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私たちがアンテナをやる理由。~ライター小倉・齋藤編~

アンテナ創設者の堤へのインタビューに続き、アンテナメンバーがなぜ「アンテナ」を始めたのかに触れるインタビュー第二弾。今回はライターにスポットを当て、小倉陽子齋藤紫乃にインタビューをしてきました。アンテナのライターメンバーには、ライターの経験を持っていた人間はほぼいません。そんな中で彼女たちがあえて手を挙げライターを名乗ることになった理由は?はたまた彼女たちにとって「ライター」とはどのようなものなのか?アンテナに入ってどのような経験をしてきたのかを交えてお話しします!

 

 

インタビュー:山田和季

写真:岡安いつ美

 

 

 

 左から齋藤紫乃・小倉陽子・山田和季

 

 

 

「ライティング」は文字にさえすれば、即アウトプットができる自己表現手段。

 

 

――お二人は自ら「アンテナに入りたい!」と志願してメンバーになったと聞いています。入ったきっかけと時期を教えてくれますか?

 

 

小倉:私は2016年の9月に加入しました。もう入って89か月ぐらいになりますね。きっかけはアンテナのtwitterを見てです。ライター募集のツイートがまぁまぁ長い期間流れ続けていて。私が応募したのは8月ぐらいだったんですけど、募集ツイートは4月ぐらいからずっと流れていてその間も気にかけてはいたんです。

 

 

――アンテナが気になっていた理由は何ですか?

 

 

小倉:もともとなぜアンテナを読んでいたかというと、私は広島のウサギバニーボーイというバンドが大好きで、ギターボーカルの高宮さんが寄稿していた連載を愛読していたのがはじまりです。他にもインディーズのバンドが好きで、そういった自分の身近なバンドや好きなバンドがアンテナに取り上げられることが多かったんです。

 

 

――その4か月ぐらいの間、他に気になっていたものはなかったんですか?

 

 

小倉:同じ時期に只本屋(東大路五条にあるフリーペーパー専門店)のスタッフの募集もやっていて、そこも気になっていましたね。

 

 

――齋藤さんは加入したきっかけ・動機は何でしたか?

 

 

齋藤:私はweb系の会社で働いているんですけど、その繋がりでまず編集長の堤さんと知り合いになりました。会社の親睦会みたいな場で「うん、気に入った」って言われて ()。そのときは「うわ~、苦手っぽーい」って思ったんですけどなんだかんだ意気投合しまして。それからしばらくして、編集部コラム「俺の人生三種の神器」の堤編集長の旅コラムを読んだときに共感できる点がたくさんあったんです。私自身も学生時代、何にもチャレンジできなくてくすぶっていた経験があって、それ以外のアンテナのインタビューやコラムも読んでいくうちに……思い切って「アンテナに入りたいです!」って堤編集長に声をかけました。2016年の12月ぐらいですね。

 

 

 

 

――小倉さんみたいに音楽やバンドがきっかけになってアンテナを見てくれている人はある程度いるかと思うんですけど、齋藤さんみたいに中の人きっかけで見てくれる人ってかなり珍しいかもしれません。

 

 

齋藤:そうかもしれないですね。わたし自身、webメディアを立ち上げたいっていう気持ちが実は前からあって。いろんなメディアが立ち上がっていく様を眺めてはいたんですけど、「面白くないな」とか「どこにでもある内容ばっか書いているな」って印象があったんです。それだったら私も誰も作っていないような京都のwebメディアを作りたいなーとぼんやり考えていたら……そこにあった!みたいな(笑)。なので練習じゃないですけど、まず「webメディアってどうゆうことをしたらいいんだろう?」っていうのも含めてアンテナで経験しようと思いました。

 

 

――今もまだ、自分でwebメディアを立ち上げたい気持ちはありますか?

