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俺の人生、三種の神器 -小倉陽子 ③続ける人たち-

 

▼俺の人生、三種の神器とは?

人生の転換期には、必ず何かしらきっかけとなる「人・もの・こと」があるはずです。そのきっかけって、その当時は気づけないけれども、振り返ると「あれが転機だった!」といったことはありませんか?そんな人生の転機についてアンテナ編集部で考えてみることにしました。それがこの「俺の人生、三種の神器」。

折角なのでもっとアンテナ編集部員ひとりひとりのことを知ってもらいたい!そんな気持ちも込めたコラムです。これから編集部員が毎週月曜日に当番制でコラムを更新していきます。どうぞお楽しみに!

 

 

 

アンテナに入って色んなインタビューを通じて、色んな方のお話しを伺う機会に恵まれて、初対面なのにその方の人生のコアな部分を聞けるなど、本当にありがたく楽しい日々です。今まさにここが転機で、そんな人たちに影響を受けている最中でもあるのですが、そんな方々の話を興味深く吸収していく私の過去には、「続けられなかった」ことがいくつかあります。

 

ちなみに唐突ですが、私には兄弟がいません。ひとりっ子の脳内というのは、常に自分と自分の会話で成り立ったりします。(ときにはぬいぐるみや雑草、電信柱 (!) と会話することも出来ます)というわけで、何も「続けられなかった」家ガールこと私、小倉が、家ガールにインタビュー形式で過去と現在を繋ぐ「続けること」問題について聞いてみました……!

 

 

 

 

何も続けてこられなかった

 

 

――家ガールは今が転機と言っていますが、それは過去と何か深い因果関係があるようなので、過去のことから聞いていきますね。今まで生きてきて一番楽しかったことって何なんでしょう?

 

 

家ガール:楽しかったこと……クラス劇の台本を書いたり、雑誌もどきを友達同士で作ったり、劇団を立ち上げたり、何でも楽しかったですけど、でも「あーあの頃は良かったなぁ」って言いながら現実をこなして生きるのは嫌だなぁとだけは思っているんです。過去の楽しかったことはどんどん上書き更新していくタイプで。とはいえ、そんなに大きなことを成し遂げたわけでもないので、とにかく今が一番楽しいと思っています。

 

 

――では今、一番楽しいことって何ですか?それは今までとは違うなと思いますか?

 

 

家ガール:今は、音楽やアンテナでの活動を通じて人に会うことが一番楽しいです。本当はいかんせん家ガール (造語で、自宅にこもっているのが好きな人見知り) なので、新しい人と会うのは本当に緊張するんですよ……でも今出会う人たちとは、今日はいい天気ですね、みたいな要らない会話とか、お互いの表面上の情報……どこにお勤めで何歳で、みたいな会話をスキップして、どんな過去をお持ちなんですか?とか、どんなマインドなんですか?みたいな話をいきなりする、と。これって特異でとても面白い環境だなって思います。

 

 

――最近聞いて影響を受けたな、って思う話はありますか?

 

 

家ガール:ムッティーさんにお伺いした「価値観が違っても、他人と共存していく」っていう話。これは最近本当にどんなシーンでも蘇ってきます。私今までなるべく価値観の違う人とは一緒に居ないようにしていたと思うんですよね。でもそうすると、何も影響を受けないし、影響を与えない。それって他人と関わるってことにならないなと思いました。

 

 

 

京都のひと 第4回 -ムッティー編-

 

 

あとは色んな分野で「辞めずに続けている人」にお会いすると、どの方にも思わず聞いていることが「今やっていることを、何故続けられているのか」っていうことなんですけど、なぜ?どうやって?辞めたくなったことはない?ってすぐ聞きたくなっちゃうんで。

 

 

――それはなぜなんですか?

 

 

家ガール:私自身が「続けられなかった」っていう後ろめたさがあるからなんですよね。自分で立ち上げた劇団も、それを辞めてまで始めた仕事も。あとこれを長きに渡って突き詰めているということもなくて。

 

 

――なぜ続けられなかったと思います?

