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ボロフェスタ2014 day.1-9m stage,Center stage編- @KBSホール 2014.10.25

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本日休演


本日休演

 

京都が誇るDIYフェス、ボロフェスタ本祭のトップバッターは現役京大生バンド 本日休演。品定めするかのように開演時間が近づくとぞろぞろと人が集まっていく。そんな中、彼らは何も言わず演奏を始めた。聞いてすぐに分かる。あぁ彼らは不器用な男達なんだなと。決して上手いとは言えない演奏と歌。しかし1曲目の”すきま風の踊り子”から会場は彼らの出す不思議な空気感に人はどんどん吸い込まれていく。これは70年代の日本語ロック?はたまた最近のシティ・ポップ?いや、そもそもどこの国の音楽?ほんとに色んな顔を見せる。それが本日休演のライブである。

 

まだまだMCにはたどたどしさも残り本人達も「緊張するなぁ」と言っていた。しかし、演奏中はそんなこと微塵も感じさせない。不器用な男達が自分達の内側に溜めて溜めて溜めてきたものをどんどん放出していく。若い彼らはこれからどんな景色を見て次はどんなものを私たちにぶつけてくれるのだろう。無限の可能性を感じさせながらもボロフェスタトップバッターという大役を彼らは見事に勤めあげた。(text:アンテナ編集部) 

 

 

【Center stage】DJみそしるとMCごはん



DJみそしるとMCごはん

 

「時代が私についてきたー!」登場早々に彼女が叫んだように、確かに彼女はラップ、音楽、カルチャー、そう言った基本的な枠すら飛び越えて着々と我々の生活圏ににじり寄ってきている気がする。今日も決して広くはないステージだが、右往左往するその姿はまるでキッチンでウキウキしている女の子だ。ステージでは曲に合わせて実際にティラミスをつくり始めたり、「おー?」(イ……イェー?)という全然キマらないコール&レスポンスが繰り返されたりというゆるゆる具合が終始続いていく。極めつけには「YMCA」ならぬ「PIZZA」を手でやるように観客にお願いするDJみそごは……むずい、むずいよ!最初から最後まで、彼女の一挙一動にみんな思わず声をあげて笑ってしまうような雰囲気が印象的であった。

 

彼女の愛くるしさ、キッチュさ、ユーモア、でもめちゃめちゃ真面目に観客を笑顔にさせようとするところ、それって彼女の「おいしいものは奇跡」っていうモットーと共通しまくりなのかも。高級品じゃなくてもその場をホカホカにしてしまう、誰かと分け合いたくなる、そんなおいしい料理に似たものを彼女のステージに感じているオーディエンスからは「ごちそうさまー!」との歓声が響き渡っていた。(text:山田和季)

 

 

Turntable Films


Turntable Films

 

洒落た音楽に英語を乗せる、そんなイメージだったTurntable Films。この日はサポートメンバー3人を含めた6人編成でスタートした。このライブにて私の彼らへの認識はがらりと変わった。ライターとしての仕事を忘れ彼らの一ファンである私が思ったこと。それは、日本語の曲ばっかやん!めっちゃええやん!であった。彼らの持つ音楽的引き出しの多さに日本語のなんとも言えない奥深さが加わるとこんなに叙情的になるのか。夏の終わり、初夏の新緑、私の頭の中では色んな季節をを行ったり来たりしていた。

 

ライブ中盤はボロフェスタ主催者の京都nano店長・土龍がサックスで参加し、『モグラーンテーブルフィルムズ』となった彼らは“Welcome to me”で各演者がそれぞれの持ち味を遺憾無く発揮するソロを見せてくれた。土龍は一足先にステージを後にし、ライブ終盤に最初にして最後のMCを挟んだ。今までの緊張感や高揚感をほぐすようなゆるゆるとした雰囲気で自己紹介などをし、最後の曲へ。印象的だった感情むき出しの泣きのギターソロ。技術が高いのはそりゃ分かってる。それよりもVo/Gt井上はこんなに感情むき出しでギターを弾くような男だっただろうか。もっとクールにギターを弾いてはいなかったか。

 

もしかしたら洒落た音楽とはじめに言ったのを訂正しなくてはならないかもしれない。確かにおしゃれではある。ただ、それだけじゃない。むしろそこから新たなステージへと彼らは進まんとしてるのではないか。変化の途中にありながらこれほどまでにクオリティの高い音楽を聞かせられる彼らの今後が楽しみで仕方ない。(text:アンテナ編集部)

 

 

天才バンド



天才バンド

 

Dr.テシマコージが1人入場し、タイトなドラムソロから始まり、それにのっかるようにKey.SundayカミデやGt/Vo奇妙礼太郎が演奏をするジャムセッションから天才バンドはスタートした。最初から熱を帯びた演奏に会場は盛り上がるというより、釘付けになったと言った方が正しいかもしれない。

 

