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bedが歌う「僕ら」の話は、今ここにいる内向的な僕らの話

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bed presents “turn it off ~Let’s get on board~

@木屋町UrBANGUILD 2016.11.26

 

 

UrBANGUILDが入っている雑居ビルの薄暗い階段を、息を切らしながらぐるぐるとのぼる。まだあと何十段もあるのにビル中が鳴りまくっている。ドキドキする。一秒でもはやく辿り着きたいはずなのに、もう扉は目と鼻の先なのにおかしいな、音漏れすらなんだかロマンチックでついビル鳴りに耳をすましてしまう。

 

 

彼らのキャリア11年の中で京都でのワンマンライブは二度目。レコ発という訳でもなく、リリースからも時間が経っているタイミングでのワンマンである。「古い曲をたくさん出来る機会。ここからまた改めて次に進んで行こうというものになれば。」とMCでGt.Vo.山口は告げていた。そもそも今回のワンマンは4th album『via nowhere』のレコ発ツアー京都編のMCで「京都でワンマンやります!」と観客と口約束をしていたのが事の発端ではなかっただろうか。有言実行だとか、レコ発ツアーを周って得たものの集大成だとか、そういう言い方もできるんだけれどもはっきり言おうか。bedのワンマンなんていつどこでやってくれても最高でしかないし、もはや口約束だけでやってくれなかったとしても、今日ここにいるヤツらはずっとずっと待ち続けていたから!

 

 

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今年の彼らのライブを熱心に見てきた人にとっては幕開けとして定着しつつある“YOU”。そのアウトロからいつもよりたっぷりゆったりと時間をかけて、次の曲までのビートをDr.長生が刻み続ける。些細なことではあるがこのたっぷりした間と空気感がいつもとは違って、完全に「これから先に続く20数曲」を予感させるものでとてもハッとする。3rd album『Indirect Memories』のリードトラック”通り過ぎたばかり”がライブ序盤で早々に演奏されるのも、出し惜しみがなくて心のワンマン感を高めてくる。そうそう!話が早いね!なんて、セトリとリアルタイムで会話してしまう自分がいたりして。bedの十八番とも呼べるのではないかという、小気味よい単音のギターリフから一気に歪んだドライブサウンドが広がっていく「あの」感じ。痺れるくらいビル鳴りしているのにも頷いてしまうぐらい、そのドライブ感が部屋中に波を起こしながら広がっていく。かと思えば”ポーズ”ではうって変わってちょっと不安になるような、じめっとした空気に場が塗り替えられる。でも少しずつズブズブ浸かってみると生ぬるくて異様に心地良いような、なんだかUrBANGUILDが狭くて暗い洞窟のようにも見えてくる。

 

 

初期アルバム『Response』の曲がライブ前半からバンバン演奏されていたが、そもそもこのアルバムの曲を生で聞くのは初めてというお客さんも多かったのではないだろうか。なにせ約3年ぶりのワンマンライブと言っていたし。新旧の楽曲たちが連なって演奏されたとき、「ぴったりと重なりあう2本のギターサウンド」という要素が今も昔も一貫してbedらしさを表し続けているんだなぁ、というのに気がついた。けれども使っているコード感が初期楽曲と新しい楽曲では思った以上に異なっていて、例えば「ジャーン」と1コードだけ鳴らされたときに「あ、古い曲かな」とピンとくる程度には顕著に変化してきている気がする。それって11年の活動の間に一貫した音楽性を作り上げそれを保ちながらも、彼らなりの逸脱しない範囲で「今までと違うこと」を追い求めてきた結果なのだろうか。新旧楽曲を並べて聞くことでbed自体の変遷も垣間見ることができたのもワンマンライブのいいところ。

 

 

ライブも中盤に差し掛かったところで、壺坂恵 (acd./ex-ecosystem) がトランペットとしてステージにあがり、彼女が音源にも参加している”シチュエーション/ジェネレーション”が完全版と称して演奏される。曲が始まる前に何気なく鳴らされたギターのジャラーンというコーラスサウンドのなんと心地良いことか!トランペットのサウンドも相まって、そのままどこまでも無限に届いてしまうのではないかと思うぐらい遠くまで突き抜けていく感じ。

 

 