 

 

齋藤:うん、一応。でも今はアンテナがすごく面白いので、今すぐじゃなくていいかなと思っています。「これまでに無い新しいものが必要だ!」みたいなアイディアが出てきたらやるかも。

 

 

――齋藤さんって今話された通りwebメディア立ち上げたいとか、あとは昔ダンスをやっていたとか多彩なイメージがあります。一応肩書きはライターな訳ですが、アンテナで一番齋藤さんがやりたいことって何ですか?

 

 

齋藤:アンテナがもっといろんな人に読まれるように成長させたいっていうのが一番かな。ライターはあくまでアウトプットのひとつとして個人的にやりたいことってイメージ。私自身、人に見てもらいたいっていう気持ちが強い人間で、ダンスも自分のアウトプットの手段としているだけ。ダンスに比べてライティングって文字で書いたらすぐネットにアップできるし、即時アウトプットできるのが優れているので便利ですよね。なのでライターとしてももちろんやっていきたいけど、今はアンテナのメンバーがとても好きなのでそのために自分にできることで盛り上げたいなって思っています!

 

 

――なるほど素晴らしいですね。個人的なアウトプットとしてのライティング力と、全体的な組織を盛り上げていく力。両方持っている人ってアンテナに限らず、そうそういないと思うんですよ。だからこそ人が何人も集まってやっているわけで。

 

 

齋藤:たまたまですよ!(笑)

 

 

 

相手の言うことを聞き返すのは失礼だと思っていた。でもそうじゃなくて、相手の言うことに常に疑問を持つべき。

 

 

――じゃあお二人に聞きたいのですが、実際アンテナに入ってみてギャップはありましたか?特に小倉さんは知らない人だらけの集団に飛び込んだわけですが……。

 

 

小倉:私は年長組なので、入ったときに「わー、みんな若いなぁ」っていう気持ちはありましたね。反面、その割にちゃんとしている団体って印象はありました。かといって会社みたいにカチッとしているわけでもなく、それがやり易く居心地がいいのはありましたね。あとは、もともとライブレポを中心にやりたいって言って参加したんですけど、蓋を開けてみればインタビューをする機会がめちゃくちゃ多くて……私の中でインタビューをするっていう想定が全くなかったので最初は怖かったです (笑)。でもライブレポみたいに一方的に刺激を受けるのとは違って、実際に対話して双方が作用しあったものを落とし込むっていう点がインタビューの面白さで、想定外の経験をさせてもらえたなと思っています。

 

 

齋藤:ギャップはとくに無かったですが、紙面版のフリーペーパーを作る時の会議に初めて出席したとき、メンバーみんながすごく発言力があるなぁと思いました。頭の回転が速い。普段からそういう人が多いのかな。

 

 

――私は会社とかでは全然発言しませんけどね  (笑)。上下関係とか役職とかがカッチリしている場ではそんなにガツガツいかないです。

 

 

齋藤:アンテナはメンバーがフラットだから発言しやすいんだろうね。編集長と副編集長がトップにいて、その下にメンバーがいる感じだと思っていたんだけど、全然そんなことなくて全体的にフラットなのが強いて言うならギャップだったかなあ。

 

 

 

 

――お二人が入って初めてやった仕事って何でしたか?

 

 

小倉:加入したてのタイミングで、大好きなウサギバニーボーイがレコ発で京都に来るのが決まったのでそのレポートにしようって話になっていたんですけど……。その寸前にボロフェスタの事前企画でニーハオ!のありこさんへのインタビューする話が上がってきて、それが初めての仕事になりました。インタビューのイの字も知らない上に私はニーハオ!も聞いたことがなかったんです。なので撃沈した思い出があります  (笑)。でも追々「ここは話をこう持っていけば良かったんだな」とか発見や成長はたくさんあったので、撃沈しながらもインタビューって面白いなって思えた初めての仕事でした。

 

 

