INTERVIEW

宅録・サイドプロジェクト限定?そ―名古屋発コンピ『ナゴミハイツ』

2015.09.27

山田 和季山田 和季

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ナゴヤ”宅”ロック、ナゴヤ発”宅”コンピ『ナゴミハイツ』はひとりの男の野望からはじまった。名古屋で活躍中のアーティスト、総勢19組を集めて実現したこのコンピレーションアルバム。これだけのアーティストの賛同を得られ、実現しただけでも素晴らしいのだが、タイトな制作期間かつ全曲新録であることが絶対条件……妥協を許さなかった結果、類を見ない厚みのある内容となっています。音楽は東京からじゃないと発信できない?そんなことはない!十分戦うことができる1枚が完成しました。

 

 

『ナゴミハイツ』

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2015.9.20 2DISC \1,620(TAX IN)

全国CDショップにて発売中!!

 

【disk1】

フードコーツ/おはよう新年菊地 紗矢/怪獣ログメン/ステイルメイトてんしんくん/けむくじゃらの犬Sayoko-daisy/ラムネマツバナオキ/銀色の街ツユネブリ/錬金術kiiiu/juujuuフクラ本舗/ナツコ宇宙寄生虫小池 喬/帰還

 

【disk2】

マイギーとふくざわ ( microguitar+フクラ本舗)/ノリノリ♪高津 直視/初夏へnano-sec./路ハトキノミノル/ファジィネーブルトーマス/vjgyd鳴る体/変体コトナ/チョコレート・フレイバーSweet Sunshine /回想シーンのようにでぃでぃっ ( 北原克之[Sick Of Recorder]+小池和伸[ロック墓場]) /寿命の塔

 

 

 

本日、名古屋から京都へ足を運んで下さったのは下記3名。

 

福沢:今回の「ナゴミハイツ」主催者。ご自身も“フクラ本舗”名義でコンピレーションにも参加。

石川:フラットライナーズにて活動中。アンテナweb版にてコラム「俺と漫画とお前と俺と」連載中。ナゴミハイツアートワークを担当。

磯:フラットライナーズにて活動中。また今回Sweet Sunshineにてナゴミハイツに参加。

 

 

京都アンテナ取材陣からは編集長:堤 / 副編集長:岡安 / ライター:山田の3人にて、今回はそれぞれ独自の音楽シーンを保有している京都×名古屋対談が実現。ナゴミハイツに参加したアーティストを中心に、名古屋宅録界の「イマ」についてたっぷりお聞きすることができました。

 

どのような想いのもと今回の『ナオゴミハイツ』は制作されるに至ったか。ひとつのシーンに一石を投じることになるであろうこの作品とその裏側についてインタビューを行いました。

 

 

 

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――まずは自己紹介からお願いしたいと思うのですが、お伺いできますか。

 

 

福沢:僕、名古屋で”dinnerset”というバンドをやっているんです。カクテルドラムを叩いています。

 

 

――存じています!京都でもお名前をお聞きしています。今回CDのャケットは石川さんがご担当されているんでしょうか。

 

 

福沢:そうです。表のジャケットだけでなく、開いてもらったら三面つらなっています。

 

 

――おおー!すごい!これはテンションあがりますね。

 

 

石川:僕はいつもアンテナにはコラムでお世話になっています。あと隣にいるのは今回のコンピに”Sweet Sunshine”で参加している磯たか子。うちの奥さんです。ぼくらふたりとも”フラットライナーズ”というバンドで活動しています。

 

 

福沢:”フラットライナーズ”は絶対いいです。ナンバーガールとかあの世代が好きなら絶対好きですよ。おすすめします。

 

 

 

誰かの扉を叩いた感はあるよね

 

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主催:福沢さん

 

 

――そもそも「ナゴミハイツ」はどのようなアルバムなんでしょうか。まずは名前の由来があれば教えていただけますか?