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さっきまで頭を揺らしていたのに、ふと気がつけば微動だにせず自分の中でいろんなものを反芻する時間というのがbedのライブには存在する。自分の内側にあるものをじわじわと考えさせられて、掘り起こしてくれるような言葉なり、コード感なり、厚みなり……っていう何かがブワッと押し寄せてくる一瞬がある。「bedというバンドには華があるかないか」論にあえて火傷覚悟で触れてみる。華があるバンドが私たちに見せてくれるものが「高揚感・憧れ・別世界」だとすると、bedが見せてくれるものはもっと個々人のインナーな部分に寄り添ってくるものなのだ。別に彼らは他人に寄り添おうとしていないかもしれないけど、どうしてもこちとら勝手に自己投影してしまう。それってがっちりハマる人ほど他には代えがたい存在になってしまうし、ハマればハマる程「自分と別世界のもの」とは思えなくなってしまう。言ったら「華のある」とは逆ベクトルに進行してしまう訳だが、ズブズブのドロドロのジャリジャリになった先の花をみんなで掴もうじゃないか。彼らを見ていたらそんな気分になってくる。なんて悦に入りながらも汗ばむ拳を握らされた”そのまま”→”Wall”→”ピリオド”→”自転車”というライブ後半の流れが個人的にはベストプレイであった。

 

 

ライブも終盤、”シンク”イントロのギターのミュート音が流れると、観客はもはや歓声か嗚咽かも分からないような声をあげる。示しあわせた訳でもなく、でも誰もが分かりきっていたかのように大合唱がはじまる。なにがってこれただのシンガロングじゃなくて、今この瞬間に何十人っていう人間が本気で各々を噛み締めるように歌っているのがひしひしと伝わってくるのである。そんな光景、他にどこで見られるというのだろう。観客各々の熱も冷めきらぬまま、アンコールは全て初期曲からのピックアップ。ここまでのライブの熱量をじっくりゆっくりと全て包みこんで、飲み込んで、落ち着かせていくような”修羅場”は手放しに泣きたくなるぐらい良かった。冒頭の <そう気付いたら あの空の向こう側 君と肩を並べる> という言葉がじわじわと瞼の裏に染みついて、気持ちを灰色に染め上げて、息苦しいぐらいに何かが込み上げてくる。その寂しさと温かさがたっぷりと膨らんでくるアウトロのこの感じ。「感じ感じ」ってそれなんだよ!分かんねぇよ!って思うかもしれないけど、こればかりはCDには入っていないし言葉では伝えることができない。何度だって感じたいし聞いてほしいし、そして感じた人と分かち合いたい。そんな人間が何十人と集った夜であった。

 

 

bedのライブを見るたびに感じるのは、bedのファンってめちゃめちゃエゴイスティックなのではないかということ。「bedは京都で愛されてるバンド」という話題をよく耳にするが、(もちろん愛しているけど) それ以前にファンはみんな「自我」を打ちのめされに行っている気がする。彼らの曲を借りることで時に自分を叱責したり、鼓舞したり、許したり。だから心が震えてしまうんだな。ちゃんと前を見ている人にこそ響く音楽が、京都には11年存在している。

 

 

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当日配布されたフリーペーパーの関係者からのコメント欄

 

 

セットリスト

 

01.YOU

02.ヒマな2人

03.通り過ぎたばかり

04.誰も知らない

05.ポーズ

06.繰り返すのさ

07.うちあがる

08.朝、消えた

09.ライン

10.シチュエーション/ジェネレーション

11.クライング

12.SA/FA

13.そのまま

14.Wall

15.ピリオド

16.自転車

17.ねがいごと

18.僕ら

19.シンク

20.100万周年

 

<アンコール>

en1.8月

en2.70000000000人間

 

<ダブルアンコール>

en1.修羅場

en2.Ain’t Nobody(past and present)

 

 

bed

bed_artist

 

2005年夏、京都にて結成。以来着実かつ地道な活動を続ける。

これまでに4枚のアルバム、2枚のEPを発表。多数のコンピレーションに参加。

京都での自主企画や、全国各地へのツアーなどライブを活動の軸にしながら、コンスタントなリリースを重ね、時に「京都の雄」、「京都の至宝」などと呼ばれることに多少のこそばゆさを覚えながらも、世代を越えた支持を受け続けている。

2本のギターが織り成すアンサンブルと、シンプルな日本語によるメロディー、ハンマービートとうねるベースによって紡がれる特異な音像はますます磨きをかけ、やるせなさと力強さの同居する音世界が時に熱狂を生み、じわりじわりとその音の虜となる者を増やしながら活動中。

Profile

山田 和季
山田 和季
チーフエディター。 (頭が悪いから) 歯に衣着せぬ物言いで、最近は「めたくそライター」の肩書もGETしました。ふざけただらしのない文章を好みます。母の鳴く家というバンドで紅一点ギターを弾いていますが、わりと常にエロいことを考えています。

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