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フラッシュバック・エモーション vol.6


 

 

【flashback】フラッシュバック

過去の出来事がはっきりと思い出されること。逆行再現。

【emotion】エモーション

 (心身の動揺を伴うような) 強い感情、感激、感動。

 

感情を大きく動かした出来事を思い出す時、そこには様々なカルチャーの存在がありませんか?「この曲を聴くと、楽しかったあの頃のことを思い出す」「悲しい時はいつもあの映画を繰り返し観たな」……そんな「喜怒哀楽×カルチャー」を毎回ひとつテーマに取り上げて、アンテナ唯一の女性チーム3人が思い入れたっぷりにご紹介します。

前回までは3人それぞれが「喜」にまつわるエピソードを紹介してきました。そして今回から「怒」のターンが始まります。喜怒哀楽の中でも最も強烈な印象のある「怒」、果たして彼女たちが怒った時に連想するのはどんなカルチャーなのでしょうか。いざ、フラッシュバック!!

 

 

「ムカつく」のような反射的な感情とも違う、「怒り」を自覚したのはいつだったろう?と思い返すと、ひとつのエピソードが浮かんできます。

 

 

それは、母親に大好きな「幽☆遊☆白書」のマンガ全巻を売り払われた時。私は初めて人に対して怒り震えるという感覚を実感しました。確かに、「勉強しなさい!」の声を何度も無視してマンガを読んでいたことは謝ります。「あんたマンガばっかり読んで勉強しなかったら、マンガ捨てるからね!」の言葉を冗談半分に聞き流していた私も私なのですが、でも……!

 

 

「信じられない、ありえない、この人の考えが理解できない」という最大の”ナゼ???”状態に陥った時、脳の制止を超えて私の「怒り」モードは発動するようです。

 

 

胸の内が燃えて、急に心臓ってここにあったんだとわかるくらいに鼓動が脈打って、頭の血管が太くなったみたいに頭でも脈の音が聞こえてくるのですが、その逆、身体の芯は熱いのに皮膚のすぐ下は妙に冷たくざわついている状態。人生で初めて感じた爆発的な感情は、慰めてくれるカルチャーを失った瞬間に生まれたのでした。

 

 

自分の人生を思い返してみると、お恥ずかしながら何年に1度かは怒りが爆発していたように思います。でも大人になって冷静に自分を分析できるようになってくると、怒りを鎮めるということができるようになってくるんですよね。本当は菩薩のような心になりたいのですが、それが難しいときはカルチャーに救いを求めています。

 

 

「怒り」で心がザワついた時、その状態は数秒で収まるんですがその後の心の落ち着きどころには2パターンあって、そのどちらに落ち着くかで私を救うカルチャーが変わります。仮にパターンAとBとすると、Aの時は音楽が、Bの時は映画がいつも私の心を救ってくれました。

 

 

パターンA:怒りが収まらず、しばらくお湯の沸騰手前90℃のとき

 

 

一度、わなわなとザワつき終わっても、しばらく繰り返し思い出しては怒りがこみ上げてくる時、その怒りを一緒に燃やし終えてくれるような音楽を爆音で聴きます。

 

 

自分よりも圧倒的に強い想いの音楽を繰り返し聴いていると、私の気持ちも乗せて吐き出してくれているようで、しばらく聴いているとすーっと冷静になってくるのです。

 

 

その時に聴く音楽が、こちらです。

 

 

 

 

エレファントカシマシ「今宵の月のように」

 

 

名曲ですね。宮本さんのまっすぐな声が心地よくて、怒鳴っているわけではないのに力強い歌がちょうど胸に響くんです。別に怒っているときだけに聞いているわけではないですよ(笑)。いつ聴いても良い歌なんですが、心のトゲも洗い流してくれるようなあたたかさがあって、一曲聞き終わる頃にはいつもの自分に戻っています。

 

 

あとは、もう1曲。

 

 

 

 

ミニマルミュージックです。これはCycloの曲ですが、Alva NotoとRyoji Ikedaもかっこ良くて大好きです。誰の声も聞こえないくらいイヤホンで爆音で聴き続けていると、すごく集中できるし遠くに連れて行ってくれるので、今この場で起こっていたことすら忘れて無にさせてくれます。こうやって燃やしきるのも大事。

 

 

パターンB:怒りを通り越えて、「なんでなんだろう?」と悲しく虚しくなるとき

 

 

どうしても理解ができなくて、虚しくて心がスカスカになったときは、この映画を観ます。

 

 

 

 

それがこちら、佐々木蔵之介とドランクドラゴンの塚地武雅主演の「間宮兄弟」です。出演している女優は沢尻エリカと北川景子と常盤貴子。北川景子の彼氏役でスタイリストのTEPPI氏も登場しています。

 

 

江國香織の同名小説を映画化したもので、30歳を過ぎても仲良く2人暮らしをしている間宮兄弟が、日常にささやかな幸せを見出しながら暮らしているお話です。恋に不器用な2人の周りに3人の女性が現れるんですが、その女性たちもまた不器用で。恋模様も描かれるんですけど、それがドラマチックではなくあくまでも兄弟の日常生活の一部なのが良いんです。ものすごくライトな気持ちでほっこりできるので、どんなにぐしゃぐしゃな心で観ても見終わった頃には晴れやかな気持ちになれます。

 

 

また私的には名言がいくつかあって、出張でホテルに泊まる兄が弟に電話して「1日の終わりにこうやって電話できる相手がいるって、いいなあ!」とお風呂上りにビールを飲みながら言うセリフだったり、弟がぼったくりバーでカモられて大激怒しながら家に帰ってきた時に兄が「落ち着け、なっ、兄ちゃん得意の塩むすび作ってやるから!」って弟の大好きな塩むすびで慰めてあげるところとか。

 

 

あたりまえの、でも立ち止まらないと気が付かないことに改めてハッとさせられます。それと、ただただ沢尻エリカと北川景子が可愛いですし、大学生の時に読んでいた原宿のストリートファッションスナップ雑誌「TUNE」のスナップ常連だったTEPPEI氏(元古着屋DOGバイヤー)のファンだったんですが、彼が映画に出ていることにも興奮したりと、私にとって見どころたっぷりな映画でもあります。

 

 

そういえばここ数年はこれらのカルチャーにお世話になるほどの「怒り」を感じてはいないけど、今後も出会うであろうたくさんの”ナゼ???”に臆することなく立ち向かっていこうと思います。しんどいけどね。

 

 

 

過去の記事

 

①vol.1 by キャシー

 

②vol.2 by 稲本百合香

 

③vol.3 by 齋藤紫乃

 

①vol.4 by キャシー

 

②vol.5 by 稲本百合香

 

この記事を書いた人

齋藤 紫乃
齋藤 紫乃
ゆるくても、踊るライター。
北の大地で生まれ育ち、大学進学を機に埼玉→東京→大阪→京都と流れ着いて在京3年め。
いつでもドラマチックなはじまりを探しています。

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