 

 

福沢:なんなんだろ…理想像。僕の音楽の理想像かな。僕も今、集合住宅に住んでいるんですけど、音っていうのはやっぱり騒音なんですよ。住んでる人が想定しない音を出されると、それって不快な音でしかなくて。自分も上の階の人から苦情がきて肩身が狭いなあなんて思ったりするんですけど。今回の宅録にあたって僕も家で怯えながらミックスをしていた訳ですけど、そうじゃなくて音楽やっている人たちがひとつの住みかに寄りあって、聞こえてくる漏れ音に「今のかっこよくね?」とか言いながらそいつの部屋に遊びに行っちゃう、みたいな理想郷としているんですよね。ナゴミハイツはそういう場所があればいいなってイメージ。

 

 

石川:いやいやほんとはね、福沢君は最初「ナゴムハイツ」って言ってきて、それだけはやめとけ!って全員で止めたんだけど (笑)

 

 

福沢:最初はね (笑)。まぁだから「音楽好きが集まる」っていうことも言いたいし勿論「名古屋」って言葉も含めたい。あとは宅録をこよなく愛しているっていう意味合いはこもっていますね。名古屋発信ではあるんだけど、すべての音楽好きに捧げたい。

 

 

石川:最初はね、結構紆余曲折があったよね。

 

 

福沢:そう、ずっとコンピを自分発信で作りたいという思いはあったんですけど、内輪でCD-Rとかで作ればいいやと思って温めていました。それを金山ブラジルコーヒーの角田波健太くんに「もっと外に発信していかなきゃだめだよ!」って言われて。彼はめちゃくちゃ東京を意識している人で、自分たちもいい音楽しているんだって絶対的な自信があるからすごく悔しい想いをしているって話をしてくれて。それでもう流通させようと思いましたね。

 

 

:その後すぐわたしに電話かけてきたよね。「健太くんにCD-Rはねぇだろって言われちゃったんで一緒になんかやってください……」って (笑)。なんでわたし?ってなったよね。

 

 

福沢:やっぱ僕の知りえない世界を知っているし、ある程度趣旨については理解してもらえるって自信があったから。もともとひとりでやろうと思っていたんですけど、僕の思いつきに賛同してもらえる人を探していたら思ったより沢山の人に集まってもらっちゃった感じですね。流通するのを決めた段階から、絶対必要不可欠なパーソナリティだなと思ったんで磯さんには声をかけましたね。

 

 

石川:あとは名古屋のフリーのイベンターの人たちに沢山声かけたよね。         

 

 

  ――それはすごく面白いですね。是非とも真似をしたい。「ナゴミハイツ」っていうひとつの入れ物の中でまた個々のイベンターの色が出せるし、ハコに全部任せちゃわないっていうのは革新的です。

 

 

福沢:イベンターって完全に1人のリスナーなんですよね。だから言ってることに間違いがない。考え方もめちゃくちゃキッチリしてて、アーティストをたててなんぼっていうのが伝わってくるんですよね。でも、僕はどうしてもアーティスト側でものを考えちゃうから自分でイベントは絶対に構成できないと思った。

 

 

――聞いていいのかわからないんですけど、今回コンピをつくるにあたってお金周りってどういう風にやりくりしたんでしょうか。

 

 

福沢:出資を募りましたね。参加者に。出資と引き換えにアルバムを10枚なりなんなりお渡しするっていう口約束だけで…。

 

 

石川あんまりないと思うよ。しかも出資してください、新録をお願いします、だからね。無茶言ってるよね (笑)

 

 

――構想からレコーディングまでどれくらいの期間がかかりました? 