 

 

家ガール:劇団に関して、ひとつは、そもそも一番やりたいことではなかったんだと思います。私が担っていたのは“制作”といって、企業で言えば製造じゃなくて営業や総務・経理に近いことをしていたので、もちろん突き詰めれば面白いことだと思うしいくらでもやりようはあったんですけど。劇団がやりたいという初期衝動から6年続けてみて、制作がやりたいわけでも演劇がやりたいわけでもないのかな、と疑い始めて。

 

あとは、アルバイトをしながら劇団を続けていたんですけど、お金がない生活ってすごく心が折れるんですよね。頑張ってもそれに見合う対価がない状態って、社会人としても認められていない気がしていました。それで一旦劇団をやめて、会社員として、私こっちもちゃんと出来る!っていうのを実感してから戻ってきます、って言ったんですけど、会社勤めしてしまったら二度と戻ってこられないと思うよ、と釘をさされて。まぁその通りだったんですけど。

 

 

――会社員をしながら劇団を続けるっていう選択肢はなかったんですか?

 

 

家ガール:なかったですね。それを時代のせいとかにしちゃうと良くないのかもしれないですけど、当時は就職する人は劇団活動を諦める人、もしくは違う形で舞台や映画、映像に纏わる仕事をする人。それ以外で本当に劇団を続けていきたい人はフリーターをしながらやる、っていう選択肢しか思いつかなかったですよね。でもそれも、人生賭けてやりたいことだったら、アルバイトしながらでも続けていけたかもしれません。両方足りなかったから、続かなかったのかな。

 

 

 

 

辞めてしまっても、また始めればいい

 

 

 

――そんな自身の過去があって、今続けてきている方々の話から得たものって何でしたか?

 

 

 

家ガール:誰も「続けなくてはならない!」とは考えていないことですね。お話しを伺った方々は、辞めるとか続けるとかよりもっと大切なこと、今目の前のやりたいこと・やらねばならないことに真摯に向き合っているし、ちょっと先の成長した自分や環境を想像してワクワクしていられるのだなって思いました。

 

 

 

取材中の家ガールとムッティーさん。西院のおばんざいダイニングこころにて。

 

 

――家ガールは、今例えば何かを「続けること」を体現しようとしているのですかね?

 

 

家ガール:今まで続いていることが何もないので、今から始めることについては続けたいなとは思っています。でもどちらかというと、ここを転機だとして思っていることは、辞めてしまったことがあっても、同じことでも新しいことでも、また始めたらいいと思っています。

 

 

 

――「始める」ということを体現しようとしているのですね。

 

 

 

家ガール:もう○歳だし、もう今更始めても、ってよく聞くネガティブワードなんですけど、そんなことは分かっとるわい!と思っています。続けてきている人には劣るだろうし、30代で例えば文章を書くことを磨ききって第一線で仕事している人なんかは山のようにいらっしゃって、そんなことは百も承知で、それでも今から行けるところまで行こうとしてもいいんじゃないかと。続くかどうかは、続けてみないと分からないですけど。「続ける人たち」と一緒に何か作れるようになりたいし、「続ける人たち」の一人になりたいし、そのためには始めないと始まらないですもんね。日本語難しいな。

 

 

 

――家ガールのそんな活動は、若い人たちにはあまり参考にならないかもしれないですけど、30代40代で燻っている人がいたら少しは勇気のきっかけになると良いですね。それよりまずは家ガールがやりきれよ! (以上、ひとりっ子の脳内でした)

 

 

 

 

 

▼他の人の転機

 

堤大樹

①初めてのひとり旅

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②音楽

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③広島東洋カープ

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山田和季

①シンパシー

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②自己が無になった話

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②俺の一神教、ART-SCHOOL

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岡安いつ美

①Peelander yellow

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②SXSW

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③写真

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髙橋知里

①私だけのギターヒーロー

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②Final Fantasy 8

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③綺麗とは何か ~森博嗣~

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小倉陽子

①家ガール

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②舞台に立つ

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②続ける人たち

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川端安里人

①映画との出会い

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②真夜中

http://kyoto-antenna.com/column/turning_point_arito_2/

 

則松弘二

①H君

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山田克基

①池谷先生

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②表現の素

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稲本百合香

①GARNET CROW

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②Gulliver Get

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Dino

①Kさん

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②移住

http://kyoto-antenna.com/column/turning_point_dino_2/

 

森下優月

①活字

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高石瑞希

①ノート

http://kyoto-antenna.com/column/turning_point1_takaishi/

②ケーブルテレビ

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齋藤紫乃

①ウォーターガールズ

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②じかんどろぼう大発信

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この記事を書いた人

小倉 陽子
小倉 陽子
文章を書く人、音楽を聴く人。引きこもり系人見知りの割に、どこへでも飛んで行きたがり誰とでも話したがります。

座右の銘は「何かを始めるのに遅過ぎるなんてことはない」

だいたい家かライブハウスかカフェに居る、永遠の家ガールです。

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