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フラッシュバック・エモーション vol.2


 

アンテナ編集部が3チームに分かれて、それぞれ内容の異なった連載を週替わり掲載することになりました!2週目の連載はその名も「フラッシュバック・エモーション」。

 

【flashback】フラッシュバック

 過去の出来事がはっきりと思い出されること。逆行再現。

【emotion】エモーション

 (心身の動揺を伴うような) 強い感情、感激、感動。

 

感情を大きく動かした出来事を思い出す時、そこには様々なカルチャーの存在がありませんか?「この曲を聴くと、楽しかったあの頃のことを思い出す」「悲しい時はいつもあの映画を繰り返し観たな」……そんな「喜怒哀楽×カルチャー」を毎回ひとつテーマに取り上げて、アンテナ唯一の女性チーム3人が思い入れたっぷりにご紹介します。

今回のテーマは「喜×音楽」。担当は、バンド経験はないものの、音楽を愛する気持ちは昔から人一倍!いなもとがお届けします。では、いざ、フラッシュバック!!

 

 

初めまして。アンテナライターの稲本です。

 

「素敵なものやことをたくさん広めたい」

 

この一心でアンテナにてライターをしております。

 

今回のチーム連載のテーマは『音楽×喜』

 

自分の中で最もいろんな感情が思い起こされるのはやはり『音楽』がきっかけであるような気がしています。時には何かの出来事と思い重ねて、涙することも多々あります。ですが、最後には勇気づけられて、笑えている。それがやっぱり自分の中の『音楽』の位置づけだと思っています。

 

今回のテーマで書くことが決まってからどういうふうに書こうかと何度も題材を考えましたが「やっぱりこのテーマにはこの方について書きたい!」という想いしか出てきませんでした。

Gulliver Getというバンドで2002年から2011年まで活動をしていたヴォーカリストのアヤヲさんを今回紹介したいと思います。

 

 

紅い月~あの人に愛されますように~

 

彼女が歌う姿を初めて観たのは画面越しでした。

私はGARNET CROW (編集部コラム『俺の人生三種の神器』で前回紹介) のファンだったこともあり、同レーベルである彼女が所属していたGulliver Getの存在はなんとなく知っていました。

そんな中、2007年のある日、レーベル関連の情報番組で彼女が歌う楽曲のPVが流れてきました。その際に彼女の歌う姿を画面越しではありますが、改めて目にしたのです。

 

“紅い月~あの人に愛されますように~”と名の付いた楽曲のPVでマイクを握るアヤヲさんはレオパード柄のドレスに身を包み、真っ赤な口紅を塗った妖艶な雰囲気が漂う大人な女性でした。

楽曲の曲調もジャジーで当時高校2年生だった自分には年相応ではないと勝手に思い込んでいました。その為、この頃はこのバンドの存在が自分の中でピンと来ていなかったようです。 (今思えばとても残念で悔やまれる……)

 

 

 

 

30分間の運命の出逢い

 

ところがそれから約数ヶ月後の2008年3月。彼女の存在を再び気に留める大きなきっかけがあり、彼女のライブを初めて観に行くことになりました。 (この出来事については編集部コラム『俺の人生三種の神器』で次回お話しようと思います)

 

この時のライブはイオンモールで行われたフリーライブ。1ステージ約30分という比較的短めのステージでした。

初めて彼女の歌う姿を生で目の当たりにした私は、1曲目から一瞬で恋に落ちたような感覚に陥りました。 フードコートの隣に設置された決して大きくはないステージで、メンバーのアコースティックギター1本に乗せて歌う彼女。1フレーズ歌い始めた瞬間に何かが降ってきたように彼女は表情豊かに歌を届けていました。

満面の笑みを浮かべ、穏やかに歌を紡いでいく。彼女が歌い始めるとオーディエンスはその歌に自然と引き寄せられていました。私は会場一体が華やかな雰囲気に包まれる感覚が不思議と分かったんです。あの初めてPVを見たときのどこか遠く感じる大人な雰囲気が一転して、この日彼女の存在が自分の中でグッと近付いたような気がしました。

 

私はその日初めてライブを観たにも関わらず、「彼女は歌う為に生まれてきて、歌うことが天職なんだ」とまだまだ世間知らずな子供ながらにはっきりと感じたことを覚えています。それくらい彼女の歌には『伝える力』と『聴く人を元気づけるパワー』があったんだと思います。

ライブは2ステージあったのでどちらかだけ観て帰ろうと思っていた私も、1ステージ観てからは「次の2ステージ目も絶対観て帰ろう」ともう完全に心を奪われていました。

 

「別れ」から「再会」まで

 

運命的なフリーライブでの出逢いから彼女が歌うGulliver Getのライブに何度も足を運びました。月に平均3本くらいはライブを行っていたまさにライブバンドだったので観に行ける限り頻繁に。そうしているうちに定期的な自分の楽しみになり、いつしか自分の生活の一部となっていました。ですが、その楽しみも2011年の2月のバンド解散に伴い、急にパッタリとなくなってしまったのです。

 

