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和紗×新風館monthly live 160319 @ 新風館

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大正15年に建築された歴史的建造物(旧・京都中央電話局)が原型となった、複合商業施設『新風館』。京都市内の街中、オフィス街でもある烏丸御池の地に約15年という時を刻み沢山の人々がこれまで訪れたこの建物は、再開発のため惜しまれながら2016年03月27日に閉館を迎えました。館内の中庭には『Re-Cue ホール』というオープンエアスペースが設けてあり多数のパフォーマーがこれまでステージングを行い、オーディエンスの心に明かりを灯してきたことでしょう。筆者である私自身にとっても、この新風館は幾度と様々なアーティストのライブを観てきた想い入れの深い場所です。そんな特別な想い入れがあるこの場所がなくなる前にライブレポートをしたいと思ったとき、新風館とゆかりの深い和紗さんの名が真っ先に頭に浮かびました。「閉館した後にも、彼女がこの場所で過ごした想い出が記憶として蘇ってほしい」という想いがあり、今回、ライブレポートを執筆させていだたきました。読んで下さった方がこの場所でのそれぞれの想い出を噛みしめていただけると幸いです。

 

 

2016年03月19日、この日を迎えることを終わりと感じるのか、はたまた新たなスタートと感じるのか。希望と寂しさが入り混じった心境でこの場所に足を運んだ方も多いのではないだろうか。2015年02月より恒例となった『和紗×新風館monthly live』だが、ついにこの日が最後なのだ。「ずっと聴いていたい歌声、温もりをくれる癒しの声」とMCであるα-StationのDJである川原ちかよに紹介され、和紗が登場した。天候が心配された当日だったがライブスタート時には晴れ間が見え、2 ndステージにはRe-cueホールの醍醐味ともいえるイルミネーションが美しく点灯。この特別な1日を迎え入れるような気候や風景に恵まれた。これまでと同様、この日も2回のステージを展開。セットリストは彼女の計らいで、それぞれ違った楽曲を用意していた。

 

 

1 stステージは3 rd Single曲である『Stand Up For Love』からスタート。オーガニックマーケットが開催された中、沢山の人が彼女の声に引き寄せられてステージ前に集まっていく。それはきっと彼女のこれまで培ってきた経験はもちろん、この場所で歩んできたステージング力の形の表れであろう。「新風館にお越しの皆さん、こんにちは。私にとっても今日は特別な1日になると思います」と意気込みを語ったあと、軽快なリズムビートが鳴り出し『Summer Butterflies』を観客の手拍子とともに楽しんだ。Pf.にはwaka、Per.に梶谷遼平という、マンスリーライブではお馴染みのバンドメンバーとともに、和紗がみるみると一体感のあるグルーヴを創りだしていく。

 

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そして、恒例になっているカヴァー曲の披露も欠かさない。1stステージで中盤で披露したのはSUPER BUTTER DOGの代表曲とも言える『さよならcolor』。選び抜かれたこだわりのカヴァー曲にこの日もじっと聴き入り、1日限りという特別感を大切に味わうオーディエンスたち。さらに特別感はこれだけで留まらず、惜しみない演出がさらにここでも登場。新風館で音楽人生が始まったnasaというヴァイオリニストとのコラボレーションも魅せてくれた。新風館を通しての出逢いを大切にしていた和紗がこの場所が閉館するにあたってのさよならパーティでnasaに出逢い、ラストライブへの共演へといたった。そして、そんなnasaもこの場所でヴァイオリンと運命の出会いを果たしていた。高校生の時に演劇のレッスンの帰りに毎週立ち寄っていた新風館で見かけた、ヴァイオリンを演奏していたルーマニアの音楽家の演奏に魅了されたことが音楽を始めるきっかけになったという。(このエピソードには後日談があり、一度帰国したこのルーマニアの音楽家が再度来日し、新風館でライブを再び行った際にヴァイオリニストがnasaに自らの楽器をプレゼントしたというさらなる素敵なエピソードも!)そんな彼女とのコラボレーションがこの日に実現。1st Stageではオリジナル曲の『free your spirit』2 nd Stageでは『Stop crying your heart out』(original: OASIS)をカヴァー。美しい旋律をなぞり、壮大な世界観を創りだしていた。

 

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そして、終わりの時は刻一刻と近づくのもまた事実。「沢山の人に愛されたこの場所、改めてありがとうございました。私がアーティスト・和紗として京都で過ごしてきた中で、この曲が生まれ、私の活動はスタートしました。」と最後の曲に選んだのは、やはりこの曲なくしては語れない『アイタクテ』。デビュー前から和紗というアーティストの姿を積み上げてきた新風館。この場所、このタイミングでメジャーデビューのきっかけとなった楽曲を披露する思いは計り知れないものだろう。やはり様々な彼女なりの想いがあったのか、曲途中では感極まりながらそれでもひたむきに届けようとする懸命な姿がそこにはあった。さらに、この日の感動的な場面はこれだけでは終わらなかった。これまで約1年間、コンスタントにこの場所で歌を届け続けた彼女にとっておきのサプライズが用意されていたのだ。聞こえてくるフレーズは『紙ヒコーキ』。みるみるとファンの間でハーモニーが創られていった。バンドメンバーとファンからの予期せぬ贈り物に驚きを隠せなかったが、気付けば彼女自身も歌をともに口ずさんでいた。本当に最後の最後まで温かさに包まれた感動的なステージが自然とつくり出されていた。

 