 

 

福沢:結構長い間、妄想として抱え続けていて。もう昔すぎて全然覚えていないぐらい。誰誘うかとかもほぼ1人でセレクションしましたね。

 

 

――それであれだけの人数が集まるってすごいですね。2枚組コンピですからね。

 

 

福沢:コスト的には勿論1枚にしたかったんですけど、さっき話したイベンターの人たちが70分以上は疲れるから聞けないよねって言ってて。確かに一回聞いたらもう聞くのやめると思うなーって。大事な意見でしたね。実際2枚組にわけてみたら、丁度いいところで1枚が終わるんですよ。

 

 

:コストを度外視しても大事にするべきところでしたね。そもそも新録だから、音源があがってくるまで総収録時間がわからないっていう…。

 

 

石川:このチームのすごいところって、音源あがってくるまで誰もクオリティとかが一切分からない状態です。それでもなぜかバンバン会議とか進んで行くっていう。それがまた楽しいんです。

 

 

福沢:作ってる側も、蓋あけてまたビックリ感ありますよね。曲順をいい加減決めないとヤバいよね、っていうタイミングで”シラオカ”の小池さんはまぁまず歌物だろと思って曲順を決めたんですよ。

 

 

――曲わからないのに曲順決めるんですか?

 

 

福沢:いや、小池さん以外はほぼ揃ってた (笑)。まあでもシラオカ的なものをイメージして待っていたら最大の変化球が来ましたね。

 

 

石川:やりやがった!!って感じでしたね。

 

 

福沢:でもほんと「どうしよう」って感じではなくて、どうしようもなく楽しくなっちゃって。小池さんも「俺今後こっち系でやってみようかな」とか言ってて、誰かの扉を開いた感はありましたね。1枚目の3曲目に入っているログメンってバンドも、それまで事実上休止中みたいな感じだったんですけど、今回のコンピをきっかけにアルバム作るって言ってくれて。

 

 

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フラットライナーズ・石川さん

 

 

 

自分ひとりで温めていたものががあって、ひとりだからこそすぐ決断できる

 

――今回コンピに参加している方たちのご説明をお願いできますか。

 

 

福沢:いいですよ。まずは”フードコーツ”ですね。もう名古屋のハコといえばハポンだと思うんですけど、そこのブッキングをしているモモジさんって方のご家族によるバンドですね。あとは個人的に10年越しの『7586(ナゴヤロック)』をもう一度やりたいっていう思いも強くて。ナゴヤロックに参加している”スティーブジャクソン”っていうバンドがいるんですけど、そのベースボーカルがモモジさんなんです。だからモモジさんありきの今回の『ナゴミハイツ』企画だと思ってて。まあ”フードコーツ”自体はふんわりとした雰囲気の音楽なんですけど。

 

 

――「ナゴヤロック」って僕ら馴染みないんですけど…。そういう作品があったんですか?

 

 

福沢:そういうのがあったんですよ。メンバーでいうと今”GUIRO” (“cero”のサポートメンバー、厚海義朗さんが元々所属していたバンド) などが所属している僕らの憧れのレーベル、そこからでてる『ナゴヤロック』っていうコンピは聞けばことごとくかっこいいバンドばっかりなんですよ。いやでも注目しちゃう。

 

 

――なるほど。続いて菊池さんのご紹介お願いできますか。

 

 

福沢:菊池さんは”紙コップス”っていう名古屋の代表といってもいいバンドの紅一点ですね。ソロもめちゃくちゃよくて。才能の塊みたいな人ですね。家ではがっつり宅録している人なので、絶対誘おうと思ってた。

 

 

石川:結構、どの人もメインのバンドを持っているけど、ナゴミハイツにはソロだったりサイドプロジェクトとして参加している人が多いよね。

 

 

福沢:そうですね。僕自身も”dinnerset”のサイドソロみたいなものなので……いうなれば己のダークサイド的な…

 

 

石川:ダークサイド (笑)

 

 

福沢:(笑)。まあ僕でいえば”dinnerset”が表向きだとすれば、ソロはもっとパーソナルなオタクな気質でやっているところもあるので、そういうのが垣間見えるのが今回だよね。

 

 

石川:なんでメインのバンドを誘おうと思わなかったの?

