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俺の人生、三種の神器 -山田 克基 ③Modern Times-

 

▼俺の人生、三種の神器とは?

人生の転換期には、必ず何かしらきっかけとなる「人・もの・こと」があるはずです。そのきっかけって、その当時は気づけないけれども、振り返ると「あれが転機だった!」といったことはありませんか?そんな人生の転機についてアンテナ編集部で考えてみることにしました。それがこの「俺の人生、三種の神器」。

折角なのでもっとアンテナ編集部員ひとりひとりのことを知ってもらいたい!そんな気持ちも込めたコラムです。これから編集部員が毎週月曜日に当番制でコラムを更新していきます。どうぞお楽しみに!

 

 

ついに三回目がきましたね。アンテナ編集部の中で連載をするのも僕の番は最終回。最初はどうなる事かと思っていましたが、アンテナの中でもメンバーを知れる機会になって編集部内でも毎回楽しみになっています。そして前回の表現の素では、僕が地元で出会った人たちが僕にどんな影響を与えたのかを書きましたが、今回は京都に来てからのお話を書こうかなと思います。京都に来てからも様々な出会いがあったのですが、最後は一つに絞って書いていこうかと思います。

 

 

 

 

F氏とModern Timesとの出会い

 

以前スポットでも取材をさせていただいているModern Times。三条木屋町にあるライブハウスである。実は僕はここで6年間という長い間イベントをさせていただいていたのだけども、ここで出会った人たちは間違いなく僕の人生の三種の神器と呼ぶことができるだろう。

 

 

まずはその出会いから。僕が京都に来たのは2005年、大学進学とともに京都に来た。高校の頃からバンド活動をしていた僕はサークルにも入ったが何となく生活にも慣れてきて、一回生の冬位からバイトを探すようになった。せっかく働くのであれば、ライブハウスで働こうと京都の北の方に位置するライブハウスの面接を受けに行った。面接時、イベントなんかも自分でできるようになりたいと希望を伝えるとお店のオーナーが「学生でイベントを作っている子がいるから、面接を終えたら今日のイベントに遊びにおいで」と誘ってくれたのが大きな転機だったのかもしれない。イベントに遊びに行くと、F氏というオーガナイザー(今はかなりお忙しく活動されている方)に出会った。オーナーから僕がイベントをしたいと伝えてくれていたようで、話がはずんだ。そしてそのお店とは別の開店したばかりのお店でイベントをする事になったので一緒に始めないかと誘われた。これがModern Timesである。ちなみにそのライブハウスの面接は落ちた。なんでやねん。

 

 

 

『スローミュージック』と店長

 

Modern Timesのことを知っている方は一度は目にしたことがあるであろう『スローミュージック』実はこのイベントこそ、僕とF氏で立ち上げたイベントで、すでに僕はイベントを卒業しているが、僕が辞めてからも続いているお店の看板イベント。出演者もお客さんも1drink,1foodで出演、入場が出来るという実質チャージフリー、ノルマフリーという当時にしてはとんでもないシステムのイベントだったのだが、受け入れられたのは店長が音楽の事を何も知らずに始めたばかりのお店だったからだろう。

 

 

F氏は当時活発に活動していたバンドのスタッフをやっていた事もあり、コネクションが多方面にあった。なので、イベントが始まった当初はF氏のブッキングにより困ることはなかった。ブッキングと合わせてエントリー制も取っており、出たい人は審査も何もなく出られる。イベント開始当初は月一回のイベントで良いアーティストが揃っていた。いま考えてみると錚々たるメンツであった。

 

 

ところが事件が起きる。イベントも順調に行き、僕もブッキングもそろそろ本腰を入れて頑張っていかなければならないという時だった。F氏から電話が来て「俺、来週から東京行くわ。あとはよろしく」某大手レコード会社に就職が決まり、突然いなくなってしまった。ここから店長と僕の戦いが始まる。

 

 

京都の母:店長

 

 

まだまだ京都のアーティストを知らない僕はブッキングでも新しいアーティストを連れてくるのが難しく、毎月同じようなアーティストが出演するような状態になってしまう。イベントが終わると店長と反省会が始まり、毎回怒られていた気がする。その状態が続くと耐えかねた店長がスローミュージックと同じシステムでイベントを始め、スローミュージックは隔月のイベントとなった。やめてもいいとまで言われたが、僕はとにかくしがみついてやめなかった。何もできないまま終わるのはどうしても避けたかった。出演者への前説やイベント終了後の恒例の乾杯の挨拶、アンケートを全てコミュニケーションを取りながら手配りしたりして、自分やイベントの事を理解してもらえるように、とにかくできる事はなんでもした。

 

 

そうこうしているうちに、ミュージシャンの方がミュージシャンを呼んでくれるようになったり、エントリー自体も増え、僕自身もブッキングが上手くできるようになっていき何とかイベントが安定してきた。そこで隔月から月一回に戻してもらえるように店長に訴えた。あそこが転機だったのではないかと個人的には思っている。イベントはさらに上向きになり、月二回、月三回、毎週と回数を増やしていった。スローミュージックでは初心者もベテランも関係なく、同じ条件で出演をする。そこには一切の垣根はなく、時にはプロのミュージシャンがわざわざ出たりする。もちろんギャラは出ないのに。音楽を愛し、音楽を純粋に楽しめる空間があるからこそ集まっていただけるのだと思う。我ながら素敵なイベントになったと思う。

 

 

 

スローミュージックを卒業

 

エントリー制を取っていた事でほとんどがもうエントリーで埋まる事も多くなったスローミュージック。始めてから5年が過ぎた時に、僕はスローミュージックを辞めたいと店長に伝えた。もう僕がいなくてもスローミュージックはそのイベントだけで動くようになっていたし、僕も本格的に音楽を頑張っていきたかったからだ。店長は驚くほどすんなりと受け入れてくれた。イベントが育った事も僕自身の事も一番理解していてくれた店長だからこそ、二つ返事で答えてくれたのだろう。イベントの6周年を迎える時僕は辞める事にした。

 

 

 

お世話になったミュージシャンは数えきれないほどいて、6周年に向かってそれはそれはたくさんのミュージシャンが出演をしてくれて、別れを惜しんでくれた。最後の日には100人を超える人が来てくれて、立ち見も出てしまった。中には遠方からわざわざ手紙をくれたりする方もいたりと本当に愛を感じる最後の日になった。Modern Timesが始まって半年頃から続いたイベントは6年が経ち、お店やイベントが成長していくことで僕も店長も成長していったのだ。今はお店は12周年を迎えるが、スローミュージックは変わらずにお店の看板イベントとして盛り上げてくれている。店長と僕は一緒にお店を作り上げてきた戦友でもあり、親子でもあり、夢を語り合う仲間でもある。そんな人がいてくれた事で僕は今でも様々な活動を続けている。そして時々店長に報告をしにいく。久々に実家に帰ったような感覚で一杯飲みながら、カウンターで話すために頑張っているのかもしれないとさえ思う事もある。お店を出る時はあの頃と変わらずに「行ってきます」と言って出ていって、また帰ってくるためにもうひと頑張りしてみようかと帯を締めなおすのである。

 

 

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この記事を書いた人

山田 克基
山田 克基
動物好き。

Baa Baa Blacksheepsとsynchronized circusでGt.を弾く

今日と明日の間がとても曖昧な時に、お酒を飲みながら本を読み、文章を書くのが好きです。

多趣味ですが、ひとりぼっちの趣味ばかりです。

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