COLUMN

アンテナ景察 / 後藤多美

2017.09.11

後藤多美後藤多美

考え方も感じ方もみんな違う、個性派ぞろいのアンテナ編集部の面々。
各々の好きなもの、かっこいいもの、きれいなものを、日々追求し発信しています。

 

でも、どうしてそれをかっこいいと感じるのか?どうしてそれをきれいだと感じるのか?
たとえば私にとってありふれた風景も、あなたなら、思いもつかない素敵なものを見つけるかもしれない。そのまなざしを支える感情は、ネガティブだったり、ポジティブだったり、人それぞれ。それを個性や感性と呼ぶのではないでしょうか。

 

さて、編集部の面々はどんな思いで、どんなふうに世界を見ているんでしょう?
各々が見つけてきた「街の中の気になる風景」を写真とともに語り、その感性をひもときます!

トップバッターで恐縮です。イラストレーター兼デザイナーの多美です!

普段は芸術大学の崖っぷち大学院生をしています。
芸大生のくせにアウトップットが苦手で、モジモジしていたところをアンテナに拾われて9ヶ月になりました。まだまだモジモジ癖が抜けきっていないところはありますが、頑張って語らせていただきます。

 

さて、少し前の話ですが、ほんとうにいろいろと参っていた時期がありました。
思うようにいかない就職活動に、課題の制作。それでもやらなければいけない日々の雑事。就活の不安と焦燥感で消耗して、課題提出の直前になっても何も浮かばず、暗澹たる気持ちで夜の町をふらふら徘徊していました。
そんなときに、ふと目に入ったのがこれ。

地元の駅前にある、ささやかな花壇のなかに捨てられていた空きビン。
うちの地元はお世辞にもきれいとは言えないので、ありふれた風景です。

 

健康なら何とも思わなかったでしょうが、疲れている時って気がヘンになるじゃないですか。
連日の睡眠不足でぼやけた頭でこの風景を見ていたわたしは、例に漏れずヘンなことを考えていました。

 

なんか、安らかそうだなあ。と。

 

その印象が頭にこびりついて、無性に癪にさわって、わたしは目が離せなくなりました。

空きビンのくせに安らかにしやがって。いやそもそも空きビンに魂は宿るのか?
魂なんてないかもしれない空きビンですらこんなに安らかそうなのに、こんなに苦しまなければならないわたしは一体何なんだろう?

誰かの善意で作られた花壇に、誰かが平気で捨てていったゴミ。この世の底辺みたいな風景にすらうらやましさを見出してしまうほど、すり切れた我が身のバカらしさに極まって、シャッターを切ったのでした。

 

そして課題の締め切りを迎え、どうにでもなれと思ってこの写真を使って作品にしたんですけど、案外と教授の反応は悪くなかった。本当はどう思ってるのか知らんけど。まあ結果オーライということで、ひとつ!

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