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【ボロフェスタ2015 Day2 / 1st stage】OGRE YOU ASSHOLE / フラワーカンパニーズ / くるり

"【ボロフェスタ2015/1st stage】OGRE YOU ASSHOLE/フラワーカンパニーズ/くるり   2015.10.25 @ KBSホール"

 

 
 
 
■OGRE YOU ASSHOLE

 

OGRE YOU ASSHOLE

 

 

暗闇の中、白色燈にだけぼんやりと照らされて登場したのはOGRE YOU ASSHOLE。妖しげで、まるっこいのに完全に攻撃的なVo./Gt.出戸の声が闇に響き渡る。幾重にも増幅していく二人のディレイギターは真っ暗闇の世界から真っ赤で刺激的な世界へと場を塗り替えていく。その後も絡まり合う二本のギター。ぞくぞくするほどのエネルギーに「おおっ……今目の前で紛うことなきオウガのライブが行われているのだな…」なんて当たり前のことを噛み締めさせられる。轟音の中”フラッグ”のギターリフが鳴らされると、もうその渦の中に巻き込まれるしかない観客たちは歓喜の声に沸く。小気味のいいドラムとギターのリズムに体を揺らしているうちに、終盤で努涛のごとく攻め込まれるカオティックな展開に息を飲む”ムダがないって素晴らしい”ではホール内の空気が観客をねっとりと舐めまわすようで、くらくらと目まいすら覚えるような濃い雰囲気で充満している。音に対して「濃厚」って表現がぴったりくるなんて…。うなりまくるリードギターの存在感はもちろんなのだが、飄々とバッキングしているかのように見える出戸のギターが同じぐらい競り合ってくるのがたまらなくかっこいい…。

 

 

轟音が途切れる隙もなく“素敵な時間”を演奏し終えると、その後も「ありがとう、これで最後の曲です」の一言のみで淡々とステージは進んでいく。”ロープ”もちろんlong verだ!ずっしりとしたドラムの中で飛び交う、甲高い獣の唸り声のようなギター!まるで沸点を超えたどろどろのスープみたいにねちっこい熱量を放ち続けていた。地を揺らすような大陸的なドラムとベースを聞きながら目を閉じ、なんとも言えない表情でギターを弾く出戸。Gt.馬渕の荒くれているがミッドの力強い、腹にくるギターがのっかってくるとそこからはもう全ての楽器が呼応しあい、絶頂へと向かっていく。吐きそうな程強烈な「赤色」を目の前に見動きが取れなくなる。破壊的なほどのまぶしさにフロアの客は狂喜していた。

 

 

■フラワーカンパニーズ

 

フラワーカンパニーズ

 

 

フロアは満員で、人がこれ以上増えても見る所ないぞ?!というくらいの人の多さ。「フラワーカンパニーズです!よろしく!」というボーカル鈴木圭介の声に拍手が起き、待ってましたとばかりに手があがった。彼らはミニアルバムのリリースツアー中であり、一曲目ではそのミニアルバム『夢のおかわり』収録曲である『消えぞこない』、RCサクセションのカバー『すべてはalright』『ロックンロール』を演奏し、鈴木はステージ上を端から端まで走り回っている。「いつだってバカみたいに10年後も20年後もロックンロールは続いていく どこにもたどり着かないで」と歌い、まっすぐロックンロールを貫き通してきた結果26周年を迎えたというのは本当にすごい話だ。

 

 

邦楽ロックが好きでフラワーカンパニーズの『深夜高速』を知らないという人は殆どいないだろう。かくいう私もライブを見たのは始めてなのだが、これほど重い「生きていてよかった」を知らなかった。重い曲調で暗めの歌詞だが、しっとりとしているわけではない。五臓六腑にしみわたる、という感じで、本当にからだの奥の方に響くのだ。彼らの代表曲で、ライブでも頻繁に演奏されるだけあって、この強さ、この頼もしさはなんなのだろう。拍手が長く響き、それを静止するように「どうもありがとう」と言った。

 

 

しんとした空間の中で「ボロフェスタは若者が多いね…普段より」とぱっと明るい顔をしてMCを挟む。グレートマエカワが「26周年にして日本武道館でワンマンをやることになって…(拍手があがる)…成功しなきゃだめで…何をもって成功しないといけないんですけど、ライブは自信もって成功になるんですけど……いま、ソールドアウトしてません。プレイガイドに任せっきりだとだめなんで…だから僕、手売りをしています」とへへっと笑いながら言った。「メンバーチェンジなし! 活動休止なし! ヒット曲なし! 4人揃ってフラワーカンパニーズ、愛され続けて26年! 」という挨拶から『チェスト』、間髪いれず「はぐれ者賛美歌」。荒々しい印象を与え力強く演奏する彼らだが節々に丁寧にライブをまとめあげていく。  

 

 

「ボロフェスタ踊れるかー!京都踊れるかー!」とフロアを煽って始まった『真冬の盆踊り』では40歳を超えたとは思えないくらいエネルギッシュで真正面からぶっ飛ばしにくる。まさに死角なし、このパフォーマンス性は他の追随を許さないくらい、丸く収まることはない。いつだって全身全霊でロックンロールで私達をドキドキさせてくれる。