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ライブが終わると最後まで物販の列に多くの人が立ち並び、直接和紗に感謝の言葉を述べている姿が印象的であった。それぞれの胸の中にあるこの場所での想い出は、数えきれないかけがえのないものであろう。ひとりひとりのその気持ちに応えるかのように真っ直ぐに訪れたファンひとりずつに声をかける彼女の姿。そう、最後の最後までこの場所は「ひと対ひとの温かさ」に満ちていたのだ。“和紗自身”が信念と愛を注ぎ続けた新風館。この場所で出逢った人たちとの想い出と時間を糧にこれからも京都を基盤に歌い続けてくれるだろう。

 

 

■SET LIST■

 -1st-

・Stand Up For Love

・Summer Butterflies

・Sunday Morning(cover)

・サヨナラCOLOR(cover)

・free your spirit

・message

 

-2nd-

・今夜はブギーバック(cover)

・Summer Butterflies

・それでいいよ

・message

・Stop crying your heart out(cover)

・アイタクテ

 

 

 

和紗×新風館 Special インタビュー

 

 

1st stage終了後の和紗さんに新風館への想いを聞いてきました。

 

 

――新風館でのライブ出演が本日で最後ということですが、今の心境はどういった気持ちですか?

 

正直あんまり今でも実感がないんです。でも、1stステージを迎えて、沢山のお客さんが観に来てくださっていて割とお客さんの数で実感がわいてきたかなという心境です。でも、この場所がなくなるっていう感覚がやっぱりあまり自分の中になくてそれが正直なところですね。

 

――新風館のライブは今年2月から毎月行われていたんですよね?

 

そうですね、実際には今年の1月の年明けからライブをさせていただいて、今年2月からライブをマンスリーライブとして毎月させていただいていました。1年間とてもあっという間でした。もともと、和紗として活動させていただくより以前に、毎週金曜日にひとりで弾き語りのライブをさせていただいていましたね。デビューして東京で活動をさせていただいていた時も、α-Stationさんとのイベントで出演させていただいていたりと割とコンスタントにライブをさせていただいていました。 

 

――では、自然とマンスリーライブライブをするといった感じに?

 

そうですね。東京から京都に活動の拠点を変えて、京都に戻ってきたタイミングで新風館の知見さんに声をかけていただいたのがきっかけです。

 

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――初めてライブ出演された時のことなど、覚えてらっしゃいますか?

 

開放的で不特定多数の方に聴いていただける場所が私自身が好きなので自分からそういう場所を求めて活動を行っていて。新風館はそういった面でも大好きで、その時も“みんな立ち止まって”と思いながら歌って、ライブを行っていたと思います。

 

――マンスリーライブではカヴァー曲もよく披露されていますよね?

 

そうですね。毎月多くて2曲はカヴァー曲もセットリストに入れていましたね。選曲は新風館に合ったもの、せっかくやるなら自分の中で挑戦的な曲を選んでました。私の中で選ばないであろう曲をあえて選んでいましたね。なので、カヴァー曲でお客さんに立ち止まっていただいたことも多くて。こういう場所でしかやれない、こういう場所だからこそできる特別感を表現し続けてこれたのでないかと思います。

 

――ちなみに、今日の1stステージで披露された『さよならcolor』はどういった想いがあって選曲されたのですか?

 

この曲は私の中で、絶対新風館でのラストライブの日に演ろうという想いがありました。 私自身も大好きな曲で、東京にいた時も励まされていたんです。この曲ってタイトルにもさよならが入っているんですけど、“さよならから始まることもあるよ”というこの言葉ってすごく前向きさが感じられると思うんです。別れ=スタートと歌っている感じや曲全体の温かさもこの新風館の場所とあっているなと思って。新風館も03月27日には閉館になりますが、新風館で出逢った方々とはこれからも変わらず関係が続いていくと思うんです。だから全面的にさよならという悲しさが出る曲よりもこういった前向きさや温かみのある曲を歌いたいと思って、歌わせていただきました。

 

――和紗さんはライブ以外にも新風館にはよく来られていましたか?

 

ライブ以外にも普通に立ち寄っていました。待ち合わせまでの少し空いた時間に、人間観察したりしていました。恥ずかしいので新風館の人に見つからないようにこっそり(笑) 新風館ではウエディングも行われていることもあったので、ご結婚されるお二人に向けて、お祝いに歌わせていただいたこともあったりして。そういったことも含めて、とても自分にとって和む場所だなと思います。

 

――では、最後に。いよいよもうすぐ閉館となりますが、新風館にはどういったメッセージを贈りたいですか?

 

シンプルにありがとうという言葉に尽きますね。この場所はやっぱりデビューする前からこれまでライブをさせていただいていて、東京から京都に活動を再び移した時に活動を始めるきっかけをくれたのも新風館だったんです。なので、マンスリーライブで声をかけていただけなかったら今頃どうしていたのかな?と思うくらい大切な活動の場所でもあります。やっぱり私の活動の基盤になっているのがこの場所だなと。スタート地点でもあり戻って来れるホームとしてもこの場所があるので、全てトータルして“ありがとう”という言葉を伝えたいですね。

 

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最後にはMC・川原ちかよを交え全員で記念写真を撮影

 

 

和紗 official website :http://kazusa.in/

Profile

稲本 百合香
ライター。なぜか「ライブに行くのが意外!」と言われがちですが

休みの日はもっぱらライブで現実逃避!

「メジャーインディーズ問わず良いものは良い!」

という想いを抱きながら日々、素敵なもの(音楽・アーティスト)を

探し求めて、アンテナ奮闘中。

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