コンテンポラリーダンスってどんな感じ?アンテナメンバーがビギナークラスのWSを受けてみました!

2017.06.26

齋藤 紫乃齋藤 紫乃

GWに京都芸術センターで開催された『京都国際ダンスワークショップフェスティバル』。世界各国から多彩な講師を招いて、若手ダンサーの海外交流のきっかけとして1996年より始まったコンテンポラリーダンスの祭典である。

 

その中のプログラムの1つに、ダンス未経験者でもダンスに親しむ機会として設けられたビギナークラスのWSがある。期間中の19:00〜21:00の2時間を毎日違う講師が教えてくれるので、1日だけ単発で参加するも良し、全員のWSを受けるために毎日受けても良しなありがたいプログラムだ。

 

フェスティバルの創設者である坂本公成さんのインタビューを予定していた私達は、せっかく取材するならとWSを受けさせてもらうことに。アンテナ編集長の堤(ダンス未経験者)とライター齋藤(ダンス経験者)の2人がWSに参加して来た。それぞれの観点からのレポートを読んで、少しでもコンテンポラリーダンスに興味を持ってもらえると嬉しい。

 

 

 

アンテナ編集長・堤のレポート

 

こんにちは、編集長の堤です。

突然ですが僕は先日、京都国際ダンスワークショップフェスティバルに参加してきました。 このイベントは京都藝術センターで行われた、世界中のダンサーを集めたワークショップで、世界トップレベルのダンサーに直接教えを請うことができる貴重な機会となっています。

 

今回僕が参加したのは「D:ビギナークラス」で、講師は”アビゲイル・イェガー”という女性の先生でした。 先生は日本語が話せませんが通訳の人がいるので、レッスン自体は問題なく楽しめます。 また身体がかたい自分が無事にレッスンを生き延びられるか不安だったんですが、こちらも全く問題ありませんでした!

 

さて肝心の内容について、簡単にはなりますが感想を書いて欲しいと言われているのでお伝えします。 なにを感じたか一言で言うと、この二時間の体験を通して僕は、「日々どれだけ自分の身体に対して意識をせず、漫然と生きてきたか」を実感させられました。

 

中央の女性が講師のアビゲイル・イェガー

 

ビギナークラスということで内容自体はさほど難しいものではなく、イェガー先生曰く今回のテーマは「身体の重さ」を感じるというものでした。 まずは「自分の身体を筆にして、床に軌跡を描く」という、これだけ聞くとまるで美術部のような準備運動が始まります。十分に床を転がりたくったあとは、早速四つん這いになり骨盤の形と重さを感じる動作に。

 

中学校の野球部以降ろくに運動をしてこなかった自分にとって、これだけでも結構きつかったんですが、先生に言われたように骨盤に意識を集中させると、骨盤と頭の重さに気づきます。一度意識をすると不思議なもので、普段何気なく動かしている身体がとても重く感じます。その重さってそもそも重力なわけで、自分の身体なのに自分の身体じゃないような不思議な感覚に陥ります。

 

 

 

 

その後は自分と空間と他人の距離感を意識しながら人と人の隙間を縫うように歩いたり、タッグになってお互いの身体の振動を感じたり、普段意識しない”身体の感覚”を除々に研ぎすませていきます。そんなに素早い動きや、負荷の高い運動をしたわけでもないのに息があがり、汗までかく始末。でも不思議と嫌な感じとかは全然なくて、むしろ心地よいんですよ。自分の身体の声を聞いていると、一瞬立ったまま寝そうになった瞬間もありました。

 

そういったことを繰り返しながら最後は自分のまわりに、正方形のボックスがあることを意識し、自然とその中で踊るような動きを練習します。今までやってきた身体の動きを使って踊るので、この時点では結構きちんと動けるようになっているあたり納得感があり面白かったです。

 

二時間休憩なしで動き続けるんで結構疲れるんですが、終わる頃にはカチコチだった身体が伸び切っていて、すごく気持ちよかったです。普段どれだけ変な部分に力をいれていたのか、また姿勢が悪かったのか実感させられる結果となりました。ワークショップに参加するまでそんなこと意識したこともなかったんですが、重力や身体の仕組み上、おさまりのよい位置があるんですよね。それを意識するだけで、身体がピンとしてきます。これからはそういったことを意識しながら身体を使おうと思いました。

 

追記:早速身体がだらけ始めております。改めてこれを読み直し、身体に意識を注入中。美しい身体になりてえ〜

 

 

 

アンテナライター・齋藤のレポート

 

こんにちは、ダンス経験者のライター齋藤です。

アンテナで『京都国際ダンスワークショップフェスティバル2017』の取材をできることになって、さっそくWSを申し込んだ。

 

WSのクラス内容は『ダンスメソッド&ボディ・コンディショニング』『コンタクト・インプロヴィゼーション』『クリエイション&リサーチ』とあり、私は「身体と身体」の対話を具体的で物理的な法則に委ねて探求する『コンタクト・インプロヴィゼーション』のクラスを受けてみることにした。先生は、ドイツ・ベルリンで活躍するカティア・ムストネンを選択した。

 

カティアのビギナークラスには20人以上が参加しており、コンタクトの授業が全く初めての人は私を含めて3人ほどだった。全く未知の状態で参加したが、出来なくて当然なので初心者を良いことにカティアと皆さんの大船に乗ることにした。