 

 

福沢:誰でもできるかなって、それは。”dinnerset”主催でやるならメインのバンドを誘うかもしれないけど、僕単体でやるとしたらそれは違うなって。売り上げとかそういうの関係なしに自分のやりたいことをとことんやりたいなってところではありますよね。

 

 

:だから最初はCD-Rで、っていう話だったもんね。

 

 

福沢:そう、自信もなかったし。でもいざやる気になってみると、それって一種の逃げのように感じて。いいものはいいって言ってなにも悪くないぞと思って、それが少しでも大きな動きになれば必ずしも届くものになる「かも」しれないって思えたから。

 

 

:まあでも、だからこそみんなお金を出して参加してくれたんだと思うよ。メインのバンドだったらメンバーと相談してああしてこうしてとかあるけど、自分ひとりで温めていたものを発表する場がそこにあって、自分ひとりですぐ決断できる。

 

 

石川:ソロっていうのがね、実はみんなの自尊心をくすぐっている部分があるかもね。

 

 

福沢:人ひとりってなんだかおこがましく思えちゃって、なかなか大きくでれないところが僕自身もあるんだけど、それを奮い立たせる原動力を担いたいですよね。僕からみたらこんだけ面白いことやってるんだから、って自信はあります。

 

 

――京都でこれだけソロでやっている人を集めようって思って集められるかと言われたら…結構きびしいなって思います。こんなにいるかなぁ、いないよね、ってなってしまいます。

 

 

福沢:名古屋はねぇ、こういうむっつりソロやってる人が多いんですよ。自信もってバンドもやってるし、その上で満を持してソロやってる人が多い。またねぇ、実際かっこいいんですよ…バンドには見えない味の濃さがもっと出てくる。内に秘めた情熱がソロには出てきている。

 

 

石川:小池君とかね (笑)

 

 

福沢:小池くんは特にね (笑)。なんかもう、してやったろうという気持ちがみんな出ているんですよね。こっちとしてはそこをえぐりとらないでどうするの、って感じ。

 

 

――そもそも京都って宅録文化あんまりないですよね。

 

 

福沢:えっ!ないんですか!?

 

 

――ソロで全部自分でやっていくんだ!っていう人は少ないですよね。どうしてもバンドメインだったり、ソロでやっていてもとくにデモとか音源は作らなかったり。どうしても弾き語りとかになっちゃって打ちこみとか宅録まで行う人は少ないです。

 

 

福沢:やっぱりそう考えると名古屋はバンドもやってるけどソロも積極的にやっているって人が多いかもしれない。そういう意味ではもうてんしんくんなんて誘わない訳がないんですよね。本当に唯一無二の存在だと思っているので。バンド内でも唯一無二のサウンドを作っているんですけど、ソロになるともっとインナーな感じになるんですよね。言い方悪いけど (笑)。奇才ですね。ほんとにひとりでもガツガツやってて、音質とかも気にしないぐらいバンバン発表しているんですよ。でもその感じがすごい宅録ならではだなと思っていて。表現していることも「誰っぽい」とか全然思えないし、名古屋を名乗るにあたって誘わないわけにはいかないなと。まあ、彼三重の人なんですけどね…。あと、”Sayoko-daisy”さんも絶対に外せないですね。彼女宅録主婦なんですよ。もうほんとマニアみたいな人です。YMOが彼女大好きで、ものすごい渋いエグい音を簡単に出してる雰囲気があるんですよ。

 

 

――そんな主婦末恐ろしいですね……!

 

 

:またね、キャラ立ちがすごい。テクノ好きで宅録しててほよ~んとしてて、聖子ちゃんばりの可愛い声で歌うし…もうおじさんなんかはたまんないよね。

 

 

石川:曲のポップセンスも半端ないからね。

 

 

:細野晴臣オタクで、音づくりとかもほんとに気が狂いそうになるまで徹底してる。完璧な音づくりを目指しているっていうか。

 

 

福沢:バンドとかやらないんですかって軽い気持ちで聞いたことあるんですけど「完璧主義なんで多分無理です」って言われましたもん。立ち入る隙がない。

 

 

――かっこよすぎる……。

 

 

福沢:次のマツバナオキさんなんですけど、名古屋の”ミミコ”ってバンド知ってますか?

