COLUMN

映画交換絵日記 Vol.1『ジギー・スターダスト』

2017.06.28

中城 海図中城 海図

 

 

この映画のタイトルにもなっている「ジギー・スターダスト」というアルバムは、あと5年で滅亡してしまう地球に突如火星から降臨した救世主ジギーの栄光と衰退を描いたコンセプトアルバムである、ということはあまりにも有名な話だが、このライブが伝説となった理由は、そのジギーの“命日”となったというコトだけではない。

 

熱狂と歓声の中始まった一曲目は”Hang Onto Yourself (君の意志のままに)”だが、この曲はアルバムB面の3曲目にあたる。ジギーが衰退し始め、グルーピーと乱痴気騒ぎをするもどこか心満たされない虚無感を秘めたロックチューンなのだ。これを一曲目にやるというコトは、ジギーの終わりが近いことを示唆している。「俺たちスパイダーズフロムマーズは今夜終わっちまうけど、まぁ、精一杯楽しもうぜ」とでも言うように。そして二曲目のタイトルチューン”Ziggy Stardust (屈折する星くず)”へと進行していく。

 

 

そして、このライブはただジギーに引導を渡すだけの単純なものではない。

 

3曲目に演奏される”Watch That Man (あの男に注意しろ)”は、このツアー中に発表されたアルバム”Aladdin Sane (アラジン・セイン)”の1曲目。アラジン・セインというキャラクターは、ボウイがアメリカでの経験を取り入れ、ジギーをより陰鬱にし、静かな狂気に満ちたペルソナである。その楽曲がこのライブでは数多く披露されているのだが、そこから、ジギー・スターダスト→アラジン・セインへと入り混じりながら変化していく様が伺える。それに合わせて衣装も次々と変化していく。ライブ後半では「出火吐暴威ケープ」から、刺青をモチーフにした生身に近い衣装へと早着替えするパフォーマンスも見せる(どちらも山本寛斎デザイン)。

 

舞台の最後に披露されるのは、もちろん”Rock‘n’Roll Suicide (ロックンロールの自殺者)”。この曲、本当に強いメッセージで、一部抜粋をすると、

 

 

Chev brakes are snarling as you stumble across the road

(シボレーが急ブレーキ 君が道でよろめくから)

But the day breaks instead, so you hurry home

(家路を急ぐがおかまいなしに夜が明ける)

Don’t let the sun blast your shadow

(君の影が太陽で薄らぐぞ)

Don’t let the milk float ride your mind

(牛乳配達車に気を取られるな)

You’re so natural, religiously unkind

(君は自然のまま 心からの無情さ)

Oh no, love, you’re not alone

(ああ、ダメだよ愛しい人 君は独りじゃない)

You’re watching yourself, but you’re too unfair

(自分を勘違いしてるんだ)

You got your head all tangled up, but if I could only make you care

(君の頭はこんがらがってる 何とかしてあげられればいいのだが)

Oh no, love, you’re not alone

(ああ、ダメだよ愛しい人 君は独りじゃない)

No matter what or who you’ve been

(君が何であれ 誰であろうと)

No matter when or where you’ve seen

(いつどこで何を見ようと)

All the knives seem to lacerate your brain

(ナイフは君の脳髄を傷つける)

I’ve had my share, I’ll help you with the pain

(僕も同じ経験を その苦痛から君を救う)

You’re not alone

(君は独りじゃない)

 

 

この曲を最後にジギーはステージから去り、観客は悲鳴と嗚咽が入り混じった歓声をボウイに送るのであった。

 

この映画がみなみ会館で上映されるというコトが本当に素晴らしい。スクリーンで鑑賞するコトにより一層の深みが増し、観客同士でも一体感が生まれ、空間をジギーが支配するのだろう。今から楽しみでならない。

 

 

『ジギー・スターダスト』

 

京都みなみ会館

上映期間:6/24 (土) ~

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