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俺の人生、三種の神器 -森下優月 ①活字編-

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▼俺の人生、三種の神器とは?

人生の転換期には、必ず何かしらきっかけとなる「人・もの・こと」があるはずです。そのきっかけって、その当時は気づけないけれども、振り返ると「あれが転機だった!」といったことはありませんか?そんな人生の転機についてアンテナ編集部で考えてみることにしました。それがこの「俺の人生、三種の神器」。

折角なのでもっとアンテナ編集部員ひとりひとりのことを知ってもらいたい!そんな気持ちも込めたコラムです。これから編集部員が毎週月曜日に当番制でコラムを更新していきます。どうぞお楽しみに!

 

 

このコラムを書くにあたって、人生の転機なんて3つも思い浮かばない……とみなさん言いますね。しかし「書くことのなさ」にかけては、私は他のどのアンテナ編集部員よりも自信があります。そんなとこで張り合ってどうするというのはさて置き、なぜってアンテナの中で自分は1、2を争うぐらい平凡だという自覚があるからです。私にはそれだけで連載が書けるほどの突出した趣味も、オリジナルバンド経験もはたまた絵の才能もありません。どちらかというとこんなところで自分のスカスカの半生をさらすのはできる限りご遠慮ねがいたいという感じです。

 

 

そんな私でも1つだけすぐに浮かんだテーマがあり、この先のことを考えると確実に最後に取っとけよと思うのですが書いてしまいます。なぜライターを始めたいと思ったのか、というところです。

 

 

 

両親と本

 

 

私の両親は本が好きでした。寝る前には毎日2冊ずつ読み聞かせをしてくれたし、週末には必ず図書館に連れて行ってくれました。本に関してなら欲しがったものはほとんど何でも買ってくれ、私もすっかり本好きに育ちました。本は両親と私を繋ぐ大切なコミュニケーションツールでもありました。

 

 

書くことも好きになりました。小学生の時、クラスに何人か夏休みの宿題にやたら命をかけてくる変人がいたと思うのですが私もその1人でした。読書感想文という懐かしい響きのあれです。学校の宿題ごときを完成させるのに毎年母とバチバチのバトルを繰り広げるのはトチ狂っているとしか思えないのですが、その時の私は超真剣でした。今思えば、文章を書くことは子供の頃の私が一番「認めてもらえた」と感じられる経験だったんだと思います。良い結果が出ると母はとても喜んで褒めてくれました。それが嬉しくて次の年はますます気合を入れました。

 

 

セーターになりたかった毛糸玉

 

好きな絵本: 『セーターになりたかった毛糸玉』

良いセーターになることがヒエラルキーの頂点である毛糸界において、あぶれてしまった毛糸が自分を使ってくれる主を求めて運命に翻弄される……という今思えばなかなかシビアなお話なのですが (実際はもう少しやさしげな書き方がしてあります) 、最後毛糸がネコのセーターだか何だかになってほっこり幸せという場面で何度読んでも母が号泣していた記憶があります。年々涙もろくなってきた私は今読んだらきっと涙腺崩壊するに違いありません。あと毛糸がそれはそれはかわいく描かれています。

 

 

 

マイ・バイブル、ハリー・ポッター

 

 

そんな私の書くことへの熱をさらに加速させたのが『ハリー・ポッターシリーズ』でした。私が小学生の頃はハリポタブーム全盛期で、掃除の時間になるとどう考えても飛びそうにない箒にまたがった男子があちこちに大量発生しておりました。

 

 

ハリー・ポッターと賢者の石

 

それまでも本は好きでしたがこの本が私に与えた衝撃は特別でした。ただの文字の羅列からこんなにもたくさんの風景が見えてこんなにも感情が揺さぶられる、言葉の力ってすばらしい。まさに魔法や……!と熱に浮かされたように繰り返し読み、気づいたら将来の夢は小説家になっていました。この頃真剣に書いたらしい話 (サンタの星から大量のサンタが地球に乗り込んでくる) を読み返すとすがすがしいくらい語り口がハリー・ポッターそのものです。なんて分かりやすい。

 

 

しかしその熱意も中学・高校と年を重ねるごとにだんだん薄れていきました。正確には薄れたというより、「11歳の誕生日にホグワーツからの手紙を待っていたあの頃の気持ちを葬り去った悲しい大人に成長してしまった」という方が正しいですね。少し広い世界に出れば優秀で圧倒されるような才能を持った人がいっぱいいる、と私は自分に言い聞かせ、いろんなことを諦めてしまうようになりました。そう考える方がずっと楽だったし、このまま流されてなるがままに職に就くのだろうと思っていました。

 

 

 

書くこと、伝えること

 

 

それでも心のどこかに未練があったのだと思います。

シュウカツ真っただ中、大学のゼミで一緒だったMちゃんが某有名編集社の最終選考まで進みました。

 

 

その頃の私は編集社なんぞはなからチャレンジするつもりもありませんでしたが、英文学系のゼミに入り漠然とまた活字にふれることが楽しいと思うようになっていました。それだけに、仲の良いMちゃんのニュースは私を何ともいえないざわついた気持ちにさせました。その頃中堅~大手の食品系会社に特攻しては散るという行動を繰り返していた私ですが、そこで初めて自分が本当にしたいことに真っ向から向き合ったように思います。私はやっぱり文章で何かを伝える仕事がしたい。就活も終盤、今さら遅いよなと思いつつそんな風に何かしらの道を模索していた私を受け入れてくれたのが、このアンテナだったのです。

 

 

小さな頃の夢とは形が変わったけれど、自分の言葉を介して自分の好きなものを紹介し、それによって誰かの心を動かすことができるライターという役割は最高にイケていて素敵だと思っています。書いていたらもっと頑張らないといかんなと反省しました。頑張ります。

 

 

 

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堤大樹

①初めてのひとり旅

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①シンパシー

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この記事を書いた人

森下 優月
森下 優月
東京にてキラキラOL (自称) への第一歩を踏み出すかたわら、定期的に京都に高飛びしておもしろいことに首を突っ込んでいます。
将来的にはイギリスに住みたい......と口では言いつつ日本が好きすぎて結局行かないんだろうな、というだいたいいつもそんな感じの人生。

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