齋藤:わたしも最初の仕事はインタビューでした。”貌斬り”という映画の俳優さんへのインタビュー。そもそもアンテナに入りたてで、記事を書くためには自分でアポを取ってこなくちゃいけないのか、それとも招集されるのかも分からない状態だったので「この映画のインタビューやる人いませんか?」って連絡が流れてきたときに「初めての仕事だし、スケジュール空いてるしやろう!」って思ってすぐ手を挙げました。

 

 

――普通は「初めてだし……」ってなかなか行けない人の方が多いですよ。「初めてだから」でそこに行けるのはすごく素晴らしいと思います。

 

 

齋藤:なんとかなるかな~って思って (笑)。でも映画のインタビューなので事前にちゃんと作品を見ないといけない訳ですよ。思いの外難しい内容だったこともあって、これに対してどう質問をしようか……って悩みましたね。はじめてのインタビュー、どうしても質問に対しての回答に「へぇ~そうなんですね」みたいなことしか言えなくて、なかなかキャッチボールがうまく行きませんでした。上手い繋げ方が全然できなくて……。

 

 

――その悩みってインタビューも含めて「人との対話」っていう面で多くの人がブチ当たる壁だと思うんですよ。一朝一夕で出来るようになるものでもないですし、齋藤さんなりに何かこれに対する答えって出ましたか?

 

 

齋藤:でたでた!そのとき一緒に行ってくれていたカメラマンが副編集長の岡安だったんですけど、岡安がインタビューの合間合間に「さっき仰っていたことって、こういうことですか?」って助け船を出してくれたんですよ。これは私のクセなんですけど、相手が喋っている途中でそれを聞き返すようなことってあんまりしちゃいけないと思っていて、なんとなく自分で想像して「あれはこういうことを言っていたんだろうな」って考えたりするんですけど、あえてそこで相手に聞き返していかないと私だけの感想や想像に過ぎなくなっちゃうんですよね。だから、相手が話した内容を決めつけないで常に疑問を持っておかないとダメなんだなって学びました。

 

 

 

 

 

誰かの一歩になるようなメッセージを伝える、そういうライターに。

 

 

――インタビュー以外で携われて嬉しかった記事や、アンテナの中で影響を受けた他の人の記事なんかはありますか?

 

 

小倉:やっぱり私はライブレポートが書きたい気持ちが強いので、読んでいてかずー(アンテナライター)のライブレポートは良いなと思いますね。誰に向けて伝えようとしているのが明確になっている。「私はこう思いました!」っていう一方的なものではなくて、誰と分かち合おうとしているのかが強く見えますね。なおかつアーティストへのリスペクトも込めて自分の言葉で表現しているので、おそらくそのアーティストが好きだからそのレポを読む人と、そうじゃなくても「かずーのレポだから」読む人もいるんじゃないかなと思います。

 

 

――小倉さんはどういう人に向けてレポートを書きたいと思っていますか?

 

 

小倉:今までも個人的にタンブラーにレポートみたいなものを書き溜めていたことはあって。自分の備忘録や思い出記録のために書いていただけなんですけど、同じバンドが好きな友達だけが読んでくれる内輪なものだったので、それをちゃんと外向きな形にしたいっていうのがアンテナでの思いです。バンド自身がライブをすることで伝えたいことってきっとあると思うんですけど、それを私がもう一回言葉にすることで少なくともそのライブを見て「わあっ!」ってなっていた人たちとは共有できると思うんですよ。それってすごい体験なんじゃないかなと思っています。

 

 

 

 

――齋藤さんはこれまでやった記事で印象に残っているものはありますか?