 

 

――いや、申し訳ないですが存じてないです。

 

 

福沢:損してます!(食い気味) “ミミコ”でもマツバナオキさんはソングライティングしているんですけど、もうめちゃくちゃいいです。とにかく世界観がヤバくって、蜃気楼みたいなおぼろげな世界観っていうのかな。

 

 

――おいくつぐらいの方なんですか。

 

 

 

福沢:35ぐらいじゃないかなー。

 

 

――ナゴミハイツは結構そのぐらいの年代層が多いんですか。

 

 

福沢:んー、結構まちまちかなあ。

 

 

:”nano-sec.”なんてもうそろそろ還暦だもんね。

 

 

――ええー!!すごいですね。一番下だとおいくつぐらいになるんですか。

 

 

福沢:高津くんとかかな。うーん、年齢不詳多いからなあ (笑)。25.26ぐらいですかね。蓋をあけてみると、結構上の人が多いんだなあって今実感しました。”フードコーツ”とか”ログメン”もなんだかんだ30.40代だし。

 

 

――その世代の人が活発に活動しているのってすごく特徴的だなって思います。京都はほんとに大学生がメインで、卒業してまで残って音楽やる人って一握りぐらい。ましてや、歳を重ねてからはどんどん出るハコも限定されてきちゃうと思います。ライブハウスの中でも世代での分断というか、どうしても年齢層の違う人と関わる機会もそんなにないですね。

 

 

:名古屋は全然年齢層の違う人が同じライブハウスに出てたりとかよくあるよね。

 

 

福沢:すごくクロスオーバーな感じはあります。

 

 

:自分のバンドの話になっちゃうんだけど、東京から名古屋に来たとき、すでに歳もいってたから出れるハコがあるかなってちょっと心配だったんだけど、けっこう歳が上の人たちも出てるなあ!って思ったよね。

 

 

――東京はどうなんですか?

 

 

:東京はねー、もう歳取ってる人はみんな売れてる人 (笑)。売れてないのに歳とってやってる人って本当にいない。うちらぐらい。辞めるか、売れるかしかないよね。

 

 

福沢:なるほどー。そうなるといよいよ名古屋の生態が不思議に思えてきますね。

 

 

――京都は若い人は自分たちと同世代~せいぜい30後半ぐらいの人たちとしか関わりがなくて。きっともっと上の年齢の人たちもいるんだろうけど、その人たちはその人たちで若い人たちと関わりがないんだろうなって思っています。そこを唯一クロスオーバーできる存在がおそらくボロフェスタとその周辺の人たちですよね。

 

 

 

僕が主催者であることで、参加アーティストにとって 「何をやってもOK!」な場だということを明示したかった。

 

――では次のアーティストさんをご紹介いただけますか。

 

 

福沢:つづいて”ツユネブリ”ですね。僕大好きなんですけど良いくせにやっぱり知られてないってい うのが本当に嫌だ。ドラムレスのギター、ギター、ベース構成で3和音なんですよ。3和音ってなんかゲーム音楽みたいで、古き良きゲームサウンドのグル―ヴに近いものを感じるんですよね。あとは下手なことできない、全部聞こえてきちゃう感じもたまらないんですよね。悪さできないですから。サクサク行っちゃいますが、次の”kiiiu”。この人も唯一無二の存在感ですからね。音楽始めたのがほんとつい最近なんですよ。にも関わらず末恐ろしい……。バックグラウンドの経験値が高いんですよ、すごいいろんな仕事しているし、いろんな土地を知っているし。そういうのがちゃんと歌詞に出るんだなって感じます。自分の中のうつつと、想像みたいなのを混ぜ込んでいるというか。

 

 

:しかもほぼ全部マイナーコードだしね。

 

 

――悲壮感漂っている!(笑)。次、”フクラ本舗”は福沢さん自身のソロですよね。

 

 

福沢:そうです。何がやりたいかと言うと自分でもさっぱりわからないです。でも、良い曲をやろう!というよりは音楽の面白さを追求したいなと思っています。ダンサブルなやつだったり、輪唱やってみたり、いろいろ。

