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俺とマンガとお前と俺と 第4回「マンガを描くなら神となれ!」

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【今までの授業】

第1回・俺のマンガ道
第2回・最後の個人芸、マンガ!

第3回・キャラが歩けばストーリーが始まる!

 

 

 

アンテナ読者の皆さん、こんにちは!名古屋造形大学マンガコースの石川です。 このコラムが出る頃には大学は夏休み、読者の皆さんも海へ、山へ、自宅でふて寝、等いろいろあるかと思いますが、マンガ家への道を志す者は何時何処にいようと常に頭の片隅でマンガのネタを考えていなければなりません!というワケで第4回、いよいよストーリー作りの森へ深く入っていきましょう。

 

 

 

前回キャラクターこそがストーリーの入口である、という話をしました。しかしながらストーリーには「設定」も必要です。では「設定」とは何か?それはキャラクターが生きる世界、運命そのものなんですね。好きな娘に告白する、甲子園を目指す、宿命の敵と闘う、世界を救う……現代劇、時代劇、SF、ファンタジー……あなたの考えたキャラクターをどんな環境に置くのも自由自在、そんな「設定」の中にキャラを放り込んで始めて、あなたのキャラクターはその世界の運命に巻き込まれていくのです。架空のキャラクターとは言え、その人の生きる世界を創るのみならず人生まで左右してしまうマンガ家は、いわばキャラクターの世界にとっては「神」にも等しい創造主なんです!

 

 

 

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ストーリーを作る時、ほとんどの人はまずキャラクターを描いて考えますが、そのプロセスにおいては同時に様々な「設定」も生まれています。学生服を着ていれば学生だし、剣を持っていれば剣士的ななにかですよね (笑) 。髪型や体型、表情等からもある程度の性格が設定されます。それとは別になんとなく世界観、テーマ、やりたいムード等もぼんやり考えるワケですが、そこでキャラクターとの組み合わせで「やりたいカンジ」のチョイスが出来たらなんとなくあらすじが出来そうなフィーリングが生まれてきます。例えば「正義感の強い、やたらケンカの強いキャラクター」を考えたとします。

 

 

 

そんな彼を「学校」「会社」「戦国時代」「未来社会」「剣と魔法の世界」それぞれに置いてみて下さい。腕っぷしの強さがそのまま活躍に活かせる環境もあれば、正義感がドラマを生み出しそうな環境もありますね。そこで大事なのが、置く環境によって「力」や「正義」の概念が変わってくる事です。戦国時代では「力」こそが立身出世の鍵だったりしますが、学校や会社においては、そんなに単純ではありません。「正義」の概念も極道と警察官では180°違うし、未来やファンタジーの世界では独自の解釈になっているかもしれません。

 

 

 

つまり「設定」によって主人公の住む世界の常識や状況が変わり、性格をどう活かすかが変わってくるのですね。敢えて主人公を女子高生にして戦国時代へタイムスリップさせ、その価値観のギャップでおもしろさを狙う、という手もありますよ!

 

 

 

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では早速主人公を自分の考えた設定世界にぶち込んでみましょう。その時点で作者である貴方には主人公に「活躍」してもらいたいという思惑があるはずです。想いを寄せてる相手とは両想いになってもらいたいし、悪い奴がいるなら倒して欲しい。主人公が(これまた作者である貴方が用意した様々な障害を乗り越えて)なんとか人として一回り成長をする、もしくは目的を全うする、そんな流れを意識してまずは簡単な「流れ」を作ってみましょう。この段階の作業を「プロット」と言います。

 

 

 

プロットとは本来粗筋を指すものですが、イメージ画やセリフ、設定のメモ程度でも自分がわかっていれば大丈夫です。いわばストーリーの初期設計図を考えていく作業ですね。作り込んでいく段階で主人公がうまく動いてくれなかったり、行動や設定に矛盾が生じたり、新たな設定が必要になったり、一筋縄じゃいかない事も多々あるでしょう。それでもなんとかまとまって仮にあなたが一本のストーリーを作りあげたとします。そこには同時に3つのストーリーラインが誕生している事を示すのが以下の図です。

 

 

 

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一番上のラインはこの世界の全てを把握している作者のストーリーライン。当たり前の事ですが、このラインでは最初からオチも結末も予想されています。ここは読者におもしろおかしく見せる構成がされていないアイデアのみの世界なので、このラインを見せられても読者にはおもしろくもなんともないところです。

 

 

 

このアイデアのラインから読者に読んでもらいたいエピソードの順番や隠しておきたい伏線ネタ、思いもよらないクライマックスの展開から感動のラストまで、読む者のために構成された商品としてのストーリーライン、すなわち作品本編が真ん中のラインになります。ここには作者のプロットのラインから、いわば様々な「神の見えざる手」によってドラマが構成されています。それを読みながら読者の中に生まれるのが一番下の「読者の思うストーリー解釈」のライン、つまりページを追うごとに読者が予想していく「先読みストーリーライン」です。

 

 

 

それではこの図が示している事は何か?……作者はプロットという初期設計図で作りあげたキャラクターの設定や運命を、本編の作品の中で時にやさしく、時に冷酷に、ある時はミスリードしながら結末を導く作業をする事で、そのキャラクターのストーリーを読む読者自身 (先読みストーリーライン) を翻弄し、ハラハラさせ、怒らせたり悲しませたりしながら、最後には感動へ導いているのですね。

 

 

 

つまりキャラクターの運命を左右しながら読者の感情をもコントロールしているというワケです!さすが神様だ!すごいや! というわけで今回のレクチャーのポイント!

 

 

 

世界を見せる、人生を見せる、それがマンガ!

 

 

 

え?いきなりストーリーが出来上がってるって?……そうですね (笑) 、では次回は最初の1Pから考える「構成」の話です!よい夏休みを~!

Profile

石川 俊樹
石川 俊樹
石川俊樹プロフィール:1962年東京生まれ 大学卒業後浦沢直樹先生のアシスタントを2年勤めた後、マンガ家兼アシスタントとして業界で働く。現在名古屋造形大学造形学科マンガコース准教授。バンド「フラットライナーズ」Ba/Vo



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