益戸優)

Helsinki Lambda Club

写真提供:ボロフェスタ(浦田哲良)

く、空気が薄い。暑い。熱気がすごい。決して広くはない街の底ステージに次に立つのはHelsinki Lambda Club。サウンドチェックの時点で会場はほぼ満員。「できるだけ前に奥に詰めてください」というスタッフの声が何度もなんども繰り返される。しかしどうしたって場所が足りない。彼らの人気のほどがうかがえる。一曲目、「好きにして」というフレーズで大合唱が起こる”Skin”から会場の盛り上がりは異様なほど。

 

皮肉な毒が痛快で気持ちいい”ユアンと踊れ”、レジ打ちの女性の閉塞感のある物語をキャッチーなメロディーとふわっとしたサビで軽妙に語る”Lost in the Supermarket”と、一聴で観客を虜にする魅力のある名曲が並ぶ。歌詞にもメロにもサウンドにも、さりげなく巧妙な小ネタが仕込まれていて、音楽的偏差値の高さが感じられる。そして観客を夢中にさせる演奏力、パフォーマンス力も魅力だ。彼らが新しい王道ロックバンドなのかもしれない。地下ステージでボロフェスタ初登場となった彼らだが、地上へ這い上がる日も近いのでは、と予感させる激アツなアクトだった!

プププランド

SEで吉田拓郎の”結婚しようよ”が流れている。言わずもがなのフォークの名曲を登場曲として現れたのが、2日目街の底ステージのトリ、神戸のバンド、プププランドである。16分のリズムで軽快かつダンサブルに鳴らされるギターストロークとドラムの音で始まる。一曲目は”メトロ”。ポップでフォークなサウンドが最高に気持ちいい。続く”ミスタームーンライト”は、童話のような世界観、童謡のような懐かしさと普遍性が感じられるやさしい歌だ。ギターソロ中にはVo.西村がGt.吉川にキスをするというお茶目なハプニングもあり、会場は和やかなムードに。色白でほっそりした見た目からは意外な、Vo.西村のハスキーで情感のある歌声に魅了される。「Don’t stop music」というフレーズでシンガロングが起こった”MUSIC”に続き、新曲が2曲も披露される。客席後方では、キュウソネコカミのKey.ヨコタも体を揺らし、拳を上げていた。彼らこそが、新しいフォークのオルタナティブを作っていくのだろう。

 

(写真:益戸優)

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