バンドが解散してしまった以上、彼女の歌を聴ける日が来るのか来ないのかもわからない状態のまま月日は流れました。毎月のようにライブに行き、ライブで歌うアヤヲさんに元気をもらう日々が染みついていた私。その日々がなくなってしまった寂しさといつかまたライブが観たい願望が募るばかりでした。

 

彼女が外に発信する唯一のツールであるブログを定期的に覗き、彼女が再び歌い始めるそのときを待ち続けていました。

 

号泣___でも「喜び」に満ちたステージ

 

それから数年後、彼女は少しずつではありますが、再び表舞台に戻ってきてくれました。

 

私が特に印象的だったのは2014年7月に舞鶴赤レンガ倉庫で行われた『海フェスタ京都PRESENTS α-STATION SPECIAL 2DAYS LIVE』でのライブ出演でした。

解散後に一度歌われて以来のとても久しぶりのライブということもあり、開場待ちの列に並んでいると、Gulliver Get時代にお見かけしたファンの方が本当に多かったです。

懐かしい気持ちでいっぱいになるのと同時に、彼らもまた私と同じように彼女の歌を待ちわびていたことがよく分かりました。

 

開場してからも観客席の前列には私たちファンが勢揃い (笑) イベントのトップバッターとして登場され、ライブで久しぶりに歌われるということにも緊張もしつつ……

第一声目を聞いた瞬間、再会があまりに嬉しいのといろんな感情が混ざり合って、もうそれはそれは前列一同大号泣……。あちらこちらからすすり泣きが聞こえてきて、他出演アーティストのファンの方は一体何事なんだと思っていたでしょうね (笑)

でも、私を含めて彼女の歌を心から求め続けていて、再び歌って下さったことの喜びに満ちた瞬間だったのだと思います。我ながらあの時あの場所には、なんだか本当に音楽を愛する純粋な気持ちが溢れていたなと思っています。

 

京都市内から決して交通アクセスが良いとはいえない舞鶴の地まで、約30分間のステージのために足を運んだことに、とてもとても大きな意味がありました。

 

“ひとりごと”というはじまりのうた

 

アヤヲさんはここ1年くらいで以前より短いスパンで定期的にライブを行うようになりました。

そんな中、彼女が大切に歌っている“ひとりごと”という曲があります。この曲を一言で表すならば『様々な葛藤を乗り超えた強さに満ちたナンバー』です。

この曲は『Gulliver Getとしてのヴォーカリスト』ではなく『アヤヲ』として歌うようになってから歌っておられます。まさにこの曲は、彼女が今ステージに立っていることの『決意表明』とも言えるでしょう。

 

昨年11月のライブでは「やっと両親の前で聞かせることが出来ました」と言っておられました。また、先日3月5日に行われたライブでこの楽曲を歌う前には「2年前にライブをした時と気持ちが全然違う!すごく楽しい!嬉しい!」とMCで語られていました。再びまたヴォーカリストとしての再出発の意を感じて私も本当に自分のことのように嬉しかったです。

 

 

 

ハッピーに溢れたステージを

 

最近私が彼女のライブを観に行った際に、近くの席に座っておられた方がこんな会話をされていました。

 

「私、アヤヲさんの歌に元気もらいに来てんねん。歌聴いたらまた頑張れるやろ」

 

彼女のライブは本当に愛で溢れているなと感じ、私は胸が熱くなりました。

ライブに足を運ぶのは、演奏を聴きに行きたいということはもちろんですが、ステージ自体に元気をもらいに行きたいという感覚なのかなと私も彼女に出逢ってから特に強く感じるようになりました。

 

バンドが解散してから約6年経ちますが、今もなお彼女の歌を求めている人が私を含めて沢山います。

バンド時代とはまた違った形で、様々なミュージシャンの真ん中でマイクに向かい、輝いておられる。また歌が聴きたいと待ちわびた数年前のあの日々から考えても、こんなに喜ばしいことはないなと本当に心から思います。だから今回のテーマはアヤヲさんのステージを再び観れた『喜び』を噛みしめながらこのような形で綴りました。

 

直近では3月29日に京都木屋町のLive Spot RAGで、5月にも数本ライブが決定しています。気になった方はハッピーな気持ちいっぱいの温かいステージにぜひとも一度足を運んでみてください。

 

 

 

 

アヤヲ

http://duckbiyori.blog.fc2.com/

 

京都在住のヴォーカリスト・シンガーソングライター。

Gulliver GetのヴォーカルとしてメジャーレーベルよりCDを発売

関西を中心にライブ活動を行う。

バンド解散後、休養期間を経て、ひっそりと活動を再開。

切なくて、苦しくて、優しくて、あたたかい音楽を目指し、のんびり唄い中。

兵庫県の神河町に出会ったことをきっかけに、町作りに夢中。

 

この記事を書いた人

稲本 百合香
ライター。なぜか「ライブに行くのが意外!」と言われがちですが

休みの日はもっぱらライブで現実逃避!

「メジャーインディーズ問わず良いものは良い!」

という想いを抱きながら日々、素敵なもの(音楽・アーティスト)を

探し求めて、アンテナにて奮闘中。

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