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俺の人生、三種の神器 -高石瑞希 ①ノート編-

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▼俺の人生、三種の神器とは?

人生の転換期には、必ず何かしらきっかけとなる「人・もの・こと」があるはずです。そのきっかけって、その当時は気づけないけれども、振り返ると「あれが転機だった!」といったことはありませんか?そんな人生の転機についてアンテナ編集部で考えてみることにしました。それがこの「俺の人生、三種の神器」。

折角なのでもっとアンテナ編集部員ひとりひとりのことを知ってもらいたい!そんな気持ちも込めたコラムです。これから編集部員が毎週月曜日に当番制でコラムを更新していきます。どうぞお楽しみに!

 

 

お待たせしました、本連載にデザインチームのメンバーが初登場です。今回はイラスト担当の高石瑞希がお送りします。

 

 

アンテナにはデザイナーとして2013年に加入後、フリーペーパー版で誌面のデザインとイラストを軸に活動してきました。人手の足りないイベント時(ボロフェスタとか、その翌年のボロフェスタとか)にはカメラマン&ライターとして臨時出動。昨年京都を離れたことを機に編集部卒業宣言をしたものの、年明けにフワッと復帰。現在は主にWeb版のイラストを制作しています。

 

 

なんでも残してやろう

 

さて、仕事柄ひとりで作業することが多い私の良きパートナーであり、生活に欠かせない道具が、「なんでもノート」。日記、スケジュール帳、スケッチブック、アルバム、スクラップブック、ネタ帳、辞書などあらゆる役割を担うこのノートは、私にとってまさに頭の延長、もしくは別館。いらっしゃいませ。

 

 

一冊使い切ったら新しいものを買うというサイクルですが、気付けば結構な冊数になっていました。

 

 


形もサイズも様々なノート。行方不明者も含めるとまだまだ沢山あります。



 

これほど溜め込んでいるのだから、さぞかし貴重な財産……かと思いきや、いざ読み返してみると役に立つわけでも、しみじみとした感動を呼ぶわけでもない。とりとめのない日記がほとんどで、実のある情報は一握りです。それでも毎日のように文章と絵がガシガシ干渉しあいながらページを埋めていき、気付くと一冊終わり。ノートをとること以外の目的がぼんやりしたままノートをとり続ける、いわば「ノート癖」としか呼びようのない習慣なのです。

 

 

そういうわけで私のノートには、未だ価値のはっきりしない情報が様々な形で大量に記録されています。この欲求は一体どこから湧いてくるのでしょうか。丁寧に経緯を追っていくと、一冊のへたくそな旅行記に辿り着きました。

 

 

 

 楽しかった旅行と、同じくらい楽しかった旅行記

 

さて、遡ること実に10.5年前。誰もがハンカチ王子のハンカチになりたかったあの夏のことです。今となってはこれが宿題だったのかすら定かでないですが、夏休みの自由研究として家族旅行をA5サイズのノートにまとめたのがそもそもの始まりでした。

 

 


近所の100均で最も旅行っぽい表紙を選んだ結果、どこの国に行ったのか分かりづらくなった記念すべき一冊目のノート



 

写真や観光パンフレットの切り貼りを交えつつ、Day1、Day2……と時系列に出来事を並べたシンプルな構成が好印象ですが、一日分のアクティビティが無理やり200文字程度にまとめられているため、言葉が淡々としている割に展開が急。「母はリス、父はバイソンを食べており、妹は時差ボケで寝ていた」など、突如として両親が野性に目覚める場面は特にスリル満点です。

 

 

今でこそ絵を描くことが本業になっていますが、実はこの旅行記、本編にはほとんどイラストがありません。箸休め的に挟まれたコラムのページになって、やっと挿絵が登場します。

 

 

途中から完全にめんどくさくなっている森の動物図鑑

 


訳が分からなくなったら一大事なので、少しご紹介しよう



完成度はさておき、「絵を使って他人に物事を説明する」というこの原体験は、私にとってイラストがコミュニケーションツールとしての役割をしっかりと持ち始めた瞬間でもありました。根気よく説明を続けることで絵が徐々に自分のものになり、言葉だけじゃなく絵で思考を進められるようになってくると、他人に見せるという目的が薄くなってもノートをとる習慣がなくなることはありませんでした。

 

 

なにより、初めての旅行記が「記録の快感」を私にもたらしたのは間違いありません。それは今に続くなんでもノート癖の原点、もしくは原動力ともいえる核の部分です。なんでもいいから手元に残す。そうすると頭が整理されてスッキリする。さらには、アウトプットしてみて初めて分かる事というのも出てくるんです。その時は気付かなくても、後々になって「自分はこんなことを考えていたのか!」とびっくりするタイミングがあります。絵に関しては特にそうなんじゃないかな。

 

 

 

実際に起こった事と、自分が考えた事が、一冊のノートに記録されることで渾然一体となって新しい興味を生む。それは自分の外にある世界と、内にある世界の価値を等しく認める作業かもしれません。私にとってノートがそうであるように、京都にとってのアンテナが、そういった神秘的な作業の舞台になっていけばいいなと思います。お後がよろしいようで。

 

 

 

▼他の人の転機

堤大樹

①初めてのひとり旅

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高石瑞希

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この記事を書いた人

高石 瑞希
高石 瑞希Designer / Illustrator / Painter
1993年神戸生まれのデザイナー/イラストレーター/画家。CDジャケットをはじめ、書籍の装丁・Webバナー・フライヤーなどイラストを中心としたグラフィックデザインを展開しています。現在は手描きアニメーションの制作に夢中。
京都での芸大生時代にアンテナと出会い、フリーペーパー版Vol.1から参加。以降、本サイトにてカメラマン・ライターも含む「何でも屋さん」を経験しつつ、今に至る。

自身のバンドEasy YokeでBa.とVo.、たまにKey.を担当。2016年3月リリースのEP『Soft Laws』に続く新作発表に向けマイペースに活動中。またTwitter 『たかいしのノート』(@radiotakaishi) にて、しょうもない珠玉のイラストシリーズを日々お届けしております。

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