 

 

:まあでも”フクラ本舗”がこのコンピで何を担っているのかというと、やっぱり「主催感」だよね (笑)。へぇーこのコンピ誰が作ったんだろう?って思って”フクラ本舗”を聞いたら「ナァツコォォ!」って (笑)

 

 

福沢:すごいリバーヴィーなやつね (笑)。みんなで言ってたんですけど、僕の曲が「ボス感」だとすれば、次に収録されている小池さんが圧倒的に「ゲームオーバー/コンティニュー感」を担っているんですよね。それでDisc2へ続く……という図らずもドラマ感が生まれているという。まあ僕がこの曲をコンピに入れたことによって、オールオッケーにしたかったっていう気持ちはありますね。何をやってもいいよと。

 

 

――この福沢さんの曲のアウトロから、小池さんのゲームオーバーに繋がるとこはやく聞きたいです。今とにかくワクワクしてますもん。

 

 

福沢:是非聞いておいてください (笑)。小池さんももちろん”シラオカ”ってバンドをやっているんですけど、もっと内に秘めているものがあるぞって思っていてそれを出してほしいって思っていたので、今回その片鱗が見えて良かったなって思います。この小池さんの曲を初めて聞いた時、心からコンピやってよかったなって思いました。そうそうこれこれ、このインナーな部分がみたかったんだよ!って。すごく嬉しくなりました。

 

 

石川:やっぱ小池くんが参加してくれるのって強力だなって思ってたんです。おおー”シラオカ”の小池さんも入ってるんだ、的な。いやーでも最初聞いたとき「やられた!」って思ったよね。歌ってねぇじゃん!って(笑)

 

 

福沢:あの声聞きてえよ!ってなりますもんね (笑)。まあでも”シラオカ”のファンとして聞いたらわからないよね、一周して「あれ?小池さん入ってないじゃん?」って。でもこれって作品として最高なんですよね。

 

 

石川:こんな一面みせてくれるなんてレアだし嬉しかったよね。

 

 

福沢:次の”マイギ―とふくざわ”なんですけど、僕とmicroguitarってやつが一緒にやっているんですけど、このmicroguitarがいうなれば「いつでも恋したい」みたいな人間で。女の子がいればいつだって口説きたい、みたいな素敵な人間なんです。彼の書くラブソングは最強だと思ってて、そこが合致して今回実現しました。マイギ―もすごい良い曲いっぱい持ってるんですけど、やっぱ知られてないのが悔しいなあ。

 

 

――今の時世、ウケそうですけどね。このシティポップ感というか。

 

 

福沢:だからこそ悔しいですね。みんな結構外に出て行く欲がないというか。名古屋で完結しちゃいますよね。

 

 

―― (流れてきたBGMに対して) え、この曲めっちゃいいですね。

 

 

福沢:高津くんですね。え、高津君知ってますか?彼ももともとメジャー志向の人で、”シャビーボーイズ”ってバンドをやってたんですけど解散しちゃって。高津君がソロになったらどうなるんだろうって思ってたんですけど、予想を軽く越えてきましたね。Demoのクオリティがもう普通に流通してるんじゃないの?ってぐらいクオリティ高い。今回ナゴミハイツに参加するにあたって2曲も持ってきてくれて。でもやっぱ申し訳ないですけど高津君だけ2曲いれる訳にもいかないので…そのぐらいめちゃめちゃやる気に充ち溢れてるんですよ。彼は。

 

 

 

音源が全て出揃った瞬間の「俺たち勝った!」感は凄まじかった。

 

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Sweet Sunshine / フラットライナーズの磯さん

 

 

福沢:さっきも言ったんですけど、今回参加頂いている”nano-sec.”という方たちはもう還暦近いような方たちですね。

 

 

石川:でもやってることめちゃくちゃ若いですよね。

 

 