奇妙礼太郎が歌い出してその色はどんどん強くなる。彼は時に苦しそうに、時に楽しそうに、語っているのか、叫んでいるのか、歌っているのか、それら全てとも思える声で私たちをどんどんと引きずり込んでゆく。彼らは天才バンドとは別のバンドでも同じ楽曲を演奏しているのだが、天才バンドの力、それは人をじっと聞かせるパワーではないだろうか。それぞれがそれぞれの楽器に泥臭いくらい100の力で向かい合っている。それに奇妙礼太郎が愛と平和、そして忘れられない君への思いを歌声として乗せる。それゆえに私たちの方も100の力でそれを受け止めないといけない。そんな気にさせる。彼らのパワフルでピースフルなステージをオーディエンスもきっちり受け止めていた。無数に掲げられた手のピースサインがそれを証明していた。(text:アンテナ編集部)

 

 

LABRET



LABRET

 

京都大作戦に出演経験もある、京都のメロコアバンドLABRET。ほとんど人が居なくなったフロアで初っ端から攻撃的の音を響かせる。Vo/Ba10-9のどこか哀愁漂う人懐こい声、Gt./Vo.Rの抜群なコーラスワークとグサグサとくるギターの音に引き寄せられ、フロアに人が集まりはじめると徐々に拳が上がっていく。

 

ボロフェスタは、彼らにとって未知のステージできっと手探りであっただろうが、ステージ上には彼らの今日しかないこの日をただひたすら必死に生きようとしている姿があった。最後の曲”Living”でその姿は明確になる。哀愁と疾走感のあるラストには相応しい曲だ。たった3分という短い時間でも、誰かの記憶に残り、そしてその記憶は時にその誰かを手助けすることもあるだろう。そういう音楽の力を彼らは信じているのだ。絶対報われる、なんて言い切れないこの世界でただひたすら音楽に突き動かされ、その力を信じ、前進してきた彼らだからこそ、今日のステージを作り上げることができたのではないだろうか。(text:アンテナ編集部)

 

 

【Center stage】中村一義

 

中村一義

 

今年最後だというアコースティックセットで登場したのは中村一義。デビュー曲『犬と猫』からスタートしたライブは歓声があがりっぱなし。この時すでに中村一義の魔法にかかっていた。長年歌を歌って全国を回ってきた彼だからこそ出せる優しくも力強い説得力を持った歌声に魔力がないわけなかった。しかし彼の魅力は歌声だけではない。この長年の経験からなのかいい感じに緊張感の抜けた、茶目っ気たっぷりなかわいいおじさんとその歌声とのギャップにまたやられてしまうのである。

 

セットリストは名曲のオンパレードで、その合間合間にサービスエリアで食べ過ぎて太ってきた話など、かわいらしいエピソードを挟んでくる。私はそんなステージに魅力され心動かされていたのだが、それ以上に、いや、ここにいる誰よりも感動していたのは中村一義本人かもしれない。彼は終始「皆凄いね!汗だか涙だか分かんないのが出てきた!」と言っていた。

 

「この中に死ぬように生きてる奴なんていないね」と言って始まった“キャノンボール”では彼は少し泣いているようにも見えた。笑いあり、涙ありのライブは息をつく間もなく終わり、その後しばらく魔法からさめることができなかった。(text:アンテナ編集部)

 

 

BURGER NUDS



BURGER NUDS

 

まさかこんな日が本当に来るなんて、と思いながらこの10年を過ごしてきたであろう人々が続々とステージ前に押し寄せた。そしてそのほとんどの人が1曲目はこの曲しかないだろうと考えていたのではないだろうか。BURGER NUDS復活後、初の関西でのライブは初めてリリースされたCDのオープニングソング”ミナソコ”で幕を開けた。

 

3曲目”ANALYZE”のキラキラとした長いイントロは、もしかしたらこれはやっぱり夢なんじゃないかと思えるほど美しく、消えてしまいそうなほど澄んでいた。一見クールなステージでの立ち振る舞いであるが、要所要所に感じるVo/Gt門田の前のめりになる歌い方や、楽曲のアレンジ、Dr内田の叫ぶようなコーラスからは確かな熱量が感じられた。

 

このバンドは決して派手なパフォーマンスがあるわけではない、しかしダークで重たい雰囲気から嘘のように光が差し込んでくるような展開を迎えるのだ。10年ぶりの新曲を「誰にも頼らないでいい 君は一人でいい」と歌う門田の声は紛れもなく優しさに溢れたもので、今も変わらずそこに光はあった。きっと10年待ったって20年待ったって、みんなその光を見に来るのだ。

 

最後の曲が始まったとき、ふと後ろを振り返るとライトに照らされたびっくりするほどの数の満面の笑みがあった。京都に三人でくるのは12年ぶりだと話していたが、京都中、いや関西中の人々がこの日をアテもなく待ち続けていたこと、今日という日がいかに幸福か、このボロフェスタを通じて彼らに伝わって欲しいほどに観客の想いも詰まった一日であった。(text:山田和季)

 

 

 

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