COLUMN

三つ巴!天下一ホニャララ会 – YOUTUBEで観れるアヴァンギャルド映像決定戦2017 –

2017.06.08

山田 和季山田 和季

アンテナ編集部が3チームに分かれて、それぞれ内容の異なった連載を週替わり掲載することになりました!今週はめたくそライターのかずー・シネマジプシーの安里人・おいしいもの好き東京ライターの優月の3名からなるチームです。生活する土地やリズムも異なる3人だから、好き嫌いは否めない……ってなことで毎回異なるテーマに沿った「自分の中のベスト1」を持ち寄って、どれが一番ふさわしいのかバトルしようじゃないか!というのがテーマ。誰が一番を決めるのかって?あなたですよ!3人の対話を読みきったところに投票フォームがございますので、ぜひぜひ清き一票を。最もNo.1に輝いた回数が多いアンテナメンバーにはもしかしたらご褒美が授与されるかも…?!

 

第6回目のテーマは『 YOUTUBEで観れるアヴァンギャルド映像a.k.a電子ドラッグ』。とにかくこれを見てるだけで俺・私はブッ飛べるぜ!という映像を持ち寄ってもらいました。ブッ飛びって個人の趣向が反映されるもので、必ずしもみんながブッ飛べるとは限らないですが、なんだか一層その人のインサイドな趣味嗜好に踏み入っている気がしてドキッとしませんか……。他の人のmyブッ飛び映像も気になるなぁ……。

安里人: 今回のテーマはこちら!『YOUTUBEで観れるアヴァンギャルド映像a.k.a電子ドラッグ』!

 

かずー: 電子ドラッグって単語初めてきいたぞ。

 

安里人: 本当に!?

 

優月: 実はわたしも初めて聞きました……。

 

電子ドラッグ【でんしどらっぐ】

ドラッグのように依存性のあるデジタルコンテンツのこと。 その中でも特に、麻薬のように脳内に作用し、酩酊・多幸感・幻覚などをもたらすと言われるコンテンツ。 転じて、視聴覚を麻痺・混乱させるような効果を狙っているコンテンツのこと。 ヘッドホンで聴くと耳が酩酊・多聴感・幻聴などに陥るような曲。 (ニコニコ大百科より)

安里人: もうちょっとメジャーな単語かと思ったけど……。

 

かずー: 多分全然メジャーじゃないよ、使ったことないわ !(笑)

安里人セレクト スタン・ブラッケージ『DOG STAR MAN』

安里人: じゃあ早速僕からいきますね。

 

 

安里人: スタン・ブラッケージという作家の『DOG STAR MAN』という映像です。

 

かずー: 1時間以上…?しかもこれ無音で合ってます?わたしのパソコン壊れてない?ボリュームマックスなんですけど? (混乱)

 

安里人: 無音で合ってます!この『DOG STAR MAN』がYOUTUBEでいつでもどこでも見れるなんて素敵な時代ですね……!自分が中学の頃は幻の一本だったのに!

 

かずー: この映像はとにかく何を撮っているんですかね?なんぞや?

 

優月: どういう気持ちで見ればいいのか決めかねています。

 

安里人: んー、スタン・ブラッケージの場合「撮っていない」っていう可能性もあるんですよ。

 

かずー: 撮っていない…?映像を撮らずにどう作るんですか?

 

安里人: フィルムに虫を直貼りしたり、直に色を塗ったりして作ることも多いんですこの人。そして多重露光とか映像的な実験をしまくっているので、何が映っているのかなんて最早僕たちには分からなくていいんです。

 

かずー: なるほど、じゃあ完全に全部フィルムでの撮影ってことか。ちなみに『DOG STAR MAN』って何か意味あるんですか?

 

安里人: ブラッケージの死んじゃった愛犬の名前がシリウスくんなんだよね。名実ともに星になっちゃった。そんな愛犬の死に直面して、生と死を深く考えた結果生まれた作品が『DOG STAR MAN』です。我々人間も宇宙の一部なんだよというメッセージも込めてのこのタイトルかと……。

 

かずー: やべぇ映像つくるわりに動機が愛おしすぎるな。

 

安里人:御覧の通りとにかく長い。でも部屋を真っ暗にして観続けていたらきっと観終わったあとに達成感となんだかよく分からない感動に襲われるはずです。

 

優月: 五部構成になっているんですね。Part4は人物が出てきてサイコホラーチックになってきましたよ。

 

かずー: たしかにこれの電子ドラッグ感を味わおうと思うと、できるだけ大画面で真っ暗な中で一人ぼっちじゃないとダメだな。個人的には美容院でシャンプーしてるときの天井とかにこれ流しておいてほしい。

 

安里人: そんな美容院、店長の頭がどうかしてるとしか思えない (笑)

 

優月: あのリラックス空間で……?!

