COLUMN

三つ巴!天下一ホニャララ会 – 表紙・裏表紙・帯で読みたくなる本決定戦2017 –

2017.04.27

山田 和季山田 和季

 

アンテナ編集部が3チームに分かれて、それぞれ内容の異なった連載を週替わり掲載することになりました!今週はめたくそライターのかずー・シネマジプシーの安里人・おいしいもの好き東京ライターの優月の3名からなるチームです。生活する土地やリズムも異なる3人だから、好き嫌いは否めない……ってなことで毎回異なるテーマに沿った「自分の中のベスト1」を持ち寄って、どれが一番ふさわしいのかバトルしようじゃないか!というのがテーマ。誰が一番を決めるのかって?あなたですよ!3人の対話を読みきったところに投票フォームがございますので、ぜひぜひ清き一票を。最もNo.1に輝いた回数が多いアンテナメンバーにはもしかしたらご褒美が授与されるかも…?!

 

第四回目のテーマは『 表紙・裏表紙・帯で読んでみたくなる本』。あなたは本屋さんに行ったとき、膨大な書物の中から何をヒントに選定しますか?書店員のポップ?表紙のインパクト?タイトルのトリッキーさ?そこには言葉では表しきれない「潜在的な好み」が隠されているとは思いませんか。今回は3人がそれぞれに「本の中身」以外で思わず心をくすぐられた本をチョイスしてきました!

 

 

かずー:今回のテーマは『表紙・裏表紙・帯で読みたくなる本』!私そもそもあまり本読まないんですよね……。まじで年に2~3冊程度の読書量です。

 

優月:私はもともと読書が好きで、一時期はあまり読まなくなっていたんですが、最近また復活しつつあります。

 

安里人:自分は結構読む方だとは思うんだけど、ジャンルとかは偏ってますね。 

 

かずー:なんかねー、映画と違って自分の意志で読み進めないと進まないので、いっつも途中で頓挫してしまう……。 

 

安里人:それは面白くない本だからじゃないですか…?

 

優月:連ドラで途中を見逃したら離脱したくなるのと同じ感覚ですかね。

 

かずー:うっ……!

 

 

 

かずーセレクト『FUNGI-菌類小説選集 第Iコロニー』

 

 

かずー: そんな私が最近気になった本がこちらです。

 

 

FUNGI-菌類小説選集 第Iコロニー(ele-king books)

 

【表紙より】

ロマン・ノワールからダーク・ファンタジー、スチーム・パンクからボディ・ホラーまで。ようこそ、真菌(しんきん)の地へ。

 

【裏表紙より】

菌界の仲間は、植物よりは動物に近いが、それでいてどちらとも根本的に異なる別種の神秘的なしろものである。編者は、ボディ・ホラーやウィリアム・ホープ・ホジスン流きのこ人間を越えて、菌類小説の潜在的可能性を広く探究する作品を求めた。作家たちは、彼らの胞子を遠く、かつ広範囲に放出してくれた。読者はあらゆるたぐいのキノコが、多様な役割を演じ、ホラーからダーク・ファンタジーにいたる全領域にわたるあらゆる種類の物語を味わうであろう。

 

 

かずー:amazonの商品紹介に表紙・裏表紙に書いてある内容全部書いてくれているんですけど、解説に≪何よりも嬉しかったのは、編者たちがこの本を構想するきっかけになったのが、「マタンゴ」だったということだ。≫って書いてありまして、期待値があがりますよね。

 

安里人 :優月ちゃん「マタンゴ」とか知ってるの?

 

優月:いや、知らないです。

 

安里人:良かった。「大好きです」とか言われたらどうしようかと思いました。

 

優月:そんなに濃い映画なんですか?

 

安里人:ホラー映画ですね。初代「ゴジラ」の本多猪四郎監督作ですよ!

 

優月:なるほど、特撮界の父的な……!

 

かずー:『FUNGI』に話は戻りますが、裏表紙に収録タイトルとその煽り文句みたいなのが丁寧に全作品分書いてあるんですけど、これがねえ、なかなか読みふけってしまいました。一個一個ツッコんで行きたいんで聞いてもらえますか?

 

 

菌類が匂い立つほどの粘着質な描写に戦慄する正当派ホラー

【1】「菌 糸」ジョン・ランガン

 

 

かずー:ホラー大好きなのでまずグッと好奇心をくすぐられますね。淡白でいて後味のあまり良くなさそうな地味系ホラーと予測した!

 

優月:かず―さん的には「正統派ホラー」で合っているんですか?

