REPORT

「バンドを辞める人を1人でも減らしたい」–そんな想いから生まれた“【座談会】働きながら音楽活動をする”とは?

2017.06.30

岡安 いつ美岡安 いつ美

ーー実際鈴木さんは働きながらバンド活動はできていますか?

 

 

僕のバンドは特殊な事情もあり、現状年に4回くらいしかライブをしていないんですよ。ATATAやEndzweckやDEEPSLAUTERのように年間数十本とかは難しいんですが……止まらずにバンドを続けていることはいいことなんじゃないかと思ってやっています。

 

今所属しているレーベルの中でも、残っているバンドが本当に少ないんです。みんな辞めたり、休止したりしていて。僕らの活動は活発ではないけれども、企画は打つし、地方でもライブができています。

ーー京都にもそういうバンドはちらほらいますね。

 

 

ただ今回のテーマだと、僕のバンドの活動では説得力がないんですよね。バンドをガツガツやりながらも仕事は続けている人の言葉の方が参考になるのではないかと思って、僕はモデレーターとしてイベントを企画する立場でいこうと思いました。

 

 

ーー私は、鈴木さんのやり方もひとつの手段の提示としてはとてもいいと思います。辞めずに続けることのいいモデル、というか。仕事への支障はない感じでしょうか。

 

 

今は全くないですね。2009年にリリースをして、ツアーもして、地方へライブもしにっ行っていたのですが、有給を使ってこなせてたので支障はなかったです。転職をするときにもバンドを続けたかったので、ある程度有給が取りやすいのではないか、という目星はつけて転職活動もしてましたね。

 

ただ、そうやって始めた仕事もだんたんと面白くなってきて、音楽活動ではできない別の目標を実現する手段だと感じたのです。バンド活動のためには嫌だなとおもっていた地方転勤も志願していってしまうようになりましたし(東日本大震災復興支援で3年半宮城県石巻市で勤務)。それが初回の登壇者のプレゼンでもあったように、仕事もバンドもやりがいがあるというとことに繋がるのではないでしょうか?

 

 

ーー今、鈴木さんが働きながらバンドをされていて、ゴールというか、目指す先はどこにあるのでしょうか?

 

 

バンドとしては続けていって、もっと効率化を図りたいなあと思っています。練習の時間も限られているので、1回でインパクトを出せたり、バンドとしての情報(映像や音源など)を録り溜めておいてそれを定期的にリリースしたりとか。そういった方向のことを追求したいと思っています。

 

限られた時間を増やすのではなくて、限られた時間で作った材料を、バンドが動かなくても自分が動いて出していくというか。

 

 

ーーその発想はバンドだけでなくて、他の創作活動をしている人にも当てはまりそうですね。バンド以外で目指している先はありますか?

 

 

自分のバンド以外では、今の活動を通じて「バンドを辞める人を一人でも少なくする」ことの啓蒙から、バンドのマネージメントする仕組みを確立したいと思っています。プロモーションが上手いバンドもたくさんいるのでそういう人たちに実際のレクチャーしてもらうとか。

 

自分もそうなのですが、バンドって客観的に自分たちを見ることができないっていう人が多いと思うのですよね。そしてバンドマンは作曲など音楽を作る時間でいっぱいという人が大半かと思うんです。そういう人たちと、バンドはやっていないけど音楽と関わり続けたいって人をつなげるというか。音楽と関わっていたい人って一定数いるはずで、そういった人たちが副業でも本業でもいいんですがバンドのマネージメントをする構造を作れればいいと思っています。

 

 

ーー実際にバンドマンではないけれども、音楽と関わっていたい人と接触する機会があったのでしょうか?

 

 

音楽フェスの運営をしているのですが、そこへマネージメントの会社の人ではない人、が帯同してくる場面が多いなと思っていたんです。話を聞いてみると「個人的にそのバンドを応援しているからついてきているサラリーマン」もいるんですよね。

 

 

ーー私、まさに、それです!(笑)

 

 

なるほど!そういう人がいるとバンドも助かるし、最初のうちはバンド活動で収益を出すことが難しいのでボランティアでやるパターンが多いかと思うのですが……ちゃんと活動して、きちんと収益という結果が出たらその人に配分してもよいと思うんですよ。頑張った分だけ。プロモーションしてくれたり、グッズの企画を一からしてそれが売れたら、配分すべきだと。最近はそっちの方が大事かもしれないとは思っているくらいです。

 

今チーム制を引いているバンドもちらほら出てきていて。以前だったらメジャーに所属して、マネージメントがついて、そこがいろいろやるっていうのが普通で。でもプロデュースから自分たちでやりたいと思っている人たちが増えてきているんですよね。PA、レコーディングエンジニア、映像、ブッキング……そういう音楽にまつわる仕事に関わる人を一人ずつ集めてチームを作っているんです。僕はそういう方法でやっていると聞いたmouse on the keysを参考にしたいと思っています。

 

大きなマネージメント会社がつかなくても、マネージメントができると思うんです。個々人でスキルの高い人はたくさんいるので、そういった人たちに音楽業界の作法を教えればビジネスとして成り立つ。そういう仕組みづくりには力を入れていきたいですね。

 

そういった意味でも、職能を活かした動きってすごくいいと思っているんですよね。

 

 

ーー職能を活かす、とは?

 

みんな仕事で何かしらスキルをつけるわけじゃないですか。例を出すと……去年ATATAのワンマンライブで特設サイトができたのはご存知ですか?新曲がダウンロードできるというものだったのですが。

★参考:http://natalie.mu/music/news/196256

ーー知らなかったです。

 

 

その特設サイトを作ったのは、ATATAのギター、池谷さんの会社の人たちなんですよ。

 

 

ーーえ!

 

 

池谷さんは普段ウェブの会社で働いていて、会社の人たちがクリエイティブなことを考えるのが好きで。「やりますよ!」って感じで特設サイトが作られたらしいんです。

 

 

ーーATATAって昔からウェブ、SNSプロモーションが本当に上手ですよね。昔いつも宣伝を協力してくれる人たちに、とTwitterのDMでダウンロードコードを送ってもらったりしたことあります。

 

 

2015年にTHE VELVET TEENというバンドが来日した時にはこんなサイトをATATAの池谷さんの会社の人たちと、その他のプロモーションをATATAナベさん、企画に出てくれたcurveユウセイさんと話し合って作ったんです。やっぱり盛り上げないとダメだよね、ってなって。

http://thevelvetteen-jpn.club/

 

僕ら仙台公演しか関わってなかったんですけど、やるなら全部盛り上げよう!ってことになって全公演分掲載して、ハッシュタグを作ったりしたんです。あとはZINEを作ったり。これ僕が編集したんですよ(笑)

http://thevelvetteen-jpn.club/zine.html

 

 

ーー力の入りようが凄まじいです。

 

 

どこからお金が出ているわけじゃなくて、どれも「面白くしたい」「盛り上げたい」という気持ちから生まれた行動で。そういう時に職能があると、それだけで機動力になるんです。

123

GOODS

トップへ