 

夜19時から始まったこのクラスでは、カティアが「ゆっくりはじめましょう」と言ってくれたので、まず床に寝転がって自分の身体を感じる所から始まった。 赤ちゃんのように手足を上に投げ出すように曲げて、左右に揺れる。右から左へ勢いを付けずにゆっくりと本を開閉するように転がり、徐々に転がりを強めて片方に行き着いたときに手を床について起き上がり2、3歩進み、また手を床について赤ちゃんのようにぺたっと座り込み寝転がって反対側へ転がる。これを何回か繰り返した。ただ力を入れず身体に身を委ねることは気持ち良く、床と友だちになっていった。

 

その後近くにいた人とペアを組み、これが私にとって一番難しかったのだが、ペアの人にすべて自分の頭の体重を預けるワークをした。大の字に寝転がった私の頭を後ろに座ったもう1人の両手に預ける。頭を左右に振られたりいろんな角度に曲げられたりしながら、徐々に私が手足を動かしたりごろごろ転がったり立ち上がったりするのだが、その間どうなっても頭を相手の身体に預けていなくてはならない。何も考えずに委ねよう!と思っても、美容室のシャンプーの時みたいに首の力を使って頭を浮かせてしまう。その逆もやったのだが、人の頭はびっくりするほど重くて、普段、約8kgもある頭を支えながら日常生活を送っていることに改めて驚く。

 

正直、この頭を預けるワークがとても難しく、この先どんな難易度の高いことが待ち構えているのかと内心焦っていた。 しかし次のワークは先ほどとは違ったアプローチで、フロアを休み時間の小学生のように全員で走り回った。自分の立ち位置から適当に誰か1人をターゲットに決めて、その人から一番遠くにいるようにするというシンプルなルールを言い渡され、みんなワーワーしながら動き回って、気が付いたら会場の真ん中に線を引いたように左右に人が分かれていた。 おにごっこのような感覚で何回かみんなで走り回ったので、このときには自然と心も身体もリラックスしていた。

 

その後、自分の頭を風船に見立てて風に流されて飛んで行くというのをやり、頭をゆーっくり傾けて、傾けた方向に数メートル小走りで進んだ。風はいろんな方向に吹くようで、みんな様々な方向に漂っていた。そのうち隣の人と息を合わせて、2人で同じ方向にぷかぷかと流れた。

 

そのまま最後のワークに突入し、風船でペアになった相手と、マネキンワークに取り組んだ。1人がマネキンになり、もう1人が腕を持ち上げたり膝を曲げたり腰を傾けたりして、相手の身体を操って自分の好きな作品に仕上げる。仕上がったら、相手と同じポーズを再現するように相手の後ろにぴたっと張り付きながらポーズを真似る。マネキンのポーズを模写しきると、初めにマネキンをしていた方がするりと腕の間を抜け出て、作業を交代する。何度か繰り返し、私の作った何度目かのポーズを見たときにペアの子が「ぷっ」と笑ってくれた。そこから相手に対して緊張がほぐれ、一気に距離が縮まった。

 

ポーズの真似っこの次は、ポーズをしている相手の身体の ”空いている空間” を探してそこに入り込んだ。身体の前方が空いていればそこに入り込み、脚の間が空いていればそこに潜り込む。宝探しのようで楽しかった。『マネキンポーズ』と『空き空間探し』を繰り返すように相手の身体とコミュニケーションを取り、どこかのタイミングで触れる部分があればそこを基点にコンタクトし、しばらく腕や脚を絡めていることもあれば背中や頭を軸に回っていることもあった。 宝探しのように熱中していると、カティアが「あと3分そのまま踊りましょう」と言ったので、その時初めて「今私は踊っているんだ」と気が付いた。ペアで踊っていたらいつのまにか周りに人がいて「周りにいるみんなと踊りましょう」というカティアの言葉と共にコンタクトの輪は広がっていき、最後にはみんなで踊った。「やばい、暑い」と汗だくの自分に気付いたときには終わりの合図が聞こえた。

 

クールダウンも独特で、ペアの身体の頭のてっぺんからつま先までなぞって、身体から何かを払った。何も考えないようにすべてこの会場に置いて行くように、とのことだった。 すべて終わり荷物の場所に戻ってひと息つくと、とても身体が冷たくなっていた。手も震えている。汗が引いて冷えたというよりも、あまりの集中に、頭も身体もグレープフレーツのようにすべて搾りきってしまった感覚だった。心は清々しいのに、身体が無だった。クールダウンですべて置いてきたので何がこんなに影響しているのかわからなかったが、体験したことのない衝撃がずっと住み着いるようだった。

 

感想を一言で言うと、楽しかった!!!何が楽しかったのか、数日経ってこうして記事に起こすときに鮮明にどう感じていたかはっきり思い出せるくらいに楽しかった。 今年は1回の体験だけだったが、来年はクラスを通しで受けてみたい。それが無理でもビギナークラスを何回も受けようと思うし、そしてゆくゆくはショーもしてみたい!とすっかりコンテンポラリーダンスにハマってしまったのだった。

 

これからが、私の京都の暑い夏のはじまりなのかもしれない。

 

 

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