 

かずー:まぁ読んでないからね……それは知らない……。

 

 

ある目的のためにキノコの潜水艦に乗った男の悲しいストーリー

【3】「甘きトリュフの娘」カミール・アレクサ

 

 

かずー:キノコの潜水艦とは……?はぁ。ほぉ。気になるよね……。

 

優月:キノコの潜水艦……。

 

 

スチーム・パンクと魔法とラヴクラフトをミックスしたウエスタン風の冒険活劇

【4】「咲き残りのサルビア」アンドルー・ペン・ロマイン

 

 

かずー:スチームパンクと魔法とラヴクラフトをどう足したらウエスタン風のものが出来上がるのかちょっと説明してほしい。ウエスタンエッセンスどこにあるよ……?とはいえラヴクラフト×キノコって今までありそうでなかった最高の組み合わせ臭がすごくないですか。しかもシャレオツっぽい。ちょっと目から鱗でした。

 

安里人:スチームパンクってノワールとかウエスタンの影響強い作品多いよね。

 

かずー:そうだったんですか。スチームパンク=「機械」「工場」みたいなイメージしかなかったなぁ。しかしまぁ魔法とラヴクラフトは…… ウエスタンではないのでは……。

 

安里人:ジョンカーペンターっていう僕の大好きな監督はラブクラフト好きで、SFとウエスタンのミックス的な作品よく作っているよ。

 

かずー:ジョンカーペンター、『ハロウィン』と『要塞警察』しか見ていないです。確かにハロウィンはホラーだし、要塞警察はウエスタンだったな……。実はSFとウエスタンって共通項があるのか。

 

安里人:荒廃した未来の方が、現代より西部劇感を出しやすいんだろうね。

 

かずー:荒廃感とかディストピア感ですね。

 

安里人:人の命が安い感じとか!

 

 

人間をゾンビ化させる菌類が潜むメキシコの密林にある小さな村を舞台にしたスリラー

【7】「ラウル・クム(知られざる恐怖)」スティーヴ・バーマン

 

 

かずー:そしてキター!「ゾンビ化」「密林」「小さな村」ビンゴ!役満!大好物ですありがとうございました!この煽り文句だけで、すでにそれっぽい映画50本ぐらいありそうな気がしてきます。

 

安里人:X-FILE感がやばいね。

 

優月:どんな人たちが書いているんですかね?

 

安里人:編集者の人見る限りラブクラフト系譜の人たちみたいですね。

 

優月 :「スリラー」とか「ダーク」とか付けたら勝ちみたいな感じありますね。

 

かずー:結局そういうのにホイホイされてしまう自分。

 

 

擬人化された動物たちとずる賢い貴族たち、キノコ、そして意匠陰毛のお話

【10】「タビー・マクマンガス、真菌デブっちょ」モリー・タンザー& ジェシー・ブリントン

 

 

かずー:これが個人的に超問題作なんですけども……。まず「意匠陰毛」の意味わかる人、この世にいます?ググったんですけど、この本に関連するサイトしか引っかからないんです。本当に夜も眠れないほどこのキラーワードが気になる……。

 

優月:「擬人化された動物たちとずる賢い貴族たち、キノコ」というワードの無理やり「キノコ」ねじ込んだ感もすごいですね

 

かずー:サブリミナル的にねじ込まれる「キノコ」……。

 

優月:3月に発売されたばかりの新しい本なんですね!突き抜けているんで、けっこう時代を感じる本かと勝手に思っていました。

 

かずー:本屋さんで結構推されているっぽかったので思わず買いそうになった。誰か買ったら意匠陰毛の意味教えてね…!

 

 

 

優月セレクト 『abさんご』

 

 

優月: 私からは黒田夏子さんの「abさんご」という作品を紹介します。

 

 

abさんご

 

 

かずー: abさんごってタイトルもなんか不思議だね。

 

優月: タイトルがどんな意味かはさっぱり分かっていないです。

 

かずー: abってすごい数学っぽいなっていうのと、さんごって字面がなんとなく小学生のときの国語の教科書を思い出した。

 

優月: 学年が変わるごとにテーマっぽい感じで教科書につく名前ですよね。なんとなくわかる。「ab」が斜体なのも数学を意識していると言われればそんな感じが!