 

かずー: 精神を無に還しながら見たいなって思って。私の中で一番精神が無になる瞬間が美容院のシャンプー。(笑)

 

優月: でも確かに最初から最後まで真剣に見たら、精神を持っていかれそうな感じがしますね。

 

かずー: これ、見終わったあとに安里人さんはどうゆう感想を抱くんですか?

 

安里人: 感想は「無」ですね。感想が無いわけじゃなくてまさに「無」。すごいなぁとか、こんな奴を生んだコロラドの山中は魔境だなとか、色々考えたりはするけど観終わる時には「無」もしくは漠然とした感動ですね。

 

かずー: うん、やはり無に還りたい時に見たいですね。美容院で流してほしいなぁ~……。

 

優月: 修行みたいですね

 

安里人: 僕はYOUTUBEでは満足できないので、海外からBlu-rayを取り寄せる計画中です。

 

優月: 作品集とかが売られているんですか?

 

安里人: そう、作品集が売っているんですよ〜。

 

かずー: 家で見るにしろ、これはプロジェクターじゃないとダメなやつですね。意味半減な気がする。

 

安里人: 元来フィルムで観るのが前提の作品だからね。この作品に限らず、いろんな実験映像が今やYOUTUBEで観れるってありがたいようなダメなような、なんだか不思議な気分です。

かずーセレクト ギャスパー・ノエ『ENTER THE VOID』

かずー: 今回「アヴァンギャルド映像」って言われて真っ先に思い浮かんだ&大好きな映像がこれなんですよね。もう私にはこれしかない!という満を持しています。じゃん。

 

 

 

安里人: ギャスパー・ノエ!ど変態!

 

かずー: 『エンター・ザ・ボイド』っていう映画のオープニングロールの部分なんですけど、この映画の魅力の8割はオープニングに集約されているといっても過言ではない。

 

優月: わーなにこれ!かっこいいですね!!!

 

安里人: 僕も映画館で初めて観たときはぶっ飛びましたね。

 

かずー: いやー是非映画館で観たかった!もともとこの監督のギャスパー・ノエって人のこと知らなかったんだけど、この映像をたまたま見て一発でドツボにハマって。それからチェックするようになりました。『エンター・ザ・ボイド』本編自体も一貫してネオンビビッド、極彩色って色合いで作られているんですけど、どうやらそれもドラッグのトリップ感を再現しているらしくて。そもそもストーリー自体がドラッグにまつわる映画なんですよ。

 

安里人: 補足するならドラッグ映画+幽霊映画ですね。

 

優月: ドラッグ+幽霊……?

 

安里人: 映画冒頭で死んでしまう主人公の幽霊目線でいろんな場所・時間に飛んでいっちゃうんです。そしてドラッグでも飛んでいっちゃうっていう映画です。

 

かずー: トリップ映画っていったら圧倒的に『トレインスポッティング』が有名だし人気だと思うんですが、個人的には『エンター・ザ・ボイド』見たあとだとトレスポは全然でした。圧倒的こっち派!でも本編はクソ眠くてタルいからオープニングで死ぬほどトんで!

 

優月: この監督は他の映画もこういうテイストなんですか?それともこの作品だけ?

 

安里人: この人の映画は基本極悪ですよ。

 

かずー: 毎回映画ごとにテーマがめちゃめちゃわかりやすいんですよね。『エンター・ザ・ボイド』だったら「はい!ドラッグ!」、『アレックス』って作品だったら「はい!暴力!」、『LOVE』って作品だったら「はい!セックス!」って感じでめちゃめちゃあからさま。私の好みの話になるんですけど、脳みそに直接クるタイプのものが好きなんですよね。あんまり回りくどくなくて、あからさまに刺激なやつ。

 

優月: 確かに刺激的でもう1回見たくなりますね。何の前置きもなしに見たらずっと字幕ばっかりで「いつまで続くんだろう?」と思っていたんですが、途中から「なんかわかんないけどかっこいい!」ってなっていました!