 

 

齋藤:「日本一の斬られ役」という通り名がついている俳優、福本清三さんにインタビューをしたことですね。「一万回斬られた男」って言われていて、その人に会えただけでも面白かったです!なのでそれをきっかけに、自分が気になる人やイベントなんかには自分からガンガンいきたいなと思いました。記事を書くとき、そのものの良さを自分のフィルターを通してしっかり伝えたいという思いがあって、「いかにどう良いものなのか」って第三者のフィルターを通した方がわかりやすくなると思うんですよ。自分がストーリーテラーになるというか。それが今インタビューで一番やりたいことだなぁって思っています。

 

 

――それでは今気になっている人やカルチャー、場所なんかはありますか?

 

 

齋藤:うーん、京都の国際芸術フェスティバル「KYOTO EXPERIMENT」にはがっつりコネクトしたいなぁと思ったりしています。それと「京都岡崎音楽祭 OKAZAKI LOOPS」を運営している株式会社Nueの松倉さんにもインタビューしたいな……。いつも目の付け所やアイデアが素晴らしくて、憧れている方です。あと気になっているお店だと「VOU」というアングラセレクトショップ。ギャラリーも兼ねていてひとクセある帽子とかタイかどこかから買い付けた謎オブジェとかが置かれているので気になっている(笑)。

 

 

小倉:私は京都のバンドを集めた「バンド名鑑」を作りたいです。

 

 

齋藤:集めるだけじゃなくて、グラフ化して「こういう系音楽はこのバンド」みたいに可視化したいね。聞いてみようかな~ってなると思う!

 

 

――絶対需要ありますよね!何バンドぐらい集めます?

 

 

小倉:うーん30バンドぐらい集めて……でも毎年出したいんですよね。「2017年度版」みたいな。

 

 

――だいぶトレンド感が重要になってきますね。年間30バンドとなると……結構すぐ候補埋まっちゃいそうですね。アツい……!最後にお伺いしたいのですが、お二人が思う「ライターの醍醐味」って何だと思いますか?

 

 

齋藤:プレスリリースとかで資料や情報を貰うんですけど、それってそのまま貼り付けて流すだけだと私を介する意味がないんですよね。なのでこれまで私がニュース記事を書いた劇団や舞台の公演は見に行くように心がけています。それで次また書くことがあればもっと気持ちを乗せられるはずなので。とくに演劇とか劇団ってプレスリリースで貰う情報が少ないんですよね。映画だったら予告動画もあるし、ダンスはダンサーさんの動画がYouTubeにあがっていたりするし、音楽だったら曲を聴けばいいし。演劇って一番伝えづらいんじゃないかなぁと思いつつ、そこをしっかり伝えられるようにしたいしそれが醍醐味だと思います。

 

 

小倉:やっぱり記事を書くだけじゃなくて、書いてリリースした後に誰かにとって何かがちゃんと生まれなければいけないんですよね。伝えるっていうことはそういうことかと。アンテナに入る前の話ですけど、自分が勤めている会社で新入社員に向けての挨拶をしなきゃいけないことがあったんです。その頃会社の空気が少しギスギスしていて、同僚たちもどうやって仕事をしていったらいいのか悩んでいた時期だったんですけど、私は新入社員に向けてのメッセージの中に同僚たちへの隠しメッセージを込めたんです。そしたら思っていた以上に、当日同僚たちにも伝わっていたみたいで「良い言葉でした」って言ってもらえて、初めて他人に「伝える」ことが実現できた気がしたんです。なのでライターとしても誰かの一歩になるような、そういうメッセージを伝えることができたらいいなと思います。

 

 

――顔も見えない人の背中を押すことって、やっぱりメディアだからできることのひとつだと思います。あとはそれこそ作家だとかアーティストだとか、原点的な作り手に自分がなるしか手段がなかなかないですよね。ありがとうございました!

 

 

 

 

 

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この記事を書いた人

山田 和季
山田 和季
チーフエディター。 (頭が悪いから) 歯に衣着せぬ物言いで、最近は「めたくそライター」の肩書もGETしました。ふざけただらしのない文章を好みます。母の鳴く家というバンドで紅一点ギターを弾いていますが、わりと常にエロいことを考えています。

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