福沢:サンプリングパッドとか、ボイスチェンジャーとか、エフェクターかましまくったりとか、すごい珍しいなって。この年代層でそういうことやってる人って他にいなくて。今回誘ったときも「やります!」って言ってくれてすごい嬉しかった。こういう実験おじさんみたいなのが名古屋にいるっていうこともすごいことですよね。なかなかいないですよ。

 

 

:若い人たちに対してすごくオープンな姿勢でいるっていうのもなかなかないよね。レコーディングに仲いい若いバンドを呼んで参加させたり。自分たちの子供くらいの年齢のバンドを「前見てよかったから」って誘っちゃうなんてなかなかできない。

 

 

福沢:次は”トキノミノル”。南山大学のアメリカ民謡研究会ってサークルが結構名古屋では有名なんですけど、そこの”カーリーズ”ってバンドと”トゥラリカ”ってバンドのハイブリッドなんですよ、”トキノミノル”は。それぞれのメンバーが合わさっている。僕どっちのバンドも好きで、”カーリーズ”と”トゥラリカ”が合わさったらヤバいだろうなって、案の定ヤバいんですよ。あと、次の”トーマス”…これも聞いていただいたら分かる通りヤバいです。彼はアーティストなんですよね、映像も作ってる。『ヤカンポリス村田さん』で検索したら出てきます (笑)

 

 

―― (視聴) ……!?森の安藤さん (アニメクリエイター谷口崇の作品) と通じるものがありますね…。

 

 

福沢:まあ、今回のシュール担当ですよね (笑)。でもとにかくすごいんで、ライブ見てほしいなぁ。あ、スウェーデン人と日本人のハーフなんですけど、スウェーデン語はしゃべれない。

 

 

――これ歌詞何語なんですか。

 

 

福沢:完全に造語ですよ。

 

 

:なんか本人はHIPHOPがしたいって言ってましたよ。今回その第一歩だ!って。

 

 

――?!?!HIPHOPに向けてのこの曲なんですか?!衝撃的なんですけど。でもこの休符感、めちゃめちゃ好きです……。

 

 

福沢:次の”鳴る体”もめちゃめちゃいいです。この”トーマス”からの温度差……曲順的には譲れない部分ですね。この人たちも音源になると、普段とは違う才能を発揮しまくるんですよね。展開がとにかくすごくて。聞いた話だと、録りたいものを先に録ってあとから編集段階で足りないものや欲しいものを足していくってやり方らしいです。後から蛙の鳴き声いれてみたり、とかやってますよ。

 

 

――ええー、普通できないですよね……。

 

 

福沢:彼らも活動休止みたいになっていたんですけど、今年になってまた動き始めたのでとても燃えている雰囲気を感じていました。そこをキャッチアップできたのは嬉しいな。やる気しか感じなかったですよね、上がってきた音源を聞くと。

 

 

――各アーティストどのくらい製作期間があったんですか?

 

 

:結構なかったよね。締め切りが5月いっぱいで、お願いしたのが2月3月とか……タイトすぎて断られた人もいたし。ほんとよく集まったなって思います。

 

 

福沢:つづいてのアーティスト、”コトナ”なんですけど。これまた僕が関わってて、ドラム叩いています。宅録っていうよりはバンドサウンドが強いですね。ポエトリーをやってる界隈、京都だと”chori”くんとかと仲良いと思うんですけど、鈴木陽一レモンさんっていう名古屋のポエトリー界隈では重鎮にいらっしゃる方が中心のバンドです。自分が関わっているっていうのもあるけど、とにかく知ってほしいなと思って今回お願いしています。鈴木陽一レモンさんは僕が大学生のときからイベントとかやってらした方なので、なんか今こうやって一緒にやってるのが不思議だなって思います。

 

 

――音楽を続けているとそういうことありますよね。続けていないとわからない、まさかこんなことがっていう展開がやってくる日が。

 

 

福沢:ほんとにそうです。こればかりは続けていないと分からないし、起こり得ないことですよね。あ、次”Sweet Sunshine”ですね。

 

 

:はい、わたしの参加しているバンドです。全然ピコピコしてなくて宅録っぽくないんですけど。入ってるこの曲ってすごい古い曲で。いろんな人といろんなアレンジでやってるんですよ。それで、福沢君と一緒にやったときにできたのがこのバージョンです。今の若い人を意識したというか、クラブっぽい電子的なアレンジになっているんですけど、これは福沢君のアドバイスでこうなってます。

 

 

――めっちゃサマー感ありますよね、この曲。

 

 

福沢:まじですか、おれたちメンバー誰も夏感ないですけどね。まじか……!