 

 

■くるり

 

くるり

 

 

「京都でフェスをやっているからには絶対にヘッドライナーで呼びたかったバンドだ」と壇上に登場したMC土竜が説明する。そんなことはここにいる全員がわかっている。それでも尚、この気持ちは収まらないこともここにいる全員がわかっている!京都のボロフェスタでくるりが最終日の最後のアクトとなるその景色を、誰もが易々と想像できただろう。誰もが当たり前のように思い描いただろう。しかし、それがどれほど意味のあることか……今からまざまざと見せつけられるのかと思うともはや寂しい気持ちすら込み上げてくる。

 

 

静かに壇上へ登場するメンバーたち。Vo./Gt.岸田が会場をぐるっと見渡すと「……うん。」と一声発し、高らかに天まで届くような”Morning Paper”のイントロが響きだす。夢にまで見た最高の幕開け!もうじーんと来すぎて訳がわからなくなりそうなほど、どっしりとしたメロから加速していくサビへ…!もったりと絞り出すように溜め込むように焦らされた挙句に一気に快感へと連れ出してくれるこの感じ…!ニクすぎる1曲目じゃないですか。11月からのNOW AND THENツアーのメンバーまで引っ張ってきてくれて、そのメンバー構成の素晴らしさもたまらない。コーラスワークの贅沢さ、神々しさといったら!!ロックンローラーのように(ってかロックンローラーなのだが!)腕をぐるぐる回しながらギターを鳴らす岸田の姿、ありがとうボロフェスタ!ありがとう京都!

 

 

“ブレーメン”の涙腺をくすぐる暖かいコード進行に、フロアがほっこりとした温度に包まれているのがわかる。どの観客もキラキラとした眼差しでこどものようにステージ上をみつめている。発表当時各所で「あの変な曲」と呼ばれるほどに話題を呼んだ”Liberty&Gravity”ではもちろん観客は歓喜に沸き、例のハンドクラップや「よいしょ!」などの合いの手で応えていく。変な曲大好きだなみんな!なんかもう癖になるとか癖があるとかそういうレベルじゃなくて、唯一無二の塊みたいなステージ。見たことない得体の知れないものを顔面に次々とブチ当てられていく感じ。楽しくてかっこよくて仕方がない。MCでのメンバー紹介を挟んでからの「ワンツースリーフォー!」のかけ声から始まる”ワンダーフォーゲル”。この曲がKBSホールに溢れだす瞬間に居合わせられるなんて正直鳥肌モノである。これからも矢のように月日が過ぎたり、渡り鳥のようにいろんなものが通りすぎていくんだろうけど、それでもいい!またこんな日が来るかもしれないし来ないかもしれないけど、今日というこの日この場所に居合わせられるということの幸せさを何度だって噛み締めるよ。そんな最高にハッピーで切ない1曲……からの次の曲は”Guilty”。完全に世界を作りに来ていると思った。少なくともくるり側も「ボロフェスタでヘッドライナーをつとめる」ことの意味をセットリストに落とし込んできてくれている。Ropesなどでも活躍中のアチコの「ラララ」のコーラスに岸田の声が重なって最高の光を放つ。爆発したような音の広がりの後、燃え尽きたように静まりかえった中に岸田のつぶやきとギターのアルペジオだけがぽつりと残る。その静けさに急にひとり置いていかれてしまったような、満たされたあとのぽっかりとした空気感に恐れすら感じる。

 

 

余韻に身をゆだね放心状態に近い観客たちへ氷水をぶっかけるかのように”GO BACK TO CHINA”の図太いギター音が突き刺さる!アレンジがばりばりにかっこいい。すっきりとしているのに音圧はびりびりと感じられるし、音源に比べるとだいぶ削ぎ落してスマートにソリッドにされている印象。「ありがとう!」とだけさらりと述べるとドラムがヘッドホンをスタンバイ。たったそれだけでも踊れそうなタイトなバスドラとスネアのリズムにのせてギターのワーミーサウンドが刻まれる”WORLD’S END SUPERNOVA”が演奏されるとKBSホールは世界で一番センチメンタルなダンスフロアと変身した。興奮と寂寞との間をいったりきたり、終始感情が振り回されっぱなしのステージだった。心を奪われるとはまさにこのことなのね。

 

 

やまないアンコール。真っ青に包まれるホール。間違いなく今この瞬間、KBSホールは京都で一番いろんな人の想いが交差している場であろう。バンジョーを持って現われた岸田。「あんまりトリとかが似合うバンドじゃないんやけど、楽しい曲で終わってみんなでエンドロールみて終わりましょう。ありがとう。」そう言って奏でられたのはもちろんあの曲”リバー”。フロアもステージもまばゆく照らされて、天まであがる無数の手。その景色は幸せの具現化といっても過言ではない!神様でも作れないよ!いつまでもいつまでも終わらないアウトロ。もうどこまでもどこまでも遠くまで連れていかれたいよ。こうして、ボロフェスタはまた一つの歴史を終えたのである!

 

 

(Text:山田和季 Photo:fujimari)

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