INTERVIEW

劇団の未来は?エンタメの未来は? 劇団赤えんぴつにインタビュー

2017.10.11

川合 裕之川合 裕之

ライブか、配信か。メジャーか、インディーか。抜本的な解決が見いだせないまま多くの人がバンド活動や音楽制作に取り組んでいます。しかしそれは演劇とて例外ではないようです。今のインディー劇団はどのような形で生き残ろうと考えているのでしょうか。今回は発足して間もない劇団赤えんぴつの岡さんにお話を伺いました。

ライブは快感。しかし道のりは……

公式ホームページより
――:

まずは簡単に自己紹介をお願いします。

岡:

劇団赤えんぴつの企画・制作担当の岡一(はじめ)です。
放送作家になりたくて、ヨシモトのNSCの姉妹校で放送作家やマネージャーを育てる学校に行っていました。最初はテレビの世界に関わってみたかったのですが、次第にテレビへの興味が薄れてきてしまって。演劇の経験はなかったのですが、携わってみようかなと。「大人学園」というコントを中心とした劇団を経て現在に至ります。

――:

どうして演劇だったのですか?

岡:

きっかけはあまり覚えていませんが、生まれて初めて出演した公演での拍手が忘れられなくて、以来演劇にハマりっぱなしです。

 

演劇の演技は誤魔化しが効きませんし、立ち方や姿勢、指先まで全て観客に見られるわけです。そういった舞台という場での拍手で演劇の魅力に気づきました。

――:

なるほど。生だからこその実感ですね。
今年2017年3月に結成された劇団赤えんぴつ。大阪を拠点に12人の団員を抱えて活動していらっしゃるとのことですが、劇団の旗揚げに際して大変だったことはありましたか?

岡:

さきほど挙げた「大人学園」が解散してしまってその中でも選り抜きのメンバーであらたに劇団を作ったという経緯なのですが、それでも人が足りなくて大変です。今演出家がいなくて、木村雄太という役者が演出を兼ねているのですがこれがなかなかオーバーワークで。

みんな働きながらでスケジュールも合わないので、23時から5時に練習したり……。

――:

例えば音楽制作の場合はリモートで曲作りなどは出来ますけど、演劇ではそういうことは勿論できないわけですよね。

岡:

そうですね、なかなかできないです。今回控えている公演も10人のキャストが出演するので。メンバーの呼びかけにネットを使うことは出来ても、やはり稽古だけはそうもいかないので。

――:

逆に、大人数のメリットは?

岡:

まだ見いだせてないですね。一歩舞台の外に出れば大人数であることは色々と大変なことだらけです。

ただ、たしかにまとめるのは大変ですが、議論の際にたくさんの意見が集まるというのはメリットのひとつかもしれません。あとは公演だったり「赤えんぴつ」という名前を宣伝する上では数は大きな武器になります。

――:

企画・制作担当の岡さんも今回キャストとして舞台に立たれるとのことですが、岡さん自身は役者志望ですか?それとも企画・制作志望ですか?将来的にどちらの方向に進んでいきたいなど聞かせていただけませんか。

岡:

最終的には企画制作に落ち着きたいなと思っています。今は役者の気持ちや大変さを知るため、また将来的に自分が若い役者を指導できるようになったときにしっかり見本を見せるために、役者としての技術を身に着けておきたいと考えて企画制作と並行して舞台にも立っています。

 

役者のキャリアの積み方も多様化する時代に?

公式ホームページより
――:

劇団赤えんぴつは情報発信のSNSにTwitterやFacebookだけでなくマストドンを使っていますが、マストドンの反響は?

岡:

全くないです!(笑)
ただ使わないよりも使った方がよいかなと思って。ホームページなどに力を入れていないインディーの劇団も少なくありませんが、この時代、ホームページなどは玄関だと思うので。

マストドン

 

 

Twitterによく似た短文投稿型SNS。500文字までの投稿が可能なことのほか、サーバー(インスタンス)を利用者が選ぶことができることが特徴。

――:

劇団赤えんぴつはYouTubeに力を入れていらっしゃいますが、やはりそうした取り組みは重要ですか?

岡:

まずは知って貰わないといけないので。新規のファンを――舞台を観たことのないファンを――取り入れたいですね。演劇を観たことが無いという人は沢山いますが、YouTubeを見たことが無いという人はほとんどいないと思うので。そういう人たちを演劇に取り込むことが出来れば観客数はめちゃくちゃ増えると思います。僕たちはそうした狙いに加えてさらに一歩進んだコンテンツを目指しています。

 

できる限り既存の演劇ファンではなく新規の演劇ファンを取り入れたいです。演劇を見たことのない人たちからすると、お金を払って初めて価値がわかるコンテンツというのは心理的に行きづらいと思うんですよ。そういった人たちに向けてまずはYouTubeで自分たちの面白さや、どういった劇団なのかを気軽に知ってもらい、そこから舞台に足を運んでくれるようになればありがたいなと思います。

――:

といいますと?

岡:

個々の趣味嗜好は多様化しています。これから先に必要になってくるのは双方向性ではないかと。体験型ともいえるでしょうか。これは演劇だけに関わらずです。
テレビなんかでもdボタンでアンケートを取ったりしていますよね。これがどんどん進むのではないかと考えています。ゲームもオープンワールドだったりで消費者の自由度が非常に高くなってきています。リアル脱出ゲームとかもその類ですね。動画もそういう風になっていくのではないかと。

 

 

例えば、告白した結果を視聴者が決めることが出来るドラマがあれば面白くないですか?
ゲームや舞台もそういうのが増えてきているんですね。時代がそういうものを求めているのであれば、僕らもそうしていきたいですね。

 

日本の芸能界はピラミッド方式で頂点に近い一部の人しか食っていけていないのが現状ですが、コアなファンを集めることで食べていくことが出来る時代になってきていると思うんですよ。
ミュージシャンなんかもそうですよね。今はもう昔みたいに「子供から大人まで」というような音楽はあまりないですよね。今後はそれがさらに進んでいくと思います。

――:

さらに多数の分野で、より深くファンを取り込むという現象が起こってくると。

岡:

はい、そうです。俳優としてのキャリアの積み方も今までみたいにひとつではないのかもしれないなと。
ドラマや映画に出ることが成功だとすれば、それは成功を外部に頼っているということじゃないですか。でも今はテレビ局を自分で作れる時代になっているのではないかと思います。僕らがやりたいのはそういうプラットフォームを作ることなんです。役者を表舞台に立たせる環境を整備していきたいなと。そういった意味で劇団=舞台とは限らないのかなと思います。舞台は舞台、映像は映像でやっていきたいですね。劇団スカッシュなんかもYouTubeを最大限に活用している劇団なので、可能性はあると思います。

劇団スカッシュ

 

現在4名からなる劇団。

YouTube上でドラマなどを配信していることでも知られる。2002年に結成し、2008年ごろからネット上での活動も開始。

 

 

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