 

 

石川:彼女のキャリアからいったら、今までジャズ寄りだったり割と固いジャンルでやってきたから今回の感じって結構めずらしいよね。面白いと思う。

 

 

――コンピ全体の雰囲気にもしっかりフィットしてますよね。

 

 

福沢:あくまで僕の秤でしかないんですけど、参加アーティストみんなどこかしら共通点というか、整合性はとれているんですよ。

 

 

――福沢さんが1人で選びきったっていうのは大きいと思うんですよね。右にブレようが左にブレようが結局中心位置は変わらないというか。右端と左端の距離は中心から見たら一緒だよね、っていう統一性は取れていますよね。

 

 

福沢:別に狙ってやってるわけじゃないんですけど、結果としてバランスが取れているのはすごいなって自分でも思いました。

 

 

:こんな十何人も集めて、音源も新録だから上がってくるまでわからなくて。最悪蓋開けてみたら「あちゃ~」みたいなのもあるんじゃないかっていう覚悟はしていたんですけど。けど実際はこんなにバランスがとれているコンピができて、奇跡に等しいですよ。

 

 

石川:音源あがってきた回のミーティングはアツかったね。俺たち勝った!感がすごった (笑)

 

 

――それはやっぱり、みなさんがこれまで積み重ねて真剣にやってきたものが、ちゃんとアーティストの方に伝わっていたっていうことだと思いますよ。それはすごく感じます。

 

 

福沢:あとはトリの”でぃでぃっ”なんですけど。ここもほんとに参加してくれてよかったなぁって思っています。

 

 

――作品としてエンド感がすごいありますよね。

 

 

福沢:Disc1の小池くんがゲームオーバー・コンティニューだとすると、Disc2の”でぃでぃっ”はハッピーエンドだと思ってます。すごく報われたなぁと、ここで僕の涙腺が崩壊しましたね…。

 

 

――長丁場のお話ありがとうございました。インタビュー以上にボリューム感のあるコンピだと感じています。名古屋以外のリスナーに届くというのも勿論なのですが、今回の『ナゴミハイツ』によってアーティスト、イベンターなどの作り手側にも影響を受けた人は多いはずですよね。本日はありがとうございました。

 

 

 

 比較的京都の音楽シーンと交流が深いと思われていた名古屋界隈だが、こんなにも取り巻く環境が違うものなのか!と軽いカルチャーショックもお互いに感じられました。その上で自分たちはどこで、どんな音楽を、どんなスタイルでやっていきたいのか。シーンをつくる、というと何だか大それたことのように聞こえるが、自らの中に芯がある限りはその芯を具現化して、もっともっと太いものに作り上げていくことは想像以上に実現可能なのであるということを目の当たりにしました。『ナゴミハイツ』を通じて、名古屋のエネルギーというのを改めて感じ取っていただければと思います。

 

 

■ナゴミハイツ レコ発イベント

 

9/26(土)@鑪ら場

開場13:30 開演14:00

nano-sec/トキノミノル/ツユネブリ

 

9/27(日)@大須サイノメ

開場18:00 開演18:30

kiiiu/コトナ/てんしんくん

 

10/4(日)@valentin drive

開場18:00 開演18:30

ログメン/小池喬/Sayoko-daisy

 

10/11(日)@金山ブラジルコーヒー

開場19:30 開演20:00

菊池紗矢/高津直視/Sweet Sunshine/フクラ本舗

 

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ご予約は各会場またはナゴミハイツ特設サイトまで

http://753812.info/nagomi

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