 

安里人: 帯に≪50年後に的中!≫≪前代未聞のリバーシブル本≫など色々興味を引きそうなワードが載っていますが……。

 

優月: そう、装丁はシンプルなんですが、情報量の多い帯に惹かれました。

 

かずー: ≪50年後に的中!著者二十六歳の時の幻のデビュー作を全文収録≫って煽りだけで、今現在作者がもう76歳だということがインパクト強めに伝わるの、センスやばい。

 

安里人: 個人的に蓮實 重彥大先生の推薦ってだけでテンションがあがる!映画ラバーとしてはこのお方の名前が載っていてそこに触れないわけにはいかないんですよ……。

 

優月: 蓮實 重彥さんは、去年80歳で文学新人賞を受賞したんですけど、そのとき文句たらたら加減で話題にもなった方ですね。この人のパンキッシュな記者会見が大好きで私は3回ぐらい見ました。気になる方はYouTube探したら見つかると思います!映画方面にもあかるい方なんですか?

 

安里人: 明るいも何も元東大総長で立教ヌーヴェルバーグの大ボスで日本映画評論会の神様みたいな御方ですよ!

 

かずー: すごすぎてよくわからん

 

優月: ヌーヴェルバーグとは……?無知ですみません。

 

安里人: ヌーヴェルバーグの説明を始めると長くなるんで、そこは勉強してもらうとして、今の日本映画を支える巨匠、鬼才監督に多大な影響を与えている人だと思ってください。その蓮實大先生プッシュってだけでとんでもない本だとわかるわけです!あと、もっとみんなちゃんと本読もうね。

 

かずー: 怒られた。

 

優月: はい……!

 

かずー: そんな御大の≪誰もが親しんでいる書き方とはいくぶん異なっているというだけの理由でこれを読まずに過ごせば、人は生きていることの意味の大半を失いかねない≫というコメント、踏まえて読むと重みを感じますね。

 

優月: あとはもうひとり川上未映子さんが帯にコメントを寄せていますね。この方、小説家ということは知っていたんですが、音楽もされているらしく……知っていました?

 

かずー: 話題になった『乳と卵』しか知らんかった

 

安里人: 検索してみたら、川上未映画子さんは映画『緑子/MIDORI-KO』に音楽提供とかもしているみたいですね!

 

かずー: しらん……。

 

安里人: 僕もアニメーションは守備範囲外ですが、かずーは好きそうなやつ。

 

 

 

 

かずー: ちょっと待って。キャプチャが寝る前に絶対見ちゃダメなやつじゃん。

 

優月: かずーさんでもちょっと引いていますよ (笑)。でもこうやって気になった本の帯に載っていると、推薦している作家の作品にも興味が沸きますね。あと、裏表紙の帯を見て気になったのが≪前代未聞のリバーシブル本!≫という謎文句。

 

かずー: リバーシブル本とはなんぞや。

 

優月: どうやら左端と右端から、それぞれ別の話が書いてあるみたいです。中も右開きは縦書き、左開きは横書きになっているらしくて。よく見たら帯も表が横書き、裏は縦書きになっているんです。

 

安里人: そんなことが可能なのかと驚愕する反面、絶対翻訳できないよなと余計な心配しちゃう。

 

かずー: 確かに翻訳かぁ~。縦書きという概念、外国には少ないですもんね。

 

優月: ただ、この本はどうやらただ普通に読むのでさえ血を吐くような感じらしいです。

 

かずー: 血を吐くとは……?!

 

優月:内容自体も物議を醸したようで、実験小説的な作品らしいです。カタカナやカギカッコを使っていないとか、固有名詞が少ないとか。そもそもの読みにくさからか、ネットなんかでも内容についてはあまり出回っておらず……。

 

かずー: やはり蓮實重彥先生レベルじゃないと言及してくれないのか……

 

安里人: ちらっと中を見ると全くカタカナが使われていなくて、それだけで「あ、なんか」変わった本だ」というのがわかる……。

 

かずー: 表紙はシンプルなのにね、外見はさらっとしているのに中エゲツいみたいなギャップよ。

 

優月: 私もパラパラめくってみたんですけど、見たことない文体が並んでいて「なんだこれは」となってそっと閉じて置いてきました (笑)

 

安里人: 読もうよ (笑)。買おうよ (笑)。

 

優月: 読むつもりですよ!結局一番気になって、ずっと頭に残っているので!何より、この作家が75歳でなぜこんな挑戦をしたのか、なぜこんな書き方にしたのかとても気になります。

 

安里人: 正直普段「〇〇賞受賞作品」みたいな本はあまり興味わかないんですけど、これはすごい気になるなぁ。

 

 

 

安里人セレクト 『音楽への憎しみ』

 

 

安里人:じゃあ自分のおすすめ行きます!二人とも音楽好きですか?