 

かずー: 「アヴァンギャルド」って「前衛的」って意味じゃないですか。世の中にはわかりやすいアヴァンギャルドとわかりにくいアバンギャルドに二分されると私は思っていて。ギャスパー・ノエはわかりやすいアヴァンギャルドですよね。とてもポップ。アバンギャルドとして正しいのは「わかりにくいもの」であるべきだとは思いますけど。

 

安里人: 『DOG STAR MAN』がダウナー系だとすると『エンター・ザ・ボイド』はアッパー系ですね。

 

かずー: うわー、それめっちゃわかる。あとこの映画の音楽全般、もちろんオープニングの音楽もdaft punkのトーマ・バンガルテルが担当しているんです!どう?これ知ったときめっちゃ腑に落ちたんですけど!ほんとかっこいい……。

 

優月: 映画自体は何分くらいあるんですか?

 

安里人: 二時間半くらいですね。長い。

優月セレクト N.A.S.A『Whachadoin? feat. M.I.A., Spank Rock, Santogold, & Nick Zinner』

優月: 電子ドラッグという言葉に対してもそうですし、私はそもそもアバンギャルドに触れてこなかったので、アバンギャルド初心者の目線で選びました。

 

 

 

 

安里人: へー、このN.A.S.Aって人は知らないんだけど、M.I.Aとコラボしているんだね。

 

優月: そうなんですよ。私もN.A.S.A自体は全然知らなくて、このMVで初めて調べたんですが、出てくる情報が少ない割にけっこう豪華な人たちとコラボしています。この曲が入っているアルバムだと、トム・ウェイツとかカニエ・ウェストとかも参加していますね。ドが付くほどの有名人。

 

かずー: すごい。

 

安里人: 謎の人脈。

 

かずー: あれだな100倍悪趣味にしたきゃりーぱみゅぱみゅみたいだな……!

 

優月: 私もそれは思いました (笑)。踊る携帯電話みたいなのが出てくるところの世界観とかそれっぽいですよね。

 

安里人: これはアシッド系ですね。いろんな意味で。

 

かずー: アシッド系とは……?

 

・麻薬、特にLSDをいう。

・厳しいさま。辛辣 (しんらつ) なさま。また、色彩などが強烈なさま。 (goo辞書より)

かずー: なるほど。LSDで画像検索したらアシッド系の意味めっちゃわかったぞ。たしかにこのMVはアシッド系ですね。

優月: これが初心者の思う、アバンギャルドかつサイケかつドラッグ的映像ということで!N.A.S.AのMVは他の楽曲も個性的なものが多くて面白かったです!

 

かずー: なるほど、優月ちゃんの電子ドラッグイメージはLSDということで……!たしかに一貫してずっとレインボー!ぐるぐる!意味わからん生き物!みたいな感じやったね

 

優月: 最初はとりあえず「電子ドラッグ」でググって探していたんですけど、それだと高速回転する丸の映像ばっかり出てきて気分が悪くなったので……何かしら楽しめる要素があるやつが自分には合っているなと思って!

 

かずー: 高速回転する丸ってめっちゃ面白いな。

 

安里人: 意外とそういう「高速回転する丸」みたいなのが名作の可能性もあるので侮れない。

 

優月: これとかですね(笑)

 

 

安里人: どんどん危険な領域に入ってる気がしますね(笑)

 

かずー: 無理―!酔うやつ!酔うやつ!

 

優月: こういう系で何かおすすめないですか?安里人さん!

 

 

安里人: ノーマン・マクラレンってダイレクトアニメの名作です。

 

かずー: 仕事がはやい…。ダイレクトアニメとは?

 

安里人: フィルムに直塗りしてる作品ですね。

 

かずー: またしても直塗り系か。

 

優月: かわいいという感想が合っているのか分からないですが、絵のタッチがかわいらしいですね。

 

かずー: 不思議な動きをしますね。すごい既視感あると思ったら、こどものとき虹色に紙を塗って上からクレヨンで黒塗りして削って色出す遊びを思い出した!

 

優月: それだ……!何かこの感じ知ってる……と私も思っていました。

 

かずー: あれよく考えたら結構サイケだよね、色合いが。我々は幼少期からサイケ・ドラッグ要素を植えつけられて教育されていたのか……。

 

安里人: 直塗り系映像はビデオはおろか、デジタルになると絶対無理だから今やロストテクノロジーになりつつあります。

 

かずー: 今回の結論。安里人はダウナー系、かずーはアッパー系、優月はアシッド系ということでしたね。皆様よろしくお願いいたします。

 

 

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ちなみに第4回『表紙・裏表紙・帯で読みたくなる本決定戦』の投票結果はこちら!

 

■優月セレクトーー『abさんご』……42.9%

■安里人セレクトーー『音楽への憎み』……0%

■かずーセレクトーー『FUNGI-菌類小説選集 第Iコロニー』……57.1%

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