 

かずー:そうですね!

 

 

音楽への憎しみ

 

 

安里人:もちろん自分も音楽好きで、しかもアンテナって音楽メインのサイトなんであえてこれをチョイスしました。パスカル・キニャールの『音楽への憎しみ』。

 

かずー:くそほどプレミアついてるコレクターアイテムじゃないですか。読む機会なさすぎ……!

 

安里人:そう、このキニャールって人の本はすぐに値上がりしちゃう。ちなみに僕は持っています。

 

かずー:生活に困ったら転売できますね。

 

安里人:売りません (笑)

 

優月:すごいタイトルですね。どこの国の方ですか?

 

安里人:フランスの人で、バロック音楽の専門家なんですね。そんな人が「音楽への憎しみ」を書くという。

 

かずー:著者が音楽家ってことですな。しかしバロック音楽とはまた馴染みのない……。

 

安里人:こちらが帯に記載の内容になります。

 

 

先史時代の洞窟に谺する狩猟民の秘儀、聖書の強迫的な音の響き、ナチスによるユダヤ人絶滅キャンプの楽団、そして高度消費社会で猛威をふるう音楽に、魂を威嚇する根源的な暴力と殺戮の伴奏を聴きとる危機の批評。音楽の闇の物語。 音楽好きとは言ったもののバロック音楽は…

 

 

かずー:「谺する」が読めなくて序盤でつまづいている。

 

安里人:音楽のダークサイドをつらつらと書いた本なんですが……。

 

かずー:伝わらなさがすごい。

 

優月:難しそうですね……。

 

安里人:帯にデカデカと「凶器としての音楽」って書いてあるんですよ。もともと僕、キニャールの本が好きで、これも大学時代に買った本なんですが今見るとエグい値段になってますね~。

 

かずー:でも、この表紙の絵もいいですね。

 

安里人:表紙の憎らしげな顔がいいよね。

 

かずー:これ何吹いてるんですか?2つもよくばりだなぁ…… 。

 

優月:何かしらの笛ですかね。顔もちょっと凶器じみている。

 

安里人:悪い顔してるよね〜。

 

かずー:憎しみ感じますね。これは小説なんですか?

 

安里人:散文集って感じなんですが、音楽史の本でもあるんです。まさに知識の泉!是非図書館とかに行って探してみてください。

 

かずー:キニャールっていつの時代の人ですか?そもそも。

 

安里人:現在進行形の人ですが、心は数百年前の人ですね。

 

かずー:完全に1600年とかバロック時代の人かと思っていた……。裏表紙もどんなのか気になるなぁ。裏までこの絵が地続きで描かれていてほしい。黒塗りとかだったらショックだなぁ。実際、裏表紙の装丁はどうなってるんですか?

 

安里人:裏表紙は白色にイコン画がポンと書いてあるだけなんですが、このタイトル惹かれないですか?

 

優月:インパクトはありますよね。「憎しみ?」ってなる。

 

かずー:実物を手に取ってみたい感はあります!

 

優月:ちなみにイコン画とは何でしょうか?

 

安里人:早い話が宗教画ですね。みんな、小説だけじゃなくてもっとこういう本も読みましょうよ。

 

かずー:敷居が高いぞ……。読んでいる人たちも聡明な人が多いのか、アマゾンレビューもいちいち漢字が多いわ!

 

安里人:あ、あと豆知識なんですが伊藤計劃って日本のSF作家にもキニャールは影響与えてるらしいですよ。

 

かずー:今バンバン映画化してますもんね、流行ってるし。ということはキニャールも流行る可能性あり…!

 

安里人:キニャールもこの流れで流行ってほしいなぁ。

 

優月:安里人さんが映画と関連のないものを選んだのは初めてじゃないですか?

 

かずー:たしかに!レア!

 

安里人:キニャールの別の作品「めぐり逢う朝」とかはもちろん映画化されてますよ! (笑)

 

 

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ちなみに第二回『amazonで買える意味の分からないモノ決定戦』の投票結果はこちら!

 

■優月セレクトーー口笛を吹くだけで探し物が見つかる『魔法の口笛』……0%

■安里人セレクトーーこれであなたもジャッキーに『詠春拳 木人椿&保護カバー』……50%

■かずーセレクトーー今日から始めて春には幸せになれるらしい『三宅裕司プロデュース 奇跡のマヤ占い』……50%

同票数でキレイに割れました……!と、いうわけで安里人とかずーに1カウントずつ!ちなみにどの商品も購入のご報告はいただいておりません……。